「息が止まったり笑ったり忙しい!」アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング shika.fさんの映画レビュー(感想・評価)
息が止まったり笑ったり忙しい!
昨今、「そのままの自分でいい」というメッセージを発する本や映画は爆発的に増えているが、それらに対して「どこか嘘くさい」と感じる人でも「そのままの自分でいいのか」と感じられるような映画。レネーは「そのままのわたし」を120%楽しんでいる。「そのままのわたし」は「そのまま」であるだけでなく、人生や自分を積極的に愛して、楽しむことでもっと輝ける。では、どうやって愛し、楽しむのか? それをレネーは全身で、一秒たりとも逃さずに伝えてくれる。
この映画のポイントは、レネーが「わたしってなんて美しいの……」というテンションを終始貫くところ。彼女が「美女であること」を静かに噛み締めてお高くとまっていたら何も面白くない。彼女の持つ生来の陽気さと容姿(幻想)が重なっているところが、この映画を最も面白くしている。
あと個人的に好きだったのは、エイブリーとレネーのコンビの見せ方。細くてファッショナブルで美しいが、どこか現実離れしていて(声の甲高さがそのイメージをさらに助長させる)ぶっとんだ天才肌のような空気を醸し出すエイブリーと、底抜けにパワフルで明るく、パワーとバイタリティでガンガン突き進んでいくレネーの凸凹感、コンビ感が最高によかった。まさにキャラが互いを引き立てあっている好例で、あのタッグは頂点を取っていけそうな雰囲気が感じられた。
残念だったのは、レネーが少しずつ元の友人とのあいだに距離を作り、レネー自身が望ましくない方向に変わっていき、そして正気を取り戻すまでの展開の作りが少し雑だったこと。「あなたはだれ?」の一言から頭を打って戻る、というところが急ぎすぎた感があって、映画の外の世界に一瞬引き戻されてしまった。