「粛清級のジョーク」スターリンの葬送狂騒曲 shosho5656さんの映画レビュー(感想・評価)
粛清級のジョーク
とても笑えるコメディだった。もっと笑えるのはこれが実際にあった話だということだ。
モロトフがスターリンから遠ざけられている時期だったのであまり彼の出番はないかと思っていたが割と序盤でスターリンが死んだので彼がカムバックしてきた。妻を悪し様にフルシチョフと言っていたところ、ベリヤが彼女を連れ帰ってきて掌をクルクル返すのは愉快だった。
スターリンの娘役の人の演技が個人的に良かったと思う。凄く人懐こっくて明るいが、琴線に一度触れると冷静に早口で詰めてくる。女版スターリンを意識したのだろうか。作品を通じて存在感があった。
帰ってきたヒトラーとパターンは同じだと思う。不謹慎な風刺で笑いをちりばめつつ、問題提起をする。ただ帰ってきたヒトラーと違って、今現在の問題点をあからさまに提示するようなものではなく、むしろヘンテコな社会主義、委員会とは名ばかりの独裁と奇妙な官僚制が混在したあの状況下をいかに生き抜くかを描くことで、連の歪さをシニカルに描いた。
やっている所が少ないが足を運んで是非見て欲しいと思った。
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