21世紀の女の子のレビュー・感想・評価
全24件中、1~20件目を表示
豪華映画人の詰め詰めセット
素晴らしかった。
というのも、この短編集の最後を締める
プロデューサーも兼任する山戸結希監督の『離ればなれの花々へ』が、全てを語るからだろう。
女の子、愛、生まれる、その痛み。
そして、映画とは何なのか。赤、黄、青の三原色が映画を作る。色とりどりの嘘をつこう。
「私は自由な母になろう。母の不自由を踏み台にして。違う。母の不自由を抱きしめるために、私は自由な母になろう。」
「自由で幸せである母親を否定する女の子はいないのだから。そうしたら、自由で幸せな女の子がこの世の中に増える。私たちは自由で幸せな母の姿を夢みて生まれる。お母さん、頼んだよ。私を世界一夢みがちな女の子にしてね。あなたにそっくりに生まれます。あるいは、全然あなたに似ていないのは、あなたにあんまり似ていると、まだ自分自身を愛していないあなたに。また愛されないんじゃないかと怖かったから。」
「無数の母の無念を晴らすために、私は生まれて生きてみたい。お母さんに偽りなき女の子の姿を見せてあげるよ。映画が誕生して120年が過ぎた。つまり、たった一人の女の子が死んだ季節。その女の子を弔うような21世紀。真実の映画が生まれるだろう。」
「1秒に24回嘘をつく芸術が完成する。」
他にも。
山中瑶子監督。個性が素晴らしい。最も好きだった。
ふくだももこ監督。演出と台詞が光っていた。
井樫彩監督。世界観が好きだった。幻想と現実。
これからの日本映画界に、希望が持てるかもしれないと思った。
俳優陣も本当に現代を代表するような豪華なメンバー。
唐田えりか、三浦透子、松井玲奈、瀧内公美、朝倉あき、橋本愛、南沙良、小野花梨、柳英里沙、石橋静河、中村ゆり、南果歩、古川琴音、伊藤沙莉、土居志央理。
生まれるべくして生まれたような本作。観る事ができて良かった。
『離ればなれの花々へ』これから何かに迷ったときに、何度でも見返したい。
必ず好きな作品がある
松本花奈監督の「愛はどこにも消えない」
ふくだももこ監督の「セフレとセックスレス」
山戸結希監督の「離ればなれの花々へ」
が特にお気に入り。8分だと足りないな…というものもあって、今後注目すべき監督の名前・役者の名前も知れて、意欲作だと思います。
挑戦的短編集に滲む監督の力量、コンペティション的な目で観てしまった
山戸結希監督の企画によって集まった女性監督たち。共通したテーマで全く異なる作品たちが集うのが、オムニバスの良いところ。一つ一つの星座に触れるように、見ていきたい。
特に好みだったのが、松本花奈監督『愛はどこにも消えない』と枝優花監督『恋愛乾燥剤』の2本。『愛はどこにも消えない』は短編ながら、時系列をミックスさせつつ、彼女が愛した彼との時間に葛藤する様は、他人事のように思えない。また、その過程を他の女性たちとなぞる、冒険的な世界に優しさを感じる。それでいながら、チャレンジングでありながら、しっかり要所を押さえて展開されていて、とても良かった。もうひとつの『恋愛乾燥剤』は、かなり売れてきた山田杏奈を主演に迎え、好きだった彼への思いに、疑心暗鬼に犯される着眼点が鋭い。さらに、彼女の強い眼差しの先にある個性的なキャラたちが、あたかも指南するようで実は中身は濃くない茶番さも含んでいて、アーティスティックに映る。枝優花の光とコントラストを意識した画力もさすが。意外と首藤凜監督『I wanna be your cat』も嫌いじゃない。
一方、好みではなかったのも敢えて挙げるなら、加藤綾佳監督『粘膜』と竹内里紗監督『Mirror』の2本。『粘膜』は、広げた割には浅くて刺さらず。『Mirror』は少し粗削りな印象を受けた。
個々の監督を調べてみると、ここ2年で評価されている人、ようやく新作を造り上げた人、全く撮っていない人…様々な現在地に彼女たちは立っている。同じテーマ、8分以内というイコールコンディションで、ポテンシャルが計れるコンペティション的な側面も感じられた本作。彼女たちが次の時代を歩むとき、どんな世界が広がっているのだろうか。
ただのじいこうい
タイトルが21世紀の女の子で、全員が若手女性監督。
テーマは「自分自身のセクシャリティあるいはジェンダーがゆらいだ瞬間が映っていること」だそうである。
必然的に、このパッケージは若い女性ならではの映画を標榜している。
しかし映像作品に、ていうか、どんな創作物であれ「女性ならでは」を訴えてしまうのは、女性の驕り──だと個人的には思っている。
男と女が違う感性を持っていることは知っている。
ただし、創作に「女性ならでは」なんてものは世の中に存在しない。
あったとすれば、それはプロクターアンドギャンブルが、主婦職が存在していた昭和期にキッチン用品の使い勝手を調査/報告するために使った死語である。彼女らは素晴らしい慧眼をもっていたか──そんなことは知らない。どのみち使っていりゃ覚える。謂わばその程度のものが女性の感性/視点である。
映画に性なんて関係ないという話である。
とうぜん、子宮感覚や生理や母性や出産能力といったものを創造性と結びつけた価値観へ変換するのは間違いだ。
子宮から血液が定期的に出る現象はクリエイティビティとは関係がない。
1902年生まれのリーフェンシュタールはゲッペルスに頼まれて国策映画を撮るのであって、子宮感覚とやらでナチスから擁護されたわけではない。
リーフェンシュタールから120年経て、若い女性・映画監督の組み合わせに、たんにその他愛もない立脚点を壮語していること自体がつたない。
若い女性で映画監督だから──それがいったい何なのか。
そんなことへ訴求ポイントをぶちまけるのは、映画を見たことがないか、心臓に毛が生えているか、もしくはその両方の言い草である。
すなわち、この作家たちはじぶんの「女性ならでは」の感性/視点が、映画の技術や方法をも差し置いて、商品化に値するものと信じているわけである。21世紀の女の子の名の下に許容されること=若い女性だから容赦されることを知っている──わけである。
傲慢だと思いませんか?
品質はその傲慢を決定づける。
青くて、感覚的。
性衝動に対する背伸び。
「思いはきっと伝わる」の恐喝。
「女には生理があるのよ」の脅迫。
ちょっとした気づきが共感されるはず──という無責任な希望的観測。
演劇部の延長戦。
ただの消し忘れ。
だが、現場は監督をもてはやす。
広報も、若い女性と映画監督の組み合わせに、美術館女子風の商品価値を見いだす。
業界内の迎合的な観衆も支持する。
けっきょく、これらの、躁のようなオナニーコンピレーションを「これはおなにー以外のなにものでもないですよ」と、至極まっとうに結論してしまえる、辛辣な部外者から、彼女たちは厳重に庇護されている──のである。
しかも、辛辣な部外者とは、そもそも辛辣でもなんでもない、ふつうの観衆だ。
そのへんを歩いている人々、地元のおじさん、近所のおばさん、コンビニのレジにいるお兄さん、コンビニで買い物をするお姉さん、映画サイトの評価を参照する一般人、たいして映画に執心していない労働者──そういった観衆である。
かれら──見るともなしに見た一般庶民たちは、この湯気がたつような、にぎりっぺから、いったいなにを感じとれるだろう?
ものをつくるとき、前提の初動となるのは、じぶんが他者とは異なっている。という自覚と確信だと思う。
ところが、他者とは異なる感覚をもった若手監督なんていない。
そもそも彼女たちは、じぶんの感覚が、どんな位置にあるのかさえよく知らない。
比較しうる映画を、世界を、人間を、知らなすぎる。
彼女らがこれらの動画の是非を検証するとき、参考にしなければならないのは、つねに首肯してくれる、従順なとりまきの意見ではない。
女流を意識して映画をこころざすなら、Alma Har'elやCathy Yan、グレタガーウィグ、キャスリンビグロー、Patty Jenkins、ナディーンラバキー、Maren Ade、ケイトショートランド、Reed Morano、Céline Sciamma・・・らと見比べなければならない。もし真剣にそれらの映画と対比したとき、じぶんをどこかへ位置づけることができるのだろうか。
おそらく、このテの批判に対して用意されている釈明が、否そんな大それたことではなく、女性たちの目線や感覚を切り取ったものが面白い、と見ていただければ・・・
だから、この世に女性の視点なんて無いの。──です。
それは映画じゃなくて広告代理業です。
わが国では映画と女子は広告代理業の商材です。美術館女子よろしく作品の隣に立っていれば=カメラの後ろで神妙な面持ちをしていれば、みんなが才能をもてはやしてくれる。わけです。
ただ枝優花はしっかりした映画抑揚がありキラっとした。山戸結希は映画というよりPV、CM、インスタレーションの方向性だが光った。ので二人は除外したい。
企画そのものは悪くないが全体的にシュール
ほぼ完全に伊藤沙莉目的
橋本愛目的ではない
TBSドラマ『この世界の片隅で』では三枚目のブスを演じたのに今回は驚くほどキュートだ
演劇というものは美男美女だけじゃ成立はしない
モトーラとか小野花梨みたいな子も必要だ
企画としては悪くない
だが全体的につまらない
お題が悪かったのか
8分が短すぎたのか
15人が多すぎたのか
自分はターゲットじゃなかったのか
「なんかちょっと違うな・・・あれっ?もう終わり!?」
その繰り返し
15分で8人
テーマはなんでもいいがコメディーにしてほしい
これが女性脳というやつか
これを観た女性の多くが共感し絶賛すれば成功じゃないのかな
僕には全く合わなかった
仕事場に女性限定女性専用女性優先は必要か
更衣室やお手洗いは仕事場でない
若手に限定したのはいいが
世の中まだまだ男中心社会なんだ
だからこういう企画が必要なのかもしれない
でもいまどきメガホンとるのに女も男もオカマもなかろう
もはや映画監督が女なんて珍しくない
面白い映画を作ってくれるなら性別も国籍も思想も重要ではない
唐田えりか発見
醜聞で時の人となり消えてゆくのか
黒川芽以のように地味で知名度が低く話題にものぼらずいつまでもパッとしないが無難に生きて芸能界にへばりつく人が人生勝ち組なのか
これはちょっと評価しづらいです
オムニバスの映画は難しい。見るのにパワーがいる。
この映画はロードショーの時から興味があって見そびれたのでDVDで観た。一編が10分もないショートストーリーが15あったが、面白いと思ったのは、恋愛乾燥剤、MIRROR、愛はどこにも消えない、の3編だった。
恋愛乾燥剤は、タイトルからの予想を良い意味で裏切って、そうきたか、面白いって感じ。MIRRORは今回のテーマに最も深くコミットしていてこの短時間によく表現できていた。愛は〜は、橋本愛の訳者としての力量に助けられてる感じだった。
全体としては、この点数。正直いって観ててつらいのもあった。
女性の世界ってこんなに狭くないでしょ
自分は男性だが、こんなに女性の世界って狭いか?と思ってしまったのが第一印象。
全体的に話も人間も狭いし、1話だけならそういう話があっても良いと思うけど全話がそんなのばっかり。
女性監督ならではの繊細さはあるけど、なぜかほとんどが狭い世界の話でだんだん嫌になってくる。
山田杏奈の話は唯一、広がりがあって良かった。
だけど、山戸監督のは今までの話でどこか違うけどPVみたいな仕上がりでこれもなんだかな。
正直、みんながみんな同じ話ばかりで飽き飽き。本当に才能がある人が作ったものなのって疑問に思う。正直、youtubeの短編のが良いのが多いように思う。
これが私とか云々の前に西川美和監督の作品とかタナダユキ監督とか、山戸監督の『ホットギミック』とかをちゃんと見てから映画作ってほしいと本気で思う。
偉そうに批評するのは良くないけど、こんなんばっかりじゃ、日本映画は何も変わらない。女性だって汗かいたり、走ったり、醜かったりして必死で生きてるんだから女性を綺麗に映すだけが女性監督の映画じゃないでしょうよって心底思う。
全然だめです
シナリオがあるのか無いのか、ただ雑談してるだけのような、そんなものが数分単位で延々と続きます。
たまに有名女優が出てきますが、その他のほとんどは素人みたいな人たちが、棒立ちで棒読みです。
何の価値もない映像でした。
8ミニッツ・オールダー
つまらない2時間の映画を1本見るのと、つまらない8分の映画を15本見るのでは、どちらが時間の無駄なんだろう。なかなか難しい問題である。玉石混淆という言葉を念頭に、15本もあるのだから、きっと二、三本は拾いものがあるかと期待したのだが、そうでもなかった。
“カメラマンと被写体”など似かよった設定の作品が複数あり、正直言って鑑賞後にタイトルを見てもどれがどの作品なのか思い出せない。全体を通して、こじらせ女子の手作り詩集を読まされている印象だった。
21世紀の女の子をスケッチしてこんな様相なら、20世紀か19世紀の女の子のオムニバス映画を見てみたい気もする。
女の子ハートよ永遠に。
「ガキンチョメンタル」が男のDNAレベルの話であれば、「女の子ハート」が女のDNAなんだ、と納得するための117分。
最近観た女性監督の洋画と言えば、「レディバード」「あさがくるまえに」「メアリーの全て」、他にもあるよね?日本女性陣にも頑張って欲しい。いや、なんか負けてると思う。「巨匠の弟子達」が、本当に才能のある女性陣のチャンスを奪ってるんじゃないかと思ってるくらいです。
でも正直言って.....ついて行けない話が多くて辛かった!何作あったかも覚えていないオムニバス作品。尺の問題から中途半端になってしまうのはしょうがないにしても、面白いと思ったのは二つか三つしかなく、オジサンの感性の限界を感じる。
「寝ても覚めても」では「その能面、外せー!」と怒鳴りたくなってしまった唐田エリカさんが、軽い顔芸くらいはできる事が判ったのは収穫。詩の朗読劇だったけど。セフレのセックスレスが個人的には一番ツボりました。黒川芽以さん、Good。恋愛乾燥剤はネタ的に面白いので、「青春もの」にして長編化して欲しい。
オムニバスのお題文章の中には「ジェンダーの揺らぎ」って言う言葉がありました。だからと言ってLGBTに直行するのはイージーちゃいますでしょうか。愛とセックスを抜きにしてジェンダーを眺め直せば、もっと色々ネタは出てきそうなのに、って思いました。21世紀の女の子、そんなもんに構ってられないくらい忙しい女性も多いでしょう。そんな女性の中の「女の子」も見てみたかった。
女性が主役のオムニバス映画❗
星🌟🌟🌟🌟 女性監督による女性が主役のオムニバス映画でしたが…意外と楽しめました❗8分の短編作品ばっかりですが長く感じる作品もう終わっちゃうの?と思う作品いろいろでした❗私は高校生の恋愛を描いた恋愛乾燥剤が面白かったです❗もし続編出来るなら今度はもっと尺を長くしてせめて10分くらいの作品を観てみたいです❗8分じゃちょっと物足りない❗
女の子文化を応援したい
追記: 作品数が多すぎてちょっと疲れる、一本一本が短すぎてもう少し掘り下げが欲しい、という感想をあちこちで聞きます。もっともだと思いますが、製作者は分かってるはず。あえてこういう形にしたのは、オムニバス映画としての完成度を多少犠牲にしてでも、なるべくいろいろな女性監督を紹介したい、との「企画」だったのではないでしょうか。
これが、女性クリエーターが羽ばたくきっかけになって欲しいと思いました。
----
映画としての出来とか、そういうことは僕には分からないので、「感想」のみを書きます。
大変「面白かった」し、いろいろ考えされられたし、いろんな感情が渦巻いたり、なんだか感動してしまった作品もあり、気に入りました。あとで、あのとき感じたのは何だったんだろう、と確かめたくて、もう一度観に行き、ますます気に入りました。
これを観て真っ先に思い出したのが、文学評論家の千野帽子という人が書いた「文学少女文学」評論集の序文でした。この本は「脳内に文學少女を飼ってる人」のために書いた、というくだり。
この評論集はどう読んでも女性が書いたとしか(当時の僕は)思えなくて、ネットでいろいろ検索してようやく千野帽子さんは既婚の男性だと言うことが分かり、不思議な気分になったものでした。しかしその後、段々と「脳内に文學少女を飼ってる人」は、男の中にも結構いるものだということが分かってきました。もちろん自分もそうなんだということもだんだん自覚されてきました。(勘違いする人はいないとは思いますが、念の為、これはセクシュアリティとは関係ありません。)
『21世紀の女の子』は、その「脳内の文學少女」が全面的に共鳴してしまうような体験でした。
あとでパンフレットを読んでみると、メインストリームの映画で描かれる女性像に偏りがあること、女性監督が異様に少ないこと、女の子文化はいつまでもサブカルのままであること、それをなんとかしたいことが、この映画の目的の一つであったことが分かりました。
なるほど。
文学では、純文学もエンタメも、女性の作家が大活躍です。ですが、映画はまだまだ。
映画の女の子文化、応援したいものです。
ところで、パンフレットが豪華なので買ってみました。前半はきれいな写真集で、後半は映画の副読本(?)として読むことができ、充実していました。[追記: 中に短いピアノ楽譜が載っています。『珊瑚樹』のテーマ曲にする予定が、使わず仕舞になってしまったんだとか。きれいな曲です。『珊瑚樹』のセリフや動きや画面の動きに音楽的なリズムが感じられるのに注目。]
LOWHAPPYENDROLL 少女のままで死ぬ
平成生まれの女流監督15人のオムニバス短編集である。テーマは“セクシャリティ・ジェンダーに揺らぎを感じた時”。キャストも新進気鋭の女優達を起用した作りで、それぞれの監督が趣向を凝らして8分程の動画を制作していた。あくまでも女性による女性のためのピンポイントターゲットの内容であるので、おじさんである自分にしてみると、プロモーションビデオ、もしくはミュージックビデオ、果ては学生演劇のむやみやたらなシュールさを漂わせる作品群で、それこそ今の若手女流映画界における見本市的要素が多分に盛り込まれている捉え方をしてしまった。全ての作品の感想は書けないが、それこそ“乾燥剤”(※オヤジギャグ)の作品はストレートに面白かった。まだ恋愛の何たるかが理解出来ない、もしかしたら性的な繋がりに始終してしまうことに疑問を抱いた少女が、彼氏に“恋愛乾燥剤”なる恋心が無くなる乾燥剤をバックに忍ばせる。しかし、幾らそれを補充しても全然利かない。結局、部活中の彼氏の姿を観て、またしても湿度100%になるというショートストーリーである。恋なんてモノは答えがないし、そもそもが自然と湧き出るものであるという至極尤もな反応を演技で見せた女優 枝優花のコミカル且つコケティッシュさに愉しませて貰った。こういうコメディエンヌはこれからもドンドン作品を彩って貰いたい。
ラストのアニメーションはエンディング曲と相俟ってかなり女性の苦しさや悲しみ、そして楽しみや嬉しさを満遍なく表現出来ていた良作である。
今回は“女性”という括りの中でのオムニバスだが、今後は性別という隔たり自体が無くなっていくと思う。その中で多種多様で、大胆且つ繊細な作品を産み出して行って欲しいと願うばかりである。
若手女性監督の見本市のような
8分×15作品、若手女性監督の見本市のような2時間。矢継ぎ早に15作品続くので息継ぎが大変。こんなにもクレイジーな脳みそを持った人たちがいるのだなぁ。テーマに沿っているかどうかは置いておいて松本花奈とふくだももこはやはり観やすい。あと伊藤沙莉がやはりどうしても良い。
本数は多すぎる
注目の女優さんが多く出てるから、それ観てるだけで面白いの。
作品はね、短い尺でテーマにケリつけないといけないから、みんな台詞で説明しはじめんのね。説教きいてる感じになるの。まあ、短いからすぐ終わるし良いんだけど。
きれいな画にポエムっぽい言葉を重ねる作品が多いんだけど、山戸監督から声が掛かったから作風真似たのかな。この作風でやり切れんのは山戸結希だけだってことも解ったよ。
美術館とかでちょっとお洒落な映像作品観てると思えば、一本、一本は悪くないんだけど、本数が多いね。同じテーマで、同じようなテイストで撮られてるから、観てて飽きちゃうの。
それでもやっぱり女優さんがいいから良かった。日南響子、福島珠理は初めて知った。「岸井ゆきの?」と思ったら古川琴音で、やっぱり似てるなあ。
色々な作風がいっきに見られるオムニバス映画
複数の監督による作品で、ひと作品の時間も短めなので、自分好み作品はこの先のストーリーが気になる!と、思うものがいくつかあった。
同じテーマで作品を作っても、人それぞれまったく違った作品が出来上がっていてとても面白かった。
最後の山戸結希監督の作品は飛び抜けて別格で、才能のあるひとってこうなんだなぁーとしみじみ感じました。
演劇?
短編とは難しいようだ。セリフが詰まっていて演劇のよう。
「セクシャリティー、ジェンダーのゆらぎ」というテーマでレズビアンが何作か取り上げていたが、実感がわかないのかセリフ棒読みでこなれていなかった。
セクシャリティーについて、かくも女性は男と違う世界にいるのかと愕然とする。女性のためにつくられたこの映画では、たくさんの女優がジェンダーに関するストーリーを展開するが、男の自分から見て誰一人として魅力を感じない。それだけ女性は普段は男向けに演技しているということなのか。
女性の根源的欲求は少女のままでいたいのだろうか。男は、この映画の男優のようにまったく存在感なく、その世界につけいる隙はなさそうだ。
村田沙耶香が描くように、発情からの解放、生殖からの解放が女性の悲願なのだろうか。科学がそれを実現するにはもう間近である。
人類は女性だけになるだろう。まさに21世紀は、地球に生まれず、花園のなかで生き続けられるだろう。
最後の山戸結希の作品に圧倒させられてよかった
最後の山戸監督の作品で、一連の少女たちの話が母へと回帰していくことにはっとさせられて、そもそも女として生きてきて、引き裂かれて生きていることが辛かったことを思い出した。女の性は奪われるものだと考えていた自分としては、男との恋愛なんて糞なのが真理ではないかとも映画を見て思った(性的に搾取されることしかないという被害者意識をもっている)。でも、この映画ではそうでない女を描いているものも沢山あって、自分のために求めることができる女がみんなの求めている女像なのだ、と感じた。それは心の持ちようではあるけれど。
この映画たちの描いていることが、私たちの心の穴に機能するものであることは女であることの葛藤に意味があるということ?(ちょっともうみたときの気持ちは忘れてしまいました)最終的に愛は飛躍して母となった。少女と母親という乖離しているようで実は一体だった私たちという光景がエモーショナルで美しくてすごく良かっです。間違った解釈かもしれないけど…
お母さんとお父さんから生まれた私たちに愛が存在する以上、人は性と生に最終的に帰結してしまう生き物なんだろうと思わせられた。だから引き裂かれている、多分男の子も引き裂かれている。
離ればなれの花々へは、映像以上に詩として凄いものだったので文字化して欲しい
玉石混交
面白い作品もあったし、なんじゃこりゃって作品もあったし、一言では語れない作品でした。
個人的には複雑な会話劇を持ち込みながら、明快かつ楽しく描いた「愛はどこにも消えない」が面白かったです。
どの作品も、一癖あって退屈はしませんでした。
倉島颯良さんを応援しています。
オムニバス映画の鑑賞には体力が必要
1本6〜8分で次々と異なる映画を観ていく事になる本作、観客も頭が次々とシャッフルされるので体力が入りますね。面白い作品もあればそこまで乗れない作品もありという感じ。各パートでクレジットロールは入らずアニメーション作品と一緒にまとめて表示されるため心の切り替えが仕切れずそのまま次へと突入はきつい。
という話は置いておいて以下の作品が記憶に残りました。
「ミューズ」(安川有果)、「恋愛乾燥剤」(枝優花)、「粘膜」(加藤綾佳)、「out of fashion」(東佳苗)、「Mirror」(竹内里紗)、「セフレとセックスレス」(ふくだももこ)、「愛はどこにも消えない」(松本花奈)、「離ればなれの花々へ」(山戸結希)
その上でお気に入り三本だけ感想を。
「恋愛乾燥剤」(枝優花)告白からお付き合い。でなんか違うと思ったらコレってマジですか?!というトリッキーさ。
「out of fashion」(東佳苗)ファッションデザイナーとモデルという二つの道、夢をどう追うのか問いかける一本。
「Mirror」(竹内里紗)写真家二人の関係の謎が明かされていく展開が好き。
全24件中、1~20件目を表示