「期待ハズレの陳腐な作品」母さんがどんなに僕を嫌いでも わわわさんの映画レビュー(感想・評価)
期待ハズレの陳腐な作品
太賀と吉田羊のDVDジャケットの表情があまりに素晴らしく、これが良作と期待して観てみたらガッカリもいいところ、とても陳腐な作品でした。
実話の映画化にもかかわらず、全体的にリアリティが無く登場人物たち誰にも感情移入できませんでした。
他の方も指摘されてますが、まずは友人3人それぞれとても不自然で嘘くさいキャラクターです。
ミュージカル劇団とはいえ、毒舌キャラの劇団員も芝居が全て大げさだし、自分をブタだと蔑んでいたくらいの性格の主人公が、会った初日に失礼なことを言われたからと言って、劇団の先輩に平気で言い返すのもおかしい。
会社の同僚の女の子やその彼氏の登場も唐突で、演出やキャスティングミスなんだろうけど、あまりに不自然な演技や表情で、裏があるのか主人公を陥れようとしてるのかと警戒したのに、実はただの良い人でした、というびっくりなオチ。
余命いくばくのないおばあちゃんとの再会や、その弟が遺品も持って現れてゾウさんの唄を歌い出すのもおかしい。
不正をして営業成績がトップになったくだりも何もきっかけが描かれないから意味不明。
父親からの慰謝料だけでシングルマザーがあんな戸建ての豪邸に住めるの?
そもそも母だけで無く父親からも虐待されていたのに、離婚したからといって父親は全く描かれず、姉もアメリカ在住という都合のいい設定にされてる。
中でも一番の違和感は、母親と向き合おうと決めてからの場面。あんなに虐待されて、家出してまで母と距離を置いていたのに、葬式でも割と普通に接してるし、友人の一言で考え直した主人公は突然母親に何事も描いてなかったかのように尽くし始めたことにはどっシラケた。
とにかく全てにおいて、登場人物たちの感情が何も描かれてないから、台詞でそれらしいことを並べても、内容が歯抜けのようで全く響かず感情移入できない。
原作のエッセイにはこの歯抜け部分が全て描かれてるのかな?
それとも原作がある分なにも脚色できなかったのか。
太賀や吉田羊の演技は素晴らしいのに、演出や脚本が全て台無しにしてる。