「美しき巡り逢いの連鎖」アイネクライネナハトムジーク しゅうへいさんの映画レビュー(感想・評価)
美しき巡り逢いの連鎖
Paraviで鑑賞。
原作は未読です。
伊坂幸太郎原作作品らしく、機知に富んだ会話や鮮やかな伏線回収が素晴らしい限りでした。原作は連作短編集だそうですが、過不足無く繋げられており、さすが過去に伊坂作品を手掛けた脚本家さんの手腕の賜物だな、と…
俳優陣も言うこと無しで、誰もが出色の演技を披露していました。特に三浦春馬さんに関しては、もう演技する姿を見ることは出来ないのかと、非常に残念に思いました。
私がこの世に生きているのは、父と母が出逢ったおかげなわけですが、聞いた話によるとその出逢いは決して劇的でもなんでも無く、単に会社の同僚で、ひょんなことから父が母のためにラジコンカーをつくって上げたのがきっかけだそうな…
子供の頃、母に何気無く訊ねたことがあります。「お父さんと結婚して良かったって思う?」と…。その日の前夜、母と父は大喧嘩して、えげつない罵り合いをしていたからです。
子供心に夫婦の危機みたいなものを悟ったのか、そんな喧嘩の直後によくもまぁそんなことを当事者に質問出来たなと今になっては思いますが(父には怖くて訊けなかった)、その時母はこう応えたのでした。「そんなん当たり前やんか。昨日みたいに嫌なこともたまにはあるけど、結婚せんかったら良かったなんて思ったこと無いし、お父さんと結婚せんかったらあんたは生まれてへんのやから、そんなこと思ったこと無いで」。
私の頭を撫でながら言った母の笑顔が忘れられません。本作を観てそんなことをふと、思い出したのでした…
運命なんて大層なもんじゃないのかもしれない。その日その場その瞬間に、ただそこにいたと云う出来事が結んだ縁…
私の父と母がそうであるように、どこにでもある出来事ながら、それは奇跡みたいな巡り合わせだったんだなぁ、と…
私もいずれは、そんな巡り合わせによって誰かと出逢い、恋をして、新しい命を育むことになるのだろうか?
何がきっかけになるかは分かりませんが、恋して愛した相手との日々は不思議な相互作用を伴って美しき連鎖を紡ぐ…
とてもいい映画を観た、と云う余韻に浸っています。
原作も読みたくなりました。
しゅうへいさんのお母様の気持ちわかります。私もダンナとケンカしてキィ〜てなっても、結婚したから今の娘と息子がいてくれるわけだからやはり正解か、とよく思います。
しゅうへいさんにもきっと良い出会いがありますよ😊
原作もとても良いので読んでください。