「映画に理屈は映らない」止められるか、俺たちを uzさんの映画レビュー(感想・評価)
映画に理屈は映らない
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若松監督は存じ上げないが、映画製作映画には惹かれてしまう。
とりあえず芝居がすごい。
日常の自然な演技と、劇中劇での昭和的な演技がしっかり使い分けられている。
穏やかないい人が多い井浦新が口元をひん曲げ、口調から声の出し方、口の開け方まで変えていて見事。
門脇麦の細やかさと分かり易さの両立も異次元で、酔っぱらいのシーンは特に魅力的だった。
映画製作の舞台裏が描かれ、勿論いいことばかりではないのだが、みんな楽しそう。
議論を戦わせたり、放尿したり、プールに忍び込んだり、学生がそのまま大人になったようで、正に青春。
口は悪くも面倒見はよく、何より映画が大好きな若松監督の元には、そりゃこんな面子が集まるわ。
吉積を中心に苦悩もしっかり描かれており、青春群像として纏まっている。
撮りたい作品のために不本意な作品も撮る。
ここは、シングルでは一般受けする曲を出しつつもライヴではカップリングを中心に演った黒夢を思い出した。
生きるためには開き直りも大事だよね。(満島真之介はピュア過ぎた)
撮りたいものも見つからず、初監督の短編も認められず、妊娠の相談も出来ず亡くなった吉積が不憫。
そのためスッキリとはしないが、望んでのことではなかったと信じたい。
飾られた写真が、彼女がいかに愛されていたかを物語る。
それでも彼らは止まらないし、止められない。自分自身にすらも。
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