「森三中のせいで篠原涼子が友近に見える」今日も嫌がらせ弁当 みりぽんさんの映画レビュー(感想・評価)
森三中のせいで篠原涼子が友近に見える
ような気がする…(続きは後述)
ネット発のコンテンツの映画化。最近多いケースと見受けられる。
キャラ弁という少し変わった題材にスポットを当てた作品。
本来子供に人気のキャラ弁を反抗期の娘に作ってあげて嫌がらせしつつ娘とのコミュニケーションをとろうというドラマである。
お話しはストレートで、捻りがなく予告編でおおまかなストーリーが予想できる。順風満帆ではないが高校3年間で娘の成長を描かれている。何といっても娘との距離感が子育ての難しさを物語っており、同じような経験をした子育て世代、とりわけ主婦層には多くの共感を得たであろう。
彩鮮やかなオムライス。しかしそれには家計の事情もあったというくだり。主婦なら誰しも頷くシーンであろう。父親を失い母の手一つで二人も育てるのは容易ではない。
そして一番の魅せ場はやはり娘と激しい喧嘩のシーン。お互い感情が爆発し、怒鳴り合い挙句に襖を破壊するほどの大喧嘩。あの長回しはよくできていたと思う。
また、対になるようにシングルファザーの親子も登場し、父親目線でのフォローもある。子育てに苦心するも子供からは理解されないという切実な父親の描写は胸に迫るものがある。子供に言い訳はできないという台詞の重みにしばし息が詰まる。
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エグゼクティブプロデューサー
吉なんとかさん
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まだ終わりじゃないです。
以下雑記。
全体的には2時間ドラマと言った感じでお金に余裕がある人が映画館、それ以外はテレビまたはレンタルという日本映画である。決して悪い作品ではないが昼の3時にテレビで流れていたら十分と言える。
とても良い話だっただけに個人的にはもう一押しと言った感想だった。
所々脚色というかテロップやギャグが多めで感動話なのに茶化された感じが残念。
バラエティー番組のノリというかシリアスな部分にコメディで水を差されたようで微妙である。
冒頭の娘を起こすシーンの変なダンス、ちょっと弱い。目覚まし時計を何度も見せるのは少しクドい。そんなに笑いが取れるようなシーンでもないのにここに時間を割く理由は無いと思う。
ギョサンと言ったご当地ネタも情報番組のようで映画には不要だと思う。視聴者に語り掛けるメタ演出は本編ではなくDVDのオマケコンテンツのようで少し違和感を覚える。
あと日本映画でありがちなのが芸人の出演。もちろん芸人そのものは嫌いではないのだが、芸人にはその人個人のキャラクター性が強く、作品の中で浮いてしまうのが難点。
確かに少しでも話題性を高め数字を取りたいのは分かるのだが、、、
居酒屋で森三中が飲んでいるシーンは明らかに誰よりも強烈なインパクトを与えている。今作で一番心に残ったシーンは、と聞かれたらキャラ弁よりも森三中が居酒屋で美味そうに鍋をつついているシーンなのである。そのせいで篠原涼子なのか友近なのか分からなくなってしまう。後ろにゆりあんが紛れていてもおかしくないだろう。まるでグルメ番組のロケの雰囲気である。
また肝心のキャラ弁も芸能人ばかり。スギちゃんダンディー小島よしお…このメンツだと、ああ予算の関係なんだなと分かってしまう。
お茶漬けやボンドもキャラというには少しパンチが弱い気がする。どうせ映画なのだから任天堂や小学館、ディズニーと言った大手のキャラクターも使わせてもらえるよう打診できなかったものだろうか。
どうもぱっと見すごいと感動するようなキャラ弁ではなかった。
そもそも映画のポスターも篠原涼子がフライパンを持って腰に手を当てているというキービジュアルである。これではフライパンで格闘でもするのかな、旦那が外食ばかりしてメタボって来たから健康のために弁当でも持たせるのかなと思ってしまう。何の映画なのか全く視聴者に伝わって来ない。実際、知人に勧めてみたもののタイトルだけで変な映画だと笑われてしまった。やはり第一印象が重要ではないだろうか。
せめてポスターにだけでもキャラ弁を全面的に押し出していれば映画館でポケモンやディズニーの映画を見に来た家族連れにも興味を持たれたのではないだろうか。まず子供が見たいというような映画ではないのだ。しかし子供が見てもすごく感動できる話ではないだろうか。ぜひ思春期の青少年に観てもらいたい作品だと思う。
この辺り広告代理店なのかテレビ局なのか分からないが、芸人ありきでまったく視聴者の期待とは逆効果の広告展開の古い体質からそろそろ脱却すべきではないだろうか。
仮に芸人を起用するなら芸人の普段のキャラとは違うキャラにするなど、個性に引っ張られないような配慮が必要だと思う。
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エグゼクティブプロデューサー
吉なんとかさん
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二回目はさすがにしつこいと思う。
今作で残念だったのがキャラ弁というテーマがボケてしまっているように感じる。
その原因は映像にするには食べ物というのはすごく扱いづらいものなのだろうなと感じる。主婦がお弁当を作るならいいのだがそれを仕事とするとコストの合わないものになってしまう。
撮影中ずっとテーブルの上に置いてあれば乾燥してしまうし見栄えも悪くなる。1枚の写真では鮮やかではあるがカメラの前では1秒を争う戦場となる。NGが出れば同じものを作り直さないといけない。
そう考えるとどうしても芸人のシーンで尺を稼ぎたい思惑が見えてしまう。
重要なのは弁当そのものではなく、弁当を美味しそうに食べる人間のシーンである。グルメ番組も食べているレポーターのリアクションが肝心なのである。
普段ムッとした表情なのに口に運んだ瞬間表情がほころぶようなシーンがあればもっと印象に残っただろう。最後の卒業式のお弁当でようやく涙するのだが、それまでの過程がもう少し丁寧に描かれていればよかったと思う。
完成した弁当の絵面は最初だけでいいので箸で口元に運ぶシーンだけなら弁当を映す必要は無いのでそこまで難しくないのではないか。
森三中の方がずっと美味しそうに食べていたのは残念。
ただ今回この映画を観て損だったとは思わない。むしろ大きな感動を得られてとても満足である。
娘も自分なりに努力したが報われず、さらに自暴自棄になってしまう展開は思わず胸を締め付けられる。父の死に失恋に就活失敗、これだけのことが10代という多感な時期に一気に押し寄せてきたら自分なら立ち直れないかもしれない。
ただほのぼのとした日常ではなく、人生の厳しさを残酷なくらい有りのままに。
「無駄は何もない」とても心に残る台詞だった。
偽エンドロールは無駄なシーンだった。