騙し絵の牙のレビュー・感想・評価
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思ったより良かった
斜陽産業である出版業界は新しい風を入れないと衰退あるのみ。映画もそうですが、SNSやらなんやらで、メディアがあり過ぎて、仕事もあってもう観る時間も読む時間もないんです!今の世の中、コンテンツが溢れすぎてます。
だから、老舗出版社だろうが大手映画会社だろうが胡座をかいていたら倒産するかもしれないですね。速水氏ごもっともです。
ただ、ラストの展開だったら人を呼び込めそう。以前住んでいた家の近くに、フェミニズム本がたくさん置いてある書店を30代の男性が経営していて、なんだか好きな場所でした。そんな特別な場所を体験できる感じで、関野さんと江波さんが書店をやるなんてサイコーです。
割と難しい
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大手出版社の社長が死に、一族外の佐藤が社長になる。
赤字だが100年以上の歴史を持つ小説部門(佐野・木村)と、
新しく来た編集長(大泉)のいる雑誌部門が何かと対決。
小説部門にいた松岡は、斬新な新人を発掘し推すが却下される。
100年の歴史の風格に合わない的な理不尽な理由だった。
やがて松岡はベテラン作家への態度が問題視され雑誌部門に異動。
大泉はその新人の作品を雑誌に載せると言って連れて来る。
二枚目だったので色んな手を使ってメディアに売り込んだ。
それで有名になったので、佐野らがこの二枚目を横取りする。
そして小説部門からデビューさせると記者会見を開く。
でも全ては大泉の罠だった。会見中に二枚目が突然の告白。
その作品は行方不明の友人が書いたものだったとのこと。
これにより佐野は失脚する。二枚目は大泉が用意した俳優だった。
しかも本物も見つかってて、雑誌部門に連載する方向となった。
そして先代社長の息子がアメリカから帰って来る。
大泉は実はそことつながっており、佐藤も失脚させる。
そして松岡が突然の退職、実家の小さな本屋を継ぐ。
上記本物に気に入られており、その本を出版までした。
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何かと騙し合いばかりで、コロコロ変わっておもろいのやが、
何かよう分からん部分も残ったなあ。
まず大泉は何故偽作家まで用意して佐野を失脚させたのか?
佐野が横取りのようなことをしたから佐野が失脚したが、
もししなかったら、自分が失脚することになるんやけど・・?
刺し違えてでも失脚させたい、という仇ならともかく、
佐野はそこまで悪ではないと思うのやが・・・。
あと松岡が偶然落とした原稿から大泉はこれを思いついただけで、
それまでは佐野を失脚させようとかしてなかったと思うのやが、
先代の息子との話を聞く限り、佐藤の失脚中心に動いてたっぽいし。
それに先代の息子がアメリカでアマゾンと契約して来て、
それにより今後この人が社長になって佐藤が失脚するんやろけど、
その契約ができなかったらどうすんの?
既に社長になってる以上、そのまま佐藤が居座ると思うのやが・・。
何かホンマに色々分からんかったなあ。
展開が早く飽きずに楽しめる
どんでん返し作品が好きな方はとても楽しめると思います。
最後の最後は「そうきたか!」となりました。
映画作品の展開が面白く、原作があるとのことで原作も読んでみました。
映画は“おもしろさ”が強い印象でしたが、原作は”感動”が強かったです。
原作は、大泉洋さん演じる速水輝也が編集者を目指したきっかけが最後に描かれていて、それが涙なしでは読み進めることができませんでした。
そのため、速水輝也がおもしろい人間であることに変わりはないのですが、小説と映画では作品の雰囲気が大きく違っている印象を受けました。
また、松岡茉優さん演じる高野恵は、映画で最後の最後に成功を収める人物でありましたが、小説では速水輝也が成功を収めています。映画を見て、「速水さんが大成した姿を見たい!」という方は絶対に小説を読むべきな気がします笑
映画としての感想というより、原作と映画を比較しての違いを語る部分が多くなってしまいましたが、結論を言ってしまえば、映画も原作もどちらを見ても(読んでも)、“おもしろい”ということです。ぜひ、見て、読んでみてください。
この作品だけ
大泉洋さん出演でいいなと思えただ一つの作品です。ファンの方には申し訳ないですが、大泉洋さんは苦手でした。
自分が観たい出演者が出ているので観た作品に出てられて、なぜこの人を起用するのだろう、と思ってました。
しかし、この作品では見た目や演じ方がピッタリ合っていて、まさかのことにカッコよくさえ映ります。ただ、終盤松岡茉優に出し抜かれて屋上でコーヒーカップを蹴っていたのはいただけなかった。いつもの速水らしく動じず落ち着いて景色を見ながらゆっくりとコーヒーを飲み干す姿が見たかった。速水のカッコよさが際立ったと思う。
結局、騙し絵とは、出し抜き出し抜かれ騙し騙される過酷な出版界を描いたという事?
牙は期待させたわりに、K.IBAだったりKoとばのK、〇〇のI、〇〇のB、A‥‥この時代でローマ字の頭文字?
鋭い牙?あったかなあ。
変わり者編集長・速水(大泉洋)が当然、編集長と言う実働部隊から覇権...
変わり者編集長・速水(大泉洋)が当然、編集長と言う実働部隊から覇権争いのキーパーソンになっている所がピンとこない。新社長・東松龍司(佐藤浩市)の更迭とKIBAプロジェクトの頓挫を「社長室」で、どんでん返しをするのは、ミステリーの犯人当ての様でチープである。伊庭惟高(中村倫也)は後ろ盾も無いのに、何の権力があるのかも分からない。持ち株が多いのなら役員会議が蚊帳の外だったのもおかしい。もっと良い演出があったと思う。まだ伊庭惟高(中村倫也)に対しても速水(大泉洋)が、上から目線でしゃべっていたら、「俺はいつでも辞めてやる。面白い事がやりたいだけの放浪者」の人と言う事で納得できるが、伊庭惟高(中村倫也)に対してヘコヘコしてるから、キャラがブレブレだと思う。
たぶん原作者は、会社で責任ある仕事をしたことが無いんだと思う。
だから、権力争いの人と、実働部隊の発想がまったく違う事を知らないんだと思う。
出版戦略の二極化
とても面白かった。
重すぎず、誰も死なないし、どよんともこない空気の中で味わえる作品なのは、出版という娯楽文化の上での話だからだと思う。
見終えて思うのは、誰も騙し合っていなくて、それぞれの生い立ちや背景のもと、移りゆく今に合わせて牙を仕掛けているだけということ。
紙媒体にとって、手に取って貰う販路整備が非常に重要。でも中身も重要。
紙媒体は雑誌に依存、雑誌は広告に依存。
この収益体質を変えない限り、中身も面白くはできない。
そのどこにこだわるかが、登場人物ごとに違っていて、とても面白い。
速水は根がフリーで各出版社を渡り歩いてきただけあり、出会いや人脈や考え方も輪を広げていくスタイル。良いものは共有していけば良いという思考の持ち主。最後には先代社長の息子惟高氏と組み、薫風社文書をAmazon独占販売とする拡大の戦略を取るが、面白さを重視する。
先代社長、伊庭喜之助のもと5年温めた、昔から文学を扱ってきた歴史ある薫風社の文学資料館を本の物流センターとして扱うKIBAプロジェクト。
これを先代亡き後もどうにか推し進めたい改革派の東松と、小説薫風の品格と歴史を守りたい宮藤の派閥争いに思えたが、先代の息子惟高は既に先手を打ち、薫風社の書籍をAmazon独占販売とする交渉をアメリカで半年かけてまとめ、雑誌はweb化する策を練っていた。
東松は先代を守りたい、そして敵対派を出し抜きたい一心だったようだが、KIBAを進めるには時が立ちすぎていて、のろのろしているうち惟高も帰国し、失脚。
利益の出ない小説薫風が社内で聖域化しているものの、宮藤は薫風のブランド力をかざすだけで、風穴を開けようとしない。どころか、小説の賞に影響力を持ち、文学界の公平な評価を妨げてその名を汚す言動まで。結果、失脚する。
小説薫風を背負い守ろうとしていた江波は、薫風と作家と宮藤に失礼のないよう、名を汚さぬ事だけを考えていたようだ。作中、守りの象徴、攻めない象徴的存在。だが最後には高野を手伝い新たな一歩を踏み出す。
高野は街の書店が実家で、作品や作者と向き合って高めていきたい。良いものがあると思ってお客さんが足を運んでくれるスタイルを最終的に父から継承し、ドラマにも漫画にもなっていない、本で読むしかないもの。そこでしか買えない本を扱う選択と集中型を取った。
社内の派閥争い、社内の小説薫風vsその他雑誌の争い。雑誌トリニティの編集グループも巻き込まれながら、販売部数のために企画を挙げていく。
速水はサバゲーを趣味とし、前から気になっていたのはジョージ真崎ことモデルの城島咲の狂った文体だった。銃器好きの城島咲がトリニティで表現するきっかけを作る。城島咲役の池田エライザ以外できないような、可愛くて闇とハードボイルドを秘めた存在感がとても良かった。
高野は新人作家として目をつけていた矢嶋聖が薫風の賞からははずれるため、個人で目をかけてデビューさせようと思っていたが、実は矢嶋と、高野が好きな伝説の小説家、神座(かむくら)は同じ人物だった。
大御所作家としては、二階堂というワイン好きで出版社の経費で豪遊する、所謂な作家先生も出てくる。二階堂は長年甘やかされていた指摘を受け、原作をトリニティでコミック化する決意をする。
みんな、表現した文章を、現代でも認めて貰いたい気持ちはあって。
それらの文章や才能と、現代の市場や消費者動向とのかけ合わせを行いつつ、縮小業界を担わねばならない出版社の方々の苦悩がわかりやすく上手に描かれていた。
らしさvs面白さでは、作中では面白さに軍敗が上がったようだ。
販路の拡大vs縮小のどちらが面白いのかは、速水も高野も生存戦略のどちらを取ったかというだけで、正解はないような気がした。
尻すぼみ
尻すぼみかな。
出版会社内の権力闘争に、主人公が上手く立ち回って勝利を収めるかに見えたが・・・というお話。いろんな人の騙しあいが確かにあり、終盤まで一気に駆け抜ける疾走感は見ごたえがありました。ただ、ラストの15分があまりにも尻すぼみで。
最終的に部下の高野(松岡茉優)に裏切られる形(高野に悪気は全くない)になりますが、会社で得た情報・案件を持ち出して退社するのは、訴えられないのかな?と疑問。
また、会社側に立ち自分を他部署に移動させた元上司の江波(木村佳乃)と、退社後、仲良く一緒に仕事するかなぁ?とこれまた疑問。
主人公の速水(大泉洋)にしても、会社に残りまた地道に会社のために奔走するというようなエンディングもしっくりこないんですよね。原作小説のすぐに退社後、起業家となって、自ら「株式会社トリニティ」を設立、という流れになぜしなかったんでしょうか?
大泉洋もインタビューで「(原作で当て書きされていたのに)私が出た映画の中で一番、私っぽくなかった」というようなコメントをしており、本人もちょっと納得してなかったのかな?とも思いました。
by TRICKSTER10
出し抜く、仕掛ける…
出版業界の行末を見るような、騙し騙され、面白い内容だった。大泉洋をあてがきしたと言うだけあって、まさに大泉洋のために作られた、軽さの中にもピリッとある感じ。佐野史郎は適役。
さながらマカロニウェスタンの用心棒
これほど手の込んだ裏があったとは、まさにタイトルに納得です。
いかにも現代の出版界の苦境の様をノンフィクションばりに描きます、創業一族と番頭さんたちの暗躍も妙にリアリティを感じます。バラエティ雑誌の売り上げ向上策も現実的で感心した。
原作の老舗出版社という舞台設定の上に練られた脚本で曲者揃いの豪華俳優陣が重みを添えて、軽妙な主人公とのミックスがいい味になりました。
アイドルがストーカー対策に3Dプリンターで護身用の拳銃を作っていたなんてエピソード、安倍さんの事件を知って観るとあながちフィクションとは言い切れない時代の怖さを感じます。
大泉洋さんを当て書きしたと言うだけあって、策略家で人たらしなのが嫌味にならないのは大泉さんだから成立するという思いも同感です。社長派と常務派を手玉に取る主人公は業界の流れ者、さながらマカロニウェスタンの用心棒にも思えてきます。
大泉さんレベルでも納得していたのですが部下の松岡茉優さんの方が師匠を越えていたと言うひねった落ちも絶妙でした。
予告詐欺。期待外れ。
大どんでん返しを期待したが、なにが大どんでん返しなのかわからない。最後の最後まで期待していたが結局誰が勝ったのか幸せになったのかよく分からないで終わった。本当に期待はずれでした。
出版業界への問いと、自分たちへの問い
ストーリーとして、大逆転感やテンポの速さがあったかと言うと、もっとあった方が理想ではあったが、とても面白かった。
出版業界という自分たちの美学に縛られ、緩やかに沈み続けていることに対して痛烈に描かれている。薫風社一社の問題ではなく、業界全体への問い。それは配信会社である角川への問いにもなり、最後に中止が確定した構想は、実行したさくらタウンへの問いにしか見えなかった。一方で紀伊國屋の名前がよく出てくるのは、松原さんが役員に入っている角川への配慮も見えた笑
Amazonとの包括提携、自分たちで作り一冊しか売らない森岡書店、この物語の続きは現実世界で楽しむことが出来る。
騙し絵の牙
騙し絵というタイトルだったので騙し合いをし続けるバトル的なイメージかと思ったら、少し違っていた。
出版業界を舞台に大泉洋さんが編集長として、主演を務める。
本の製作の裏側や出版というものがどんな事が少し垣間見えたような気がした。
松岡茉優さんと大泉洋さんの掛け合いが絶妙でいいなと感じた。
テンポ良く物語が進んでいくので見ていても飽きる事がなく、楽しめました!
確かに騙された。何にって?予告編に(笑)
Netflixで鑑賞。
原作は未読です。
いやぁ、騙された!
何にって? 決まってるでしょう、予告編ですよ!
全員が嘘をついている…ってついてなーい! 殆どの登場人物が速水の策略に振り回されただけであって、嘘をついていたのはほんの2、3人でした。誇大広告もいいところだ!
原作は大泉洋に当て書きされたそうですが、本作を観た限りでは役どころから全然大泉洋らしさが感じられませんでした。原作からの改変が行われたと云うことか?
とは言え、大泉洋はじめ、豪華なキャスト陣が織り成す演技のアンサンブルは一見の価値有り。"騙し合いバトル"は無かったけれど、"演技バトル"はかなりの見物でした。
熱く、楽しく、面白ければ何でもいい“お仕事ムービー×コン・ゲーム”
出版業界を舞台にした作品というと似たり寄ったりの忙しいお仕事ムービーがほとんど。
が、本作はそうでありながら、一線を画す。
裏切り、騙し騙されのコン・ゲーム要素をプラス。
原作は『罪の声』の塩田武士。監督は才人・吉田大八。出演は大泉洋、松岡茉優他豪華な面々。
これで面白くない訳がない!
出版業界の不況の煽りを受ける大手出版社“薫風社”。
創業一族の社長が急死し、次期社長の座を巡る争いが勃発。
先代の息子を擁する常務vs売れない雑誌を次々廃刊する大改革方針を進める専務の東松。
そんな中、変わり者の速水はカルチャー誌“トリニティ”の編集長に就任。“偶然”社の顔“小説薫風”から新人編集者・高野を引き抜き、発行部数を上げる様々な奇策に打って出る…。
速水の打ち出した奇策。それは…
これまでの固定概念やカラーに染まらない。
“小説薫風”専門の大御所作家に掛け持ちして貰う。
“小説薫風”で落とされた才あるイケメン新人作家のデビューの場にする。
人気の美人モデル作家に本当に書きたいものを書いて貰う。
編集者各々、温めていた企画をぶち込む。
20年以上前に姿を消した幻の作家、シンザ…いや、神座(カムクラ)の足取りを追う…。
面白ければ何でもいい!
どんな業界でも新風を吹き込むのは、異才。
それは古今東西明らか。
勿論昔ながらのやり方も大事。でも、寛容さの無い固執した傲慢さが才能を潰す。
双方取り入れて、各業界生き残れる可能性がある。
原作者が当て書きしながら執筆しただけあって、速水役は大泉洋にドハマり。
飄々とした性格、軽妙なトーク、親しみ易い人たらし、そしてその中に隠し持つ“牙”の漢気…。
とあるインタビューで、「私が演じた役の中で最も私に遠い」なんて返すのも、流石!
速水に振り回される松岡茉優も流石の巧さと魅力。ある人物に対して言う、「お前、誰だよ?」には笑った。また本作はクセ者速水劇というより、彼女の奮闘・成長劇でもあった。
若手、実力派、個性派、ベテラン、本当に出てくる出てくるその面子を見ているだけでも楽しい。一気に駆け足で。
池田エライザ。何か問題とやつれを抱えた人気モデル。
中村倫也。最後に登場する先代の息子だが、その目的は…?
佐野史郎。憎たらしい役所はお手の物。
國村準。居ると思わせる面倒臭そうな大御所作家。
木村佳乃。クールなキャリアウーマンがハマる。
小林聡美。彼女はもう素でしょう。
宮沢氷魚とリリー・フランキーの役所については、内緒。
佐藤浩市。存在感は言わずもがな、速水の後ろ楯だが、侮れない。
豪華キャストのクセ者キャラを捌きつつ、出版業界の内幕を、スリリングかつユーモアを交え、テンポ良く仕上げた吉田監督の手腕こそ、“大胆な奇策”。
一作一作ごとにシリアス作品とブラック・ユーモア作品を手掛けているが、本作はこれまでの中でも最もエンタメ色が高い。
この才人はまだまだ秘めたるものを隠し持っている…。
宣伝文句なんかでは、“ウソを見破れ!”とか“大どんでん返し!”とかかなりの捻ったストーリー展開を煽る感じだが、勿論どんでん返しはあるが、他の方々が仰るように、ちと誇大広告過ぎかな、と…。
速水が高野からのペン入れを何度も断る時点でうっすら察しが付いた。
姿を現さないあの人物がきっと思わぬ所で絡んでくるのも察しが付いた。
しかし、話が非常に面白かった。
まさかの敵陣地からの引き抜かれ。が、これは速水が先読み仕掛けた“爆弾”。
誰が敵で、誰が味方か。使い古された言葉だが、コロコロ変わって本当に本作にぴったり。
速水の起死回生の奇策。廃刊の危機をどう免れる…?
小説薫風vsトリニティの“仁義なき戦い”の行方。
東松が推し進める“プロジェクトKIBA”とは…?
下手すりゃバランスが悪くなるくらいの要素を詰め込みながらも、そこは吉田演出、伏線も張られ、最後まで飽きさせない通快エンタメ!
エンタメ一色ではない。
前述の通り、出版業界の表と裏。
また、出版業界のみならず、どの業界にも通ずる“スキャンダル”。
ある事件が起きる。そのまま出版するか、差し替えるか。
映画業界なんかもそうだ。一人の役者が不祥事を起こし、公開延期や見送りや最悪お蔵入りだってある。
世間一般的にはきっと、不祥事を起こした人物の雑誌や映画など見たくない!…と、ボロクソ炎上するだろう。
が、その作品の為に努力し、心血注いだ作り手の思いは…? たった一人の不祥事の為に作品が水の泡と消えてもいいのだろうか…?
不祥事は不祥事。人それぞれ意見もあるだろうが、犯した事と芸術は別。
劇中でも言っていたが、綺麗事で詭弁かもしれない。売り上げの為の炎上商法かもしれない。
だけど私は、“作品は作品”を信じたい。
速水の台詞、「楽しければ仕事はおもちゃでもいい」。こんな事言えるなんて凄い。そう言っといて、実際は仕事に熱い男。
高野の最後選んだ道も心地よいものだった。
出版社のようで、ネット通販ツールのようで、昔ながらの本屋さんのようで。
その根底には、本が好き。
ずっと速水に振り回され騙されっ放しの彼女だったが、最後の最後に速水にしてやったり!
実は強か? いや、
これがひょっとしたら、本作一番の“騙し”だったり…!?
これは面白い!!
ワクワクしながらラスト迄引き込まれました。
飄々としたデキる編集長速水を演じた大泉洋さんの魅力が炸裂✨魅了されました。
他、全てのキャストの皆さんの配役が絶妙✨
原作者の塩田武士さんの本を読んでみたくなりました。
ー最も難しいアイデアだから面白い
映画館での観賞
優れた才能には何者も敵わないのだ。
この物語は、松岡茉優ちゃん演じる若手女性編集者が、海千山千の作家,出版関係者に揉まれに揉まれて、新たな夢を叶えるサクセスストーリーである!
…ま、間違ってませんよ?笑
前評判の「予測不能」はまだしも、「だまされる」はどうかなぁ。(一番予想できなかったのは城島咲のアレか)
逆転の連続というシークエンスは大層面白かったけれど、最も痛快なのは、速水の終盤の台詞。「僕らは書かせる人」…そう、どんなに売り方を考えようが、結局はクリエイターの才能と、エンタメを望む需要が一番大切。それには勝てないのだ!(現に独りよがりの主張や、作品の出来を無視した側は敗北している)この作品最大のメッセージとツボって、そこにあるんでしょうね。
俳優陣の演技が素晴らしいのはキャストの並び見ただけで約束されているが、観賞後に気がつく配役の妙!
勝ち組や優れた才能を発揮した人物を演じた俳優さんたち…皆さん、演技意外にも多才で知られているのよね。
松岡茉優ちゃんは、歌にダンスにバラエティMCにコメント力がハンパない。池田エライザは、(劇中と同じく)モデルに歌に映画監督。宮沢氷魚だって大人気モデルだし、リリーさんにいたっては俳優が本業ではない!笑
原作者は、大泉洋を徹底的に取材して作品を書き上げたそうだけど、その他キャスティングももしかしたら、御本人さんらの多才ぶりをイメージしたのかもしれないなぁ。
紙媒体の危機に肌で触れさせてくれた
予告では「最後のどんでん返し」「騙されるのは誰か」などとミステリーのように謳われていたが、私は違う面で印象的だったので、そちらについて述べさせていただきたい。
学生時代、書店でアルバイトをしていた。年々売れなくなる実用書、文芸書、そして、廃刊や休刊の進む雑誌。それらを直視していて物悲しくなっていた。この作品では、雑誌の中身を見ることによって、より現実を直面させられた。
小さな書店で生まれ育った高野が、新しいことをしてどうにか書店や紙媒体を守ろうとする姿に心打たれた。しかし伝統を守るためと言い、高野の意見を反対する編集室。この大人たちの強すぎるこだわりそして愛が、ひとつの物を壊してしまうのかと思えた。
紙媒体は縮小するかもしれない。だが、雑誌が提供するエンタテイメント、そして文章を紡ぐことは、決して廃れないとも思わせてくれた。
エンタテイメントは、最後速水が言っていたように、ネットであったりAmazon専売であったりで続いていくのだろう。ただ、それだけでは物足りない。そんなところで高野の粘り強さが功を成す。「高野書店」として自らが出版から販売まで携わるようになる。これがどんでん返しだったのかもしれないが、素直に新しい案だと感じた。現実的に困難かもしれないが、こういう書店がこの世に生まれたらいいのにと思えた。
文章を紡ぐこと。これについては城島咲が示してくれた。可憐な容姿の中に孕む、彼女自身を巣食う暗いものを、文章を紡ぐことやミリタリーグッズを集めることが救っていたように思えた。発売を決意した彼女が表紙のトリニティや刑務所での速水との会話によって、彼女の文章が誰かに届き、彼女が救われることを祈るのみだ。
映画は小説とまた異なる内容だそう。『罪の声』も観たいし、塩田作品にも触れたいと思えた。評価が3であることの所以は、単純に予告との差異である。
松岡さん、やっぱりいいです!
みなさんのご意見通り「みんな騙される」みたいな宣伝文句が邪魔してますね。
原作が面白いんでしょうね~大泉洋をイメージして主人公を「あてがき」した小説との説明がありましたが、大泉洋劇場、いや『松岡茉優劇場 feat.大泉洋』ってところかもしれません。
脚本家さんも監督さんもいい仕事してますね~。
なんの事前情報もなく、ただ宣伝の松岡茉優さんと大泉洋さんのセリフのやり取りは別シーンなんだよ!ぐらいの知識で臨みました。最近の映画は予告編がハマってなくて逆効果みたいのが多いですね!?
以前は構えて観ましたが、最近は「予告編には騙されないぞ~」ってスタンスで臨んでいるので(これも成長の証??)大丈夫ですが、純粋にストーリー展開、大泉洋さん、松岡茉優さんのやり取りに見事にはまって見入ってしまい「もうおしまい?」みたいな後味でした。
脇を固めるベテラン役者さんたち演技も素晴らしいこと。佐藤浩市さんのしたたかなキャラ、國村隼さんのいかにもいそうな大御所キャラ、小林聡美さんのひょうひょうとしたベテラン芸、素晴らしいです。佐野史郎さんも健在でした。記者会見の最後では是非とも唇を歪めて「んんん~」と唸ってほしかったです!
池田イライザさん、エンドロールまで小松菜奈さんかと勘違いしてましたがいい雰囲気でした。
『島唄』の宮沢さんの息子さん、カッコいいですね、ドラマで出ずめですもんね。
リリーフランキーさんも本当にいいアクセント出してくれますね~FMで週末にやってる番組でアシスタントの女の子たちにセクハラギリギリの会話をしているのもリリーさんならではと許されているのがうなづけます。
いやあ面白い映画観させていただきました!ありがとうございます。
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