「事実は小説よりも奇なり」スターリンの葬送狂騒曲 あいわたさんの映画レビュー(感想・評価)
事実は小説よりも奇なり
スターリン死後の旧ソ連の政争を描いたブラックコメディ的作品。コメディの本質は、客観的に見た時に馬鹿馬鹿しいことに当人たちが必死なことだと思っているが、いくら何でも登場人物たちが血眼すぎてコメディの域を超えている。
しかも、もっと敵味方が入り乱れるカオスな展開を期待していたのだが、コメディとしては案外にシンプルなストーリー。
だがコメディでなく実話をシニカルに描いた作品として見れば、(ロシア人にとっては胸糞悪いだろうが)非常に面白い。これが全くジョークでない時代があったのだ。
だが字幕版なのに英語だったのはいくら何でも頂けない。シニカルでシリアスな映画ならロシア映画ではなくてもそこはロシア語じゃないとだめでしょう。あくまでコメディなら英語でも良いと思うが、それならあまりにも胸糞悪い。コメディのネタとしてはあまりにヘビーなテーマなのにそれでいて描き方が軽薄なのだ。
結局のところ、イギリス人らしい傲慢さの垣間見える作品、というのがこの胸糞悪さの原因なのだろう。そういった点まで含め、興味深い作品だった。
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