旅のおわり世界のはじまりのレビュー・感想・評価
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「旅のおわり世界のはじまり」観ました。前田敦子がホテルの窓を開けた...
「旅のおわり世界のはじまり」観ました。前田敦子がホテルの窓を開けたら、風が吹き込んでカーテンがフワフワするシーンに、黒沢清映画フェチとして、「おー!きた!」と盛り上がりました。えーと、感想はそれぐらいかな
ウズベキスタンと前田敦子を堪能できるのは間違いない
ほぼずっと前田敦子演じる主人公・葉子のエピソードのみで物語が進行するので、スクリーンに映るあっちゃんの表情をたっぷり堪能できます。
ウズベキスタンで現地レポートするTVレポーターという設定なので、ナチュラルメイクでラフなスタイルですが、だからこそ彼女の持つ魅力が引き立っていたなと感じました。(あっちゃんファンというわけではありません)
物語も「世界ふしぎ発見!」の裏側を見ているような面白さがあります。1分の尺を撮るのにこんなに過酷なロケをしてるのかと、TVマン達への尊敬の念さえ抱きました。特に絶叫マシンレポートは観てるだけでキツイ・・・。
一方で、葉子の行動にイライラする面も。英語も話せないし若い女性、それに「私は結構用心深い」と自分で言ってるのに(フリなのか?)、夜の人気が少ない場所へ出歩いたり、一人で突っ走って迷惑をかけたり。一応反省はしているようですが、そんな葉子を誰も叱責しないのも気になりました。
また、ミュージカル女優を目指しているため歌唱シーンがありますが、もう声量が無さ過ぎて聴いてられない・・・。歌が下手なわけじゃないのですが、とにかく声が細いので、これでミュージカル出たいと言われても・・・。
どうしても気になる箇所もありましたが、人や国を見た目や偏見、情報だけで判断するのではなく、自分で感じたこと・見たことを大事にしていけばもっと分かり合えるというメッセージはとても良いし共感できました。
とはいえ、危険な国でふらふらするのは危ないので注意。笑
運は誰にとっても平等です
世間では評価の高いこの監督、自分にはいつもしっくりこない。今回もイラつく演出にダレたストーリー。主人公の、仕事と割り切ったレポートも、次第に迷走、暴走、被害者面。正直、怒りの感情さえ湧いてくる。
ラストに近づき、やりたいことと目の前の仕事のズレに足掻きながらも、その経験を自らの心の糧としていく姿にはようやく共感をもてた。前田敦子というタレントのポテンシャルのおかげか。
愛の賛歌…
「私のことは嫌いになっても、この映画だけは嫌いにならないでください!」…それは無理なお願いやわー脇をあれだけのキャストで固めているのに、なぜ??でなんなのしか出てこない…
どうした、黒沢? 帰ろうか、黒沢…
最高!
前田敦子の歌声に感動して涙がでました。葉子の心の痛みと葛藤が大きな画面から前田敦子の表情によく表れていて最後の山羊を見つけた時の心の震えが歌声にあらわれている様で涙が溢れて止まりませんでした。
孤独を知るための旅に出よう
自分のことを誰も知らない土地…
その最たる“異国”に身を置くと
ヒトは伸び伸びと偽りのない
ありのままの自分が出てしまうことがある。
そう、自分自身でも驚くぐらいに…
最初はそのことに、まるで目に見えない足枷から
解放され自由な身になったかのように
はしゃいだり大胆な行動をとったりして
妙な高揚感に包まれた経験を
お持ちの方もいらっしゃるでしょう。
…でもしばらく滞在すると
センチメンタル、メランコリックな気持ちになり
今までの高揚感が冷めて
急に郷愁の念が胸に広がったりするのも
また、記憶する方も多いのではないのでしょうか?
本作『旅のおわり世界のはじまり』では
異国情緒がもたらす一種の〈世界の果て〉に
いるような感慨にとらわれて、
こころが裸の状態になったとき
ヒトはどう自分を見つめ直し
そしてどうしたいのかを確認するという
《再発見からの再出発》を描いた作品でした。
海外旅行が好きなヒトは
きっとそんな想いがあるからなのかな?
と思ったり…
海外を新しい活躍の場にするヒトを
改めて凄い勇気だなっと思ったり…
「世界ふ○ぎ発見」のミステリーハンターって
大変なんだなぁと思ってみたりしました(笑)
〈ウズベキスタン〉という絶妙なチョイス!
俳優陣が少数精鋭なこともありテーマを簡潔に
より深く鑑賞者に提示できていることが好印象!
卒業旅行以来、海外に行ったことのないわたし…
久し振りに“自分探し”の旅に出ようかしら?
居心地の悪さから、大団円へ
見知らぬ場所、なぜ自分が今ここにいるかもよくわからず、周りからはじろじろと好奇の目で見られる居心地の悪さ。
打ち解けようとすれば、応えてくれるかもしれないけど、そんな前向きな気持ちになれない。ヒロインの行動に共感するわけではないが、屈託した感じはよくわかる。
しかし、劇場で愛の讃歌を歌うことを夢想するあたりから、ヒロインの想いやキャラクターが伝わってくる。
ラストは、丘の上での大団円。タイトルとともに、ピタッと決まって、後味はすこぶる良かった。
不思議な感じ
不思議な映画。ウズベキスタンの雰囲気が何となくわかった。
本当の撮影もあんな感じだったんだろうね。切り替えの箇所、さすがあっちゃんという感じ。ディレクターの嫌な感じ、いい。あのぐるぐる回る遊具は、最初と二回目で最後のほうの動きが違う適当な感じが良かった。
ウズベキスタンの美しい風景の中で、淡々と物語は進む。そして主人公は...
ウズベキスタンの美しい風景の中で、淡々と物語は進む。そして主人公は一貫してウズベキスタンとの、世界との関わりを拒み続け、スマホの向こうにだけリアリティを見いだす。
そして訪れる3つの大展開。その大展開によって初めて世界と繋がろうとしてゆく…
ミニマルな語り口ながら、正直、黒沢清作品としては初めて波長が合った。特に二つ目の大展開の劇場のくだりは、その美しさに圧倒された。
異国の地で分かり合える喜び
好きな役者陣の厳しい表情に、特異なドライ感が漂い、そこに入り込むウズベキスタンの人々の好奇な視線…しかし、彼等の言動の根の部分には、殻を打ち破る事で始まる「理解の心」が植え付けられていて、そうした心に背中をさすられ、異国の澄んだ野山で解放されるエンディングは、“始まりの決意”に満ちていた。
ウズベキスタンのよさがでていない。
彼女にまったく気持ちが沿わなかった。
彼女の行動が理解できない。
オペラハウスの日本人捕虜の話も、つけたしのようにしかみえない。
なぜ、ウズベキスタンで撮ったのか、わからない。日本語が通じないアジアの国なら、どこでも良かったのでは。
ウズベキスタンの必然性を感じなかった。
ウズベキスタンの良さがでていない。
ウズベキスタンはいい人ばかり
黒沢清監督の作品はこれまでにふたつ観た。ひとつは「クリーピー 偽りの隣人」で、もうひとつは「散歩する侵略者」である。どちらも普通に見える人が実は殺人鬼だったり宇宙人だったりするという話で、人は誰も仮面を被っていて仮面の下にはまったく違う素顔が隠れている、その極端な例を描いていたと思う。なかなか面白かった。
本作品はそれらとは逆に主人公の仮面の内側から世界を見ているようで、見知らぬ土地での不安や恐怖感を主人公と共有する。言葉がまったく通じない状況では誰でも疑心暗鬼になって他人の悪意を疑ってしまう。街なかは常に小走りだったり、何かを言われると必ずノー!と言ってしまったりするのは殆ど条件反射である。
それでも仕事となると話は別だ。バラエティ番組のリポーターとしての役割をよく自覚している主人公は、カメラが回った瞬間に気持ちを切り換えて肯定的な言葉を連発する。仕事とは人格と時間をスポイルされることである。不味くても美味しい、気持ち悪くなる遊具を楽しいと、笑顔でリポートする。テレビに真実は要らないのだ。そしてそういうところにこの映画に漂う徒労感と無力感がある。不愉快に思う観客もいるだろう。
しかしそれこそ本作品の狙いなのではなかろうか。意味のない虚しい現実を描き、そこに放り込まれた主人公の葛藤を表現することで、ラストシーンが救いになる。中央アジアの美しい山々は、旅の終わりと言うに相応しい。ここから主人公の新しい人生がはじまるのだ。
主人公を演じた前田敦子は「さよなら歌舞伎町」での演技はそこそこだったが、本作品の演技はとてもよかったと思う。ときに弱くときに強い女心の気まぐれを上手に演じていた。
脇役陣は達者な人ばかりで、それぞれなりに主人公を見守る。特に染谷将太がかなりの好演で、企画をゴリ押しするテレビマンもそれなりに心の闇を抱えていることがよくわかる。この人は「さよなら歌舞伎町」でも斜に構えた青年を好演していた。
たくさんの消防士が死んでも彼氏だけが無事であればいいのかというツッコミはひとまず横に置いておくとして、愛の讃歌がエディット・ピアフの原詞に近いほうの訳詞で歌われていたのはこの映画に合っている。この歌が選ばれたのは原詞のbout du monde(世界の果て)からきているのだと思う。そしてウズベキスタンは、パリから行くとしたらまさに地の果てであり、日本から見ても遠い異国の地である。今後はウズベキスタンと聞くとこの作品のイメージが浮かぶことになるだろう。穏やかな通訳の男性、ちゃんとした料理を作ってくれた食堂のおばちゃん、それに紳士的な警察官。「ウズベキスタンはいい人ばかり」という主人公の台詞を信じてみたい気がする。
ヒロインの行動にいちいち共感できない
●飼いやぎを野生に放して生きていけるんかーい!
●そこまでビクビクしてるのにスカートで外出かーい!
●さわりだけ歌ってって頼んでるだけで、ガチで歌えって言っとらんわーい!
●WIFIつなぐために署長追い出すんかーい!
などなど、いちいちヒロインの行動や言動に共感できず。
何より彼女は無意識に歌手>レポーターと思ってるのでは?
やぎを飼ってたおばちゃんのしたたかさのほうがよっぽど共感できた。
でも、ウズベキスタンの風景は見事でしたよ。
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