「喪われたものへの想い」若おかみは小学生! しろくまさんの映画レビュー(感想・評価)
喪われたものへの想い
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ジブリで宮崎駿の右腕として活躍した高坂希太郎監督作品。「ナウシカ」や「ラピュタ」では原画を、「もののけ姫」「千と千尋」、「風立ちぬ」では作画監督を務めたのだから、これはもう筋金入りである。
主人公は死者を想う。幽霊が出てくる。死者も幽霊も、生きていたのは「過去」である。
ゆえに、一貫して「もう帰らない、喪われたものへの想い」がかき立てられる映画である。
エピソードの寄せ集め感がないわけでもないが、それぞれのエピソードは破綻なく収斂していき、1本の映画としての完成度は低くはない。
職業、というか、「はたらく」ということへのリスペクトが厚い(という点では魔女宅に似ている)。そうして、主人公の必死さがストーリーを動かしていく。
小さい子供を主人公にして、その両親が死んだ、という設定は、なんと言うかズルいわけで。でも本作は、そのズルさに甘えず、安易なお涙頂戴を避けたフェアな演出を志向していて、好感が持てる。
宮崎駿譲りの飛翔シーンや食事シーン、舞台となるところの建築や地形の面白さなど、見所も多い良作。
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