「たまったもんじゃないな、巻き込まれた奴は。」轢き逃げ 最高の最悪な日 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
たまったもんじゃないな、巻き込まれた奴は。
しかしまあ、冒頭からの加害者目線のシーンが長すぎやしないか。満を持しての水谷豊登場ではあったが、前半がくどすぎた(重いのは嫌いじゃない。しつこいのだ)。そのせいで、展開していく話のディテールがおざなりになった感がある。ただ、そんな不満さえ、ベテラン役者陣(岸部一徳、檀ふみ)がみせる抜群の落ち着きのおかげでストーリー展開の不可解さを許す気分にさせてくれる。早苗役の小林涼子の存在の一途さもいい。ラストシーン、よかったものな。あれで彼女はこの先の人生、生きていけるもの。
罪とはなにか、赦すとはなにか。犯罪を犯してしまったこと、そう仕向けてしまったこと、巻き込まれてしまったこと、わが身のことと共に贖罪をすること、そして、それでも人を赦すこと。
誰しも、このなかの誰の立場にでも成り得るのだ。この、救われない人たちの誰かに。
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