轢き逃げ 最高の最悪な日のレビュー・感想・評価
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実に惜しい
実に惜しい作品である。生前の望とその家族を先に描くべきだった。
人が人や動物の死を悲しむのは、それに纏わる思い出があるからである。家族や友人の死では生前の思い出が悲しみを誘発するが、赤の他人の死には何の思い出もない。事故や災害で何人死んだというニュースを見ても、へえと言うだけである。思い出がなければ悲しみもないのだ。
被害者が被害に遭う前のシーンを先に映すやり方は常道で、水谷監督は敢えてそうしなかったのかもしれないが、常道になっているのはそれなりの理由がある。観客は被害の前の被害者の思い出を得るから、被害者の死に悲しみを覚え、遺された家族に感情移入する。
本作品で少しだけ感情移入するのは前半のひき逃げ犯に対してである。ひき逃げ犯に感情移入してほしいから、被害者の思い出をなしにしたのかもしれないが、おかげで映画の後半は誰にも感情移入できなかった。
アイデアやプロットはとてもいい。脚本の台詞は月並みだがそれなりのリアリティがある。被害者の父親を演じた水谷豊の演技は「相棒」で見慣れた右京さんとは違って地に足がついている。右京さんみたいな天才的な閃きはないが、娘の死が腑に落ちない父親の執念を上手く表現していた。檀ふみも貫禄の好演である。若手の人たちもそれなりに頑張っていたと思う。
前半の単調さに比べて後半は展開の読めないワクワク感があり見ごたえがある。返す返すも被害者の生前のシーンがなかったことが悔やまれる。
ハラハラしました
サスペンス要素ありつつ、脚本の展開の仕方としては面白い捻りはそんなに感じなかったけど、カメラワークとかハラハラさせてくる絵作りはとてもよかった。いろいろ気をつけなきゃなって気持ちになった。教習所で流したらいいと思う。水谷豊のお父さん役良き。
同情、共感しにくい…
タイトル通り、轢き逃げをする話。勝手に、山田孝之、玉山鉄二が出演した「手紙」みたいなストーリーかと思ってた。被害者家族や世間に責められるんだと思ってたら、ちょっと違った。轢き逃げをする羽目になる運転のシーンは、すごく怖かった。同乗してたら、こんな運転してるから事故るのよって言ってたと思う。作品は、加害者の心情を中心に描かれてる印象。当然だけど、同情できない。被害者家族も、水谷豊の奇行、妙に物分かりのいい母親ともに共感できない。ラスト、娘の誕生日のシーンで大泣きしてた時に、ああ、平気なフリしてただけなんだなぁと思えたけど、加害者を怨む気配なし。怨んでも、娘は帰って来ないから…って、そうなんだけど、怒りとか、ないんかい?って感じ。親友の奇行は、ちょっとしたドンデン返しで、面白かったかな。最後、加害者から、元婚約者へ宛てた手紙は、やっぱり「手紙」を思い出した。あの手紙でもって、キレイにまとめた感があったかな。ストーリーとしては微妙な心情を描いてるんだけど、同情とか、共感ができない分だけ、面白さ半減だったかな。
伏線なしのストレートな展開
映画の前半は,リアリティが希薄な会社や上流階級の家族の話で退屈でした.でもこれらが,後半のストーリーを複雑にする伏線なのかなと思って素直に鑑賞しました.しかし,ごく普通の刑事によってあっさりと犯人が特定されてしまい,さらに,ほとんど判別不能の動画から犯人の再逮捕に至るという流れにすこし不満が残りました.せめて,あの専務のドラ息子が事件の裏で糸を引いていたなんて事がないのかなと思ってしまいました.でも,映画の前半の伏線をストーリーに絡めると,映画が長くなりすぎてかえって面白さが半減してしまう可能性もあるかもしれない.そこが水谷豊さんの才能のすごいところなんだと勝手に思い込んでいます.あのラストシーンをみると,主役は壇ふみさんなのかなと思いました.
個人的には
序盤に轢き逃げをしてからの「誰も見ていない」というセリフ、物凄い「人間らしさ」を感じました。
警察を見て心臓がバクバクしたり、何気ない周りの発言が自分の犯した罪について言っているのか?と自意識過剰になったり、罪悪感を感じながら生活するなんて生きた心地がしないんだろうな、と思います。リアルな心情描写にこっちまでヒヤヒヤしました。
終盤の檀ふみさんの演技、素晴らしかったです。実の娘が亡くなって一番辛いだろうに我慢して、夫を励ましていましたが、あれは自分自身の辛い気持ちを誤魔化していたんだろうなと思いました。最後にありがとうと言われ、ずっと張っていた糸がぷつんと切れて号泣するシーンでは貰い泣きしてしまいました。
改めてこの作品は「人間らしさ」を感じるいい作品だと思いました。
水谷豊監督の凄い作品!
「TAP THE LAST SHOW」の出来が大変良かったので水谷豊監督の本作品を見に行きました。
前作で、監督としての才能を開花され、水谷豊さんの新しい面を大変に気に行っています。
本作品、2作目としては、非常に重いテーマの作品を選びましたね。
前作と変わり内容の方は大きな派手さはありませんが、前半は、加害者、後半は被害者と言う感じでそれぞれの苦悩をしっかり描いております。
本作品のような内容は、運転をする自分にも降りかかるような事なので、見ていて凄く怖いです。
しかし、水谷豊監督、2作目の監督作品とは思えないほどの作風にみているこちらの安定して見続ける事が出来ます。
本作品、強いて言うのなら、本作品の落ちは必要ないかもしれませんね。
落ちを考えるとサスペンス映画なんだろうが、落ちなしで、本作品のテーマである「轢き逃げ」に関する加害者、被害者側の立場やそれに関わる人間の心理や感情を描いていたらもっと良かったかな。
前作でも言いましたが、亡くなった松田優作さんが、見たら水谷豊さんに嫉妬するだろうな・・・・
水谷豊さんの監督次回作品も楽しみに出来るものになっていました。
やるな!水谷豊!
いやー、喝!と見せかけてあっぱれ!
作品の隅々まで、水谷豊さんの細かな演出が光っている。感動した。サスペンスだと思って拝見した。どーせ相棒まがいの刑事ドラマの延長だと思った。有名な俳優は出てないからどーせつまらないし入っていけないだろうと思って拝見した。
完敗した。申し訳ない。本当に素晴らしい作品だった。この映画を見て、暗くなったという人はいないだろう。人間の奥底にある、何かが疼いたのではないだろうか。まだ見てない皆様、きっと疼く。若い人たちにこそ見てほしい。若い人たちにこそ刺さる。騙されたと思って、巨匠水谷豊の世界を旅してきてくれ。
2時間TVドラマ。だが水谷監督の最高作!!
演出は相棒等のTVドラマ的で
オーバーなアクションが若干興醒めを誘います。
しかし過去作を見てきたものとしては、今回、
水谷さん!監督は辞めた方がいいのでは、、、
とかなり恐る恐る見に行かせて頂きました。
(失礼^^;、m(_ _)m)
結果、、、なかなかいいじゃないですか?!
特に脚本はかなり練られた感がありました。
個人的に「TAP」が非常にもったいない感が
あったので、水谷監督、次回作にも期待です!
「どんな理由があれ、轢き逃げは許されないし、
とんでもない結果になり、
その罪は決して許されない。」
「一生かけても許されないし、
たとえ誰かが許したとしても
自分で自分を許すことはできない。」
という非常に強いメッセージに感銘を受けました。
本当にその通りだと思います。
しかし、そこに一人の狂人的な嫉妬による犯罪を
絡めてしまうとメッセージがぶれてしまった
ような感じがして、そこは残念でした。
あと、お父さんが刑事みたいになっちゃうのは、
やっぱりそうなっちゃったか!!と、
ちょっと微笑ましく見てしまいました。。
個人的に、神戸の中華街を走ってくれて、
ありがとうございます。
やっぱり見たことある場所がスクリーンに
映ると何か嬉しいものですね〜^ ^
役者陣は本当に素晴らしいです。
水谷さんももっと普通の人役をやってほしいですね。
すごく微妙な感覚でリアリティを感じさせてくれた
今回の役は本当に良かったです。
この映画の要は、檀ふみさんが支えてくれたと
思います。檀さん無しにはこの映画は存在できない
と感じました。
そして、流石流石の岸部一徳さま。ベテラン刑事は
これまでの集大成的な良さがありましたね。
若手の部下の毎熊さんもいい味を出してて
二人のデコボココンビぶりが良かったです。
何より主演の若手二人はこれまでほとんど見た事が
ありませんでしたが、現時点の力を出し切った感が
あり、良かったです。これからに期待です。
小林涼子ちゃん、久々に見ましたが良いです。
「魔王」から良いと思ってましたが、
今回も良かった。次も期待です。
まあ何はともあれ、2時間TVドラマと思って見れば、
非常に完成度の高い作品だと思います。
過剰な演出はそういうもんだと思って、
割り切りましょう。
ただ、タイトルの「轢き逃げ」に副題であっても
「最高の」と付けるのは、違和感を感じます。
轢き逃げの被害者、遺族の方の事を思うと、
それはあかんのちゃう?と感じてしまいます。
いろいろと書いてしまいましたが、
評価が思いのほか低いので、
この点を見て、見ない人が増えてしまうのは
非常に残念、もったいないと思いましたので、
久々にレビューを書かせて頂きました。
水谷さんは脚本と役者に専念して
監督は任してもいいような気もしますが、
次も期待してますので、頑張ってください。
良い作品をありがとうございました!感謝!
(^-^)m(_ _)m
水谷監督の人柄がにじみ出ている
違いの分かるマニア以外には、IMAXとの差が分からないであろう、日本映画初の"ドルビーシネマ"作品である。
技術的な仕様ゆえに、「相棒」シリーズの劇場版をはじめ、水谷豊作品に長く関わってきた撮影監督の会田正裕氏のサジェスチョンの影響が大きいと思われる。
"ドルビーシネマ"は、"ドルビーアトモス"+"ドルビービジョン"であり、日本映画初のドルビーアトモス作品は、押井守監督の「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」(2015)なので、本作は、どちらかというとHDR(ハイダイナミックレンジ)のドルビービジョンのメリットを汲んで作られている。
このこだわりが、一般に分かるかどうか疑問だが、多くのハリウッド映画のエンドロールで、"ドルビーアトモス"と"ドルビービジョン"のロゴマークが表示されている。映画製作者に支持されている、ハリウッド・スタンダードがようやく日本映画に現れたことを喜びたい。
さて作品は、俳優・水谷豊が60歳を超えて監督業に打ち込みはじめた第2弾。脚本も書き下ろしで、"表現したい"という気持ちがひしひしと伝わってくる。
前作「TAP THE LAST SHOW」(2017)も、ダンスシーンのクライマックスの迫力から、"タップダンスが好きなんだなぁ"と水谷の趣味を強く感じた。
今回は、"ひき逃げ事件"の加害者心理と被害者心理の動きを描いている。
面白いのは、いきなりひき逃げ犯の視点で始まるところ。犯人の罪悪感と、逃げ切れるかという不安との、はざまで揺れる緊迫感は大したもの。それでいて、あっけなく事件は解決に向かう。
そこからが監督の描きたい、人間性の部分に突入していく。
被害者の立場に寄り添いながらも、懺悔する犯人を同情的に描いている。そのため結局、ひき逃げは、被害者と加害者の偶然性の産物というように感じてしまう。
そして反省している犯人を断罪するわけでもなく、さらに真相は意外な結果になるので、どうしても被害者の空しさだけが残ってしまう。
想像だにしない意外な結末がある。
結局、"悪いヤツはコイツ"という攻撃の納めどころを用意したのは、水谷監督の人の良さが出たかもしれない。けれど中途半端でサイコ映画にもなっていないため、なおさら空しさは強まる。
おおざっぱな設定は愛嬌。甘すぎる。もっと設定のための取材と考証を緻密にしたほうがリアリティが出たはず。実際の会社組織を知らないのか、ツッコミどころ満載。
一方でキャスティングは、水谷監督の俳優キャリアと人脈によるセレクトで固められている。お友達映画にも見えるが、出演者ひとりひとりの演技がしっかりしているのが好感。
(2019/5/10/ユナイテッドシネマ豊洲/シネスコ)
憲法第38条を言ってみろ!
ほぼ加害者側の描写が中心から始まり、被害者遺族(水谷豊、檀ふみ)が登場するのは中盤に差し掛かってから!という珍しい構成。神戸の近くなんだろうと想像はできるものの、ここはどこなんだろう?とずっと気になってしまう。ジープを運転していた宗方修一(中山)の車ナンバープレートもご丁寧に“神倉”となっており、明らかに“神戸”と書かれたナンバーを撮影のために偽装してあると思われた(有印私文書偽造同行使道路交通法違反)。
もちろん轢き逃げは道路交通法上、許されないこと。直ちに運転を停止し、救護義務を怠った場合には人身事故に係る救護義務・危険防止措置義務違反となり、罪はぐーんと重くなってしまう。そして同乗していた同僚で親友の森田輝(石田)にも犯人隠匿罪、救護義務違反が科せられる。そもそも酒を飲んでるわけでもないし、スピードは若干出ていたかもしれないが、違反もしていないようだし(ぶつかり方がショックを感じない程度だった)、救護して警察に連絡すれば罪はずっと軽くなるはずだ。
そんな不思議な展開の社会派サスペンスながら、罪悪感とゼネコンの会社での地位や副社長の娘との結婚を天秤にかけながら、堕ちてゆく若者の心理を上手く捉えていた。さらに、動物の目を集めた脅迫状もどき、披露宴での祝電にまで脅迫文を混ぜるなどの犯人(刑法第222条)。そして警察側はじわりじわりと犯人に迫ってゆくのだ。
被害者遺族が登場するのが轢き逃げ犯が逮捕されてから。悲しみに暮れる夫婦の姿もさることながら、現場にも家にも携帯がなかったことから、父親・時山光央はその携帯を探すため娘の勤務先や友人たちを訪ねまわる。何かをしなければふさぎこんでしまうだろう、この展開はさすがだと言うほかない。そして、合コンをやったという事実を掴み、喫茶店“スマイル”では男と会っていたことまで突き止めた父親。
意外と言えば意外。男の家に携帯があるはずだと睨んだ時山は大胆にも男のアパートに侵入する(刑法第130条:住居侵入罪、刑法261条:器物損壊罪ただし親告罪)。部屋に帰ってきた男と乱闘(傷害罪?)。と、時山の自宅には大きな刑事訴訟法の本が置いてあったことから、どこまでが罪になるのか色々勉強しての行為だったのだろう。ただし、動物図鑑や携帯が無かったら大変なことになっていたに違いない(ストーリー仮定妄想罪)。
それにしても泣けるシーンはといえば、親友たちの言葉だったり、母親の寛大さだったり、留置所で「別れよう」とまで言われた早苗(小林)の寛容さだったりする。そして水谷豊が相棒の存在無しで孤独な独自捜査をする姿。今までの刑事ドラマでの経験を十分生かした作品となったと思う。
ポートアイランドはわかったけど、気になったのは時山家。1両編成の電車が走ってた。どこ?ちょっとしたことで往来危険罪になってしまいそう・・・
悪くはない
最後にひとひねりあった。えっ!。そっち方向行くのかよ。まあいいか。迫真の演技だったし、ゴミ作品ではない。別につまらなくもない。その辺の洋画見るよりは面白い。
安全運転は大事だよね。若い人たちに見てもらいたい作品。
動と静
事故を起こした秀一の場面は、終始音もうるさく「動」な感じで、時山が出る場面は「静」と、あえてそういう作り方をしているのでしょう。脅迫文?が送られて来た辺りから、実際に糸を引いた人間がわかる展開で、やっぱりその通りになったので、少し拍子抜けでした。
水谷さんには申し訳ないけど
良かったのは上映開始直後の、走る男を空撮で捉えるシーンと、壇ふみさんだけ。
と、言ってしまうのは言い過ぎだろうか。
轢き逃げした運転手と、その同僚であり親友の、主要な役どころである2人の演技が酷い。
これが演出によるものだとしたら、役者が可哀想だ。
社内でのやり取りも、嘘臭くて見ていられない。
加害者側と遺族、それぞれの胸中は多少伝わってはくるものの、結局何を言いたいのかさっぱり見えてこない。
終盤になって事件の真相が明かされるわけたが、あまりにもお粗末過ぎて、突っ込む気にもならない。
ベテラン勢の安定した芝居が唯一の救い、そんな作品。
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