「ありがとう」ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ★アディオス sannemusaさんの映画レビュー(感想・評価)
ありがとう
そうか、あれからもう20年も経とうとしているのか。
もともと爺婆映画好きな私だが、大学生の頃に出会い、年寄の魅力以上に衝撃を受けた本作。
ダンサブルなラテンのリズムと哀愁たっぷりのメロディ、そして爺さんと婆さんならではの渋さと色気と軽妙さ、人生の深みにガツンとノックアウトされ、アルバムをひたすらリピートして聴いた。
本作に出会わなかったら、私の人生は少し変わっていたんじゃないかと思う。
本作はメンバーたちの人生にぐっと近づき、よりドキュメンタリー感が強かったのだけど、イブラヒム・フェレールのあの哀愁そのもののような歌声と、彼のこれまでの人生とが重なって、涙なしには観られなかった。
前作でも、音合わせで空気が変わる瞬間に感動したが、本作のライブシーンにも心が震えた。
本作が世に出て、ヒットして本当によかった!
日本の民謡にも通じる市井の人々の歌の豊かさと力強さに、彼らの存在を通じて気づいた人も多いんじゃないだろうか。
音楽史に永久に残るであろう偉大な人々たちよ、素敵な音楽と人生経験をありがとう。そしてさようなら。
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