映画としての面白さがないわけではない。
一般的に、登場人物には選択肢があり、動機や性格によって行動が決定する。
そしてその過程には違和感があってはいけない。
この作品は主人公のサマーが組織の殺人事件を見たことで、組織から追われるという物語だが、事故によって記憶をなくした彼女が、予知夢というか白昼夢を見るようになるという設定。
この感覚の助けによって、彼女が行動するか否かを決めるが、未来を変えるために最後の決戦場へ行くという手段は、彼女の予知夢と矛盾する。
また、ラスボスが誰だかわからない設定はよかったが、それがランスだとわかってがっかりした。大げさに登場した市長に「やっぱり」と思わせておきながら、それをどんでん返しにしたまではよかったが、早々に打ち殺されるランスより、鋭い視線の部下のほうがラスボス格には合うし、そこに肩透かしを食らった気分だ。
言動すべてがおバカなランスがなぜラスボスになりうるのか、そこが説明されていない。
サマーは、袋叩きにされた自動車工の仲間に警察に言うとおまえも殺されるといわれたことで、逃げるしか方法を思いつかない状態が続くが、予知夢を見てすぐに警察に言えばこの物語はそこで終わる。
また潜入捜査官があまりにもポンコツ過ぎ、情報が警察全体に伝わっていないことは、基本的にはないはずで、これは設定上大きな疑問だ。こうした積み重ねがこの映画の質を落としている。
何度も見るのをやめたが、見たことを記録したいので最後まで見た。