「良くも悪くもファン向け。それほど思い入れがない人間にとっては…。」劇場版シティーハンター 新宿プライベート・アイズ たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
良くも悪くもファン向け。それほど思い入れがない人間にとっては…。
一流スイーパー、冴羽獠の活躍を描いたハードボイルドアニメーション『シティーハンター』の放送開始30周年記念作品。
舞台は現代の新宿。”シティーハンター”冴羽獠と槇村香の下に、新たな依頼が舞い込むのだが…。
仕事の依頼主、進藤亜衣の声を演じるのは『暗黒女子』『祈りの幕が下りる時』の飯豊まりえ。
なお、テレビスペシャル『グッド・バイ・マイ・スイート・ハート』(1997)で武藤武明の声を演じていた山寺宏一は、本作では香の幼なじみ御国真司の声を演じている。
まず初めに。私はアニメをちょっと観たことがある程度の『シティーハンター』弱者であり、正直このシリーズに思い入れはほとんどありません。以下はそういう人間のレビューです🙇
久しぶりのアニメ化というだけあって、『シティーハンター』への愛が詰まったステキな作品。
お馴染みのキャラクターたちが動き回るだけで、何となく嬉しい気持ちになってくる。
声優陣もほとんど変更なし。流石にみんな歳を取ったなー、と思ってしまいましたが、神谷明さんを始めとした豪華な声優陣の名演を聞くことができます。
昔はモブの声優で良く出演していた山寺宏一さんや大塚芳忠さんがメインキャラクターを演じているのはステキです✨
また、過去のオープニング曲やエンディング曲が劇中歌としてふんだんに使われていたのも嬉しい。
個人的には「Get wild」より「STILL LOVE HER」派。
さて、肝心の内容ですが、開始早々のカーチェイスは素晴らしかった。
「Angel Night」を劇伴にして繰り広げられるハイクオリティなアクションシーンからの、いつ見てもカッコ良い冴羽獠の登場にはテンションが上がる上がる!
映画の掴みは抜群によかったのだが、その後の展開は…。
いつもの『シティーハンター』といえばそれまでなのだが、昔のアニメなら前編後編の50分くらいで解決していたであろう事件を95分で描いているためテンポが悪い。
いつもどおりの展開がタラタラと続き、肝心のアクションシーンが冒頭を除くと開始から1時間くらいはほとんど無いためはっきり言って退屈。
クライマックスも、ドローンやクモ型ロボットとの戦いに全く迫力がない。
悪役も掘り下げも足りないため全く魅力がない。
依頼人であるヒロインも物語後半では空気と化す。
はっきり言えば山ナシ、落ちナシ、意味ナシという映画。
ファンの方は喜ぶだろうが、自分の様に特に思い入れがない人間には正直辛いものがある…。
しかし、伝家の宝刀「止めて、引く」からの「Get Wild」、さらにそこから現代の新宿の写真をバックに流れる「STILL LOVE HER」。このエンディングは素晴らしい。
このエンディングを観れば、それまでがどれだけ退屈でも許せる気になります。
色々書いたが、一から十までファンの人へ向けられた作品であり、『シティーハンター』ファンなら間違いなく楽しめる、と思う。
製作陣の『シティーハンター』への愛が詰まったステキな映画です。シリーズ化すると良いですね❗️