「女性へのエンパワーメント映画としては良かったが・・・」アイ・フィール・プリティ! 人生最高のハプニング dさんの映画レビュー(感想・評価)
女性へのエンパワーメント映画としては良かったが・・・
まず始めに、この映画は外見に悩み、囚われている女性に対するエンパワ映画としては優秀だったと思う。
自分の外見のせいで夢を諦めかけていた女性が、自分が美人に見えるようになったことで自信を持ち、その堂々とした姿によって夢を勝ち取る。念願の彼氏も、役職も、姿は変わらなくとも勝ち取ることができたのだ。
このストーリーは、自分はブスだから(ブスだと言われているから)という理由で自信をなくしている女性にとって、ブスのままでも、内面によって魅力的になれるというメッセージを与える。
しかし、このストーリーにおいて引っかかることが数点ある。
主人公の性格の欠点、特にルッキズムを自分のみならず他人のみに適用し、バカにすることである。
その欠点は、自己の姿が美人に見えるようになった後に顕著になる。
また、恐らく彼女のモテる女像である、美しくエロいのが最強という価値観を無理やり友人にも押し付ける配慮のなさも問題である。
作中で彼女はその配慮のなさで友人を侮辱し、傷つける。
最終的に彼女は友人に対して反省したと述べ、全ての女性は美しいと、ルッキズムから解放されたような言葉を述べる。
しかし、だ。映画の最後に、彼女がスポーツジムにいる姿が映される。
ジムにおいては、心を強くするという言葉も叫ばれており、そのために主人公は最後もジムに通っているのかもしれない。
しかし、作中においてジムと心の強さの相関があまり分からないこともあり、結局彼女はルッキズムに囚われてたままなのではないかという疑問が残る。
確かに、外見を気にせずチャレンジ精神にあふれ、ポジティブ精神にあふれた主人公は魅力的な人物だった。
しかし、彼女の恋人が言うように最高の人間だとは思わない。
映画が終わった後も、合コンに冴えない男が来ていたら彼女はダサ男と言い、友人の趣味を侮辱する人格のままなのではないか。
そんな思いが沸いてしまう。
総括すると、主人公が外見を気にせず自分を最高の人間だと思い、自信満々に振る舞う姿は、こちらに爽快感と自信を与える。
しかし、彼女の性格の悪さと、ルッキズムからの脱却が曖昧なことから、後半はモヤモヤしてしまう映画であった。