劇場公開日 2018年9月21日

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「駆け足すぎる&比喩表現が難解で子ども向きではない」若おかみは小学生! BBさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5駆け足すぎる&比喩表現が難解で子ども向きではない

2018年10月9日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

じっくり掘り下げると感動エピソードになるのかもしれないが、駆け足すぎて微妙に感じてしまった。
「立ち直って見えるようで、実は立ち直っていなかった両親の死」が、全体を支える軸になっているのは良いと思うけれど、その最大のトラウマを乗り越えるシーンがあっさりしすぎていて、「何があった??」と戸惑うほどの急展開。
他キャラたちにすごく支えられているわけでもなく、ほぼ自己完結していくおっこ最強。
おっこには「幽霊」が見えているのか、それとも彼らはイマジナリーフレンドなのか、とか曖昧なことも多い。
死に近い体験をしたからおっこには(ごく限られるであろう)幽霊が見えていたはずなのに、ピンフリにも同じキャラ(幽霊)の声が聞こえていたことがあるのはなぜかとか…よく考えていくと、映画を観るだけではわからない謎が多々ある。
訪れる「訳あり客」がおっこに救われる描写など、どれもエピソードが不足しすぎていて、結果ツッコミどころが多くなってしまっているとも感じた。
プリン食べただけで(母親を亡くしたショックから立ち直れていない少年の)ひねくれた性格が直るとか。
急展開すぎて納得できず、ついていけない。
自分よりも辛い体験をしているであろう女の子から慰められたということはおおいにあったとしても、あまりに改心が早い。
原作の方がストーリー展開がゆっくりな分、もっと受け入れやすいのかもしれない(し、そうでないのかもしれない)。

一方で駆け足で過ぎていく日常が、妙なリアリティがあるといえばある。
肝となる最後の客の振る舞いやセリフ、せめてフィクションなら「こういう人であってくれ」という願い通りにはいかない残酷なリアリティなどは、寒気がするほど…。
長い長い原作の様々なエピソードに一本芯を通し、
美しい作画とともに「魅せる」作品に仕上げたことは素晴らしいと思うが、その比喩表現含めて子どもには(大人にも)難解だし、テーマを伝えるための描写は大幅に不足していると感じてしまった。
(テーマ含めて)全体的に幼い子どもと観る映画ではなかったかなー…。
子ども自体は訳がわからないところもありつつ、ところどころ楽しんではいたのですが、共に見るには重いし、何より自分の心がついていけませんでした。

HB