アイネクライネナハトムジークのレビュー・感想・評価
全223件中、1~20件目を表示
“伊坂映画”の脚本で実績ある鈴木謙一の貢献大
ミステリーの名手・伊坂幸太郎が斉藤和義から歌詞を頼まれたのが縁で生まれた恋愛短編集。読了するとすぐ読み返したくなる伏線~回収の鮮やかさは健在で、愛おしい登場人物も数多い。今泉力哉監督は当初脚本も書こうとしたが断念し、中村義洋監督と組んで伊坂映画で実績ある鈴木謙一に託したという。鈴木は期待に応え、人物たちと物語の魅力を失わずに整理して再構築、オリジナルのエピソードでも原作を尊重した上で映画らしい盛り上がりを用意した。原作ファンの期待を裏切らないのは脚本の狙いが確かだからだ。
今泉監督はこじらせキャラたちの群像を描くのが得意だが、本作のように極端な人がいない(矢本悠馬が演じた主人公の親友は少々変わり者だが)恋愛物もそつなく演出できることを印象づけた。商業映画で活躍の幅を広げてきたのは喜ばしい限りだが、インディー時代の愛すべきクセも失わないでほしい。出演陣では森絵梨佳、恒松祐里が特に良かった。
映画の中身とタイトルの関連性が分かりません
多部未華子ファンの私にとっては、彼女の出番が思ったほど多くなかったので、ちょっと不満でした。主演は三浦春馬1人という感じですね。何度も出てくる彼の爽やかな笑顔のシーンには癒されます。ただ、もう彼の笑顔を二度と見ることができないと思うと切なくなってしまいます。
愛は‼️❓出逢い‼️❓生き抜く‼️❓想い‼️❓
人生とは「小さな夜」の積み重ねなのだ
人生って素晴らしい。
人の繋がりって素晴らしい。
そして何より、
人は決して一人で生きてるわけではない。自分の知らない所で人と人はちゃんと繋がっているのだ。心からそう思える、優しくて暖かい映画だ。
劇中に多くの登場人物が登場するわけだが、そんなに特筆すべきエピソードがあるわけでもないし特に目立つキャラが居るわけでもない。主役は確かに三浦春馬君と多部未華子さんだが、常に彼らが中心というわけでもないし何か特別な事をするわけでも何かが起きるわけでもない。本当に「小さな事」の積み重ねだけでこの映画は成り立っている。結局のところ誰が重要人物とも言いずらく、役割の重要性も本当に全員に均等に分配されているようにも思える。ただ言えるのは、それぞれが小さいながらもしっかり「輝いている」のだ。そしてその輝きが集まると、気がつけば最後は美しい「流星群」になっているではないか。これまた「やられたなあ」と言うしかない。これも「伊坂ワールド」という事なんだろうか。本当に恐れ入りました。
名字に象徴される通り、佐藤は何の特徴もない平凡な男だ。役名でも下の名前すら与えられておらず(原作がどうかは知らないが)、親友の娘からも気安く「さとう~」と呼び捨てにされていて、その娘が高校生に成長しても相変わらず「佐藤」呼ばわりされていたのも笑った。特に男らしいわけでもセンスがあるわけでもなく、真面目さだけが取り柄の優柔不断ではっきりしない男だ。プロポーズする時もレストランで上手く言い出せず、店を出てから妙なタイミングでプロポーズしようとするが焦って指輪を取り出すのもたどたどしい。その姿に紗季も苛立ちを隠せず、挙句の果てに「10年付き合ったんだから」とつまらない事を言ってしまうもんだから、ついには紗季に出て行かれてしまうわけだ。うなだれる佐藤の姿が奥さんに出て行かれた先輩の藤間さんとダブって見える。藤間さんが言ってたように、何が決定的というより全ては「小さな事」の積み重ねなのだ。そんな小さな小さな出来事の積み重ねがまさに佐藤という男の「人生」を良くも悪くも示しており、それでも最後はそれこそが実を結ぶ事に繋がって行くという展開の仕方が見事だ。
紗季が乗るバスを必死に追いかける佐藤は泣いてる子供を放っておけずにバスを見失ってしまう。その姿を見かけた紗季はそれまで捉え所がないと思っていた佐藤という男の「頼りない」だけではない、彼の持つ人間としての「本質」に気付いたのだろう。そして紗季と再会出来た彼は自分の思いを伝えると返事も聞かずに彼女をまたバスに押し込み、そしてクシャクシャの笑顔で彼女を見送るのだ。この時、彼女の気付きは「確信」に変わったのではないだろうか。僕が女性だったら「この人を信じてみよう」ときっと思うだろう。このビックリするほど劇的でない展開に「佐藤はやっぱり佐藤なんだよな」と強く思うのだ。こんな何の変哲もない「夜」がいくつもいくつも積み重なる。これが「人生」なのだと。これは本当に沁みる話だなと思う。
よくよく考えてみると、この脚本はとんでもなく難しかったのではないだろうか。特徴的な人物も居らず、これといった見せ場があるわけでもない。強いて言えばウィンストン小野のボクシングの試合が重要ポイントにはなるが、決定的というほどでもない。その登場人物のそれぞれの持ち味を殺す事なく描き分けるのは至難の業だと思う。しかもそれぞれをちゃんと光らせ、複雑に入り乱れた相関関係の中で全ての伏線を終盤に怒涛の勢いで見事に回収しまくっている。ファミレスで働く美緒(恒松祐里)が客に絡まれた時、久留米君がかつて父親が使った「技」で客を撃退する。父親の事を「あんな風になりたくない」とバカにしていた彼も、巡り巡って少しずつ大切な事に気付き始めたのだろう。そう思うと非常に感慨深いものがある。さりげなく「心のひだ」に触れてくる描き方。「伊坂ワールド」恐るべし。
それに加えて斉藤和義の音楽がまた素晴らしい。
まさにこの映画にドンピシャで、劇中の重要なタイミングで必ず出没する路上ミュージシャンの歌も良かったし、エンディングではもう気持ち良く浸ってしまう。ああ…この映画を観て良かった!と思える心地良さ。しんみりな曲じゃないのにグッと来るのだ。
そして最後に。
三浦春馬君の笑顔が本当に素晴らしい。
あの彫刻のような美しい顔立ちと子供のような笑顔がもう見れないのかと思うと、それだけで泣けてくる。僕には他人の人生をあれこれ言う資格なんかないけど、それでも生きていて欲しかったなあと思わずにはいられない。生きてるだけで大抵の事は「どうにかなる」んだから。
「出会いがない」と嘆いてばかりのあなたに観ていただきたい
原作は未読だけどコミックは先日読んだ。
エピソードはいろいろ改変されているし登場人物も省略されているようだ。しかし、ちょっと散らかり気味だった構成を、うまく整理したなと思う。
伏線回収の快感は薄れているけれど、恋愛ドラマとしての爽快感は増しているのではないだろうか。
あのいちばん印象的なシーンを最後の最後に持ってきて、そこに告白を絡めるなんて。「よくやった少年!」っておっちゃんは27インチ画面の前で拍手したよ。
それに、多部未華子も恒松祐里も期待を裏切らない可愛さだったし。そうえばサンドイッチマンも出ていたな笑。
結婚に向けての最後の一歩が踏み出せない人がいるなら、いや「出会いがない」と嘆いてばかりのあなたにこそ、ぜひ観ていただきたい。
途中まで違和感ばかりだが余韻に浸る
森絵梨佳かわいい
ダイナミックな展開と噛みしめる幸せが─
バラエティー豊かな出演陣を巧みにちりばめながら、拳闘の世界戦というダイナミックなモチーフと小さな出会い・別れみたいな相反する要素をうまく絡ませて、じんわりくる幸せを心の奥底でかみしめることができるような─そんな見事な作品だったと思います。
派手さはなかったという印象ながらも、それが監督の持ち味であり、これまでの監督作品と比べればかなり煌びやかな感じ?だったのかなーと思うし、その分、何となく違和感を感じる演出なんかも、細かいところで感じたり─。奏でられるセレナーデなんかもその一つなんですが、まぁそれは作品のキーとなっているものなので、作品として素直に受け入れることができました。
楽しくて、幸せになる作品ですが、それ故になおさら今見たり今後見返すようなことがあれば、少し切なくなってしまいます。
運命の人との出会い方
酷すぎるダイアログに絶望
何気に初の今泉力哉映画。物語の展開がどれだけ面白くても会話がダメと何もかもダメだなということを改めて実感した。今泉作品は無駄なく自然なダイアログが見せ場、みたいな評判をよく耳にしていたのでけっこう拍子抜けしてしまった。会話の内容自体もクソどうでもいい(なおかつクソどうでもいいなりに新たな言語的宇宙が生成されている感じもない)し、会話の始まり方がものすごい作為的というか、無音との境目がハッキリとしすぎている。というのも登場人物たちにそれぞれ明確な「語るべきこと」があるからだと思うのだが、そんなあまりにもキチンとした奴らの交わすダイアログのどこが自然だというのだろうか。一瞬たりとも心を動かされる瞬間がないことに逆に心を動かされてしまった。もちろん悪い意味で。ただ先述の通り、伊坂幸太郎が敷設したトリッキーで後味爽やかな物語展開は見事なものだった。できごとの破片が時代を超えて呼応し合うざわめきみたいなものを存分に楽しむことができた。それにしても原作モノは監督の手腕一つでどうにでもなってしまうから恐ろしいな。俺が小説家だったら死んでもワガママを押し通して濱口竜介に映画化してもらいたい(傲慢)。
出会いは、小さな奇跡の連鎖でできている
メインとなるストーリーは、三浦と多部であるが、三浦の友人夫婦、その娘とボーイフレンド、三浦の先輩とその妻、三浦の先輩の娘と耳が聞こえない男の子、ボクサーとその妻の出会い、つまり6つの出会いが絡み合って進行する。
何故、その人と付き合うことになったのか? 選んでみて、後でその人で良かったって思える出会いが一番。そんなフレーズが何度か繰り返される映画。
自分には、今ひとつピンと来ないフレーズだった。同じことの繰り返しになりやすい日々の暮らし、そして人と人との付き合い。その人を選ぶ、後押しとなる理由が欲しい。ボクシングの勝者への賭けに、告白するか否か、自己肯定等を託す。中途半端さ、曖昧さに対して、寛容。
便利で快適、人に同調して和を大事にして生活していると、何が大切なのかわからなくなってくる。この映画に登場する人物の多くは、はっきりしない性格とはっきりした性格に分かれる。三浦、多部、三浦の先輩、友人夫婦の娘のボーイフレンド、ボクサーの妻は、はっきりしない性格。三浦の友人とその妻、その娘、ボクサーは、はっきりした性格。はっきりしない性格の人たちが、自分を後押ししてくれる理由を求めている。
監督は、そうした人たちにも優しい眼差しを向けているように思える。しかし、同時に思うのは、相手を傷つけないように、自分が傷つかないようにが主で、ぶつかり合いが少ないことだ。深いところで繋がらないと、本当の関係にはなれないのでは? ただ、現代の人間関係のほとんどがそうなっているとも思える。現代人への優しい応援歌のような映画だった。
多部ちゃんファンなので観たが、以前よりも目鼻立ちがくっきりして、綺麗になった。多部と三浦は、美男美女の黄金コンビだっただけに、惜しい男優を亡くした。三浦春馬に哀悼の念を捧げたい。
このお嬢様がいったいどこのどなたの娘なのかご存じでおっしゃっているのだとしたら、ずいぶん命知らずだなぁって・・・
仙台が舞台。
矢本悠馬と仙台出身の森絵梨佳の夫婦
99.99%ありえませんなぁ
ゼクシィのCMで注目されたモデルの森絵梨佳のお芝居はとても自然で上手かった。
メリハリもあるし。本職の俳優よりも上手。恒松祐里との真面目な親子のやりとりもよかった。
結婚して出産もしてからこの映画にご出演。
彼女と結婚した人はホント金星ゲットですね。
ただ、大学中退居酒屋バイトの矢本悠馬との
結婚は当たり🎯だったという台詞は微妙ですなぁ。アダルトビデオが放りっぱなしの家だし。
三浦春馬と矢本悠馬、ふたりとも名前に馬がつくんですけどねぇ。
萩原利久クンはかわいい。
駐輪場の場面のお父さん役は柳ユーレイだった。
夜間道路工事バイトの多部ちゃんのヘルメット姿は超キュートでした。
絶妙コンビ
最近、本作をじわじわとしっかり鑑賞した。今迄何回観たか数えきれない程観ているが、三浦春馬さん登場場面中心にしか観ていなかったので評判程、いいとは感じてなかった。
だのに、である、先日は美緒と久留米の高校生カップルのくだりもなかなか微笑ましいじゃん、貫地谷しほりとボクサーカップルも支え合っているなぁ、矢本悠馬と森絵梨佳の野獣と美女夫婦もなかなか味が出てるなぁ、とか素直に受け入れられたのである。虐められていた少年が成長して藤原季節になり活躍しているなぁ、とか。
すると、本作の評価も上がる。
皆さんの仰る通りだ。
そして三浦春馬さん、ベストカップル多部未華子さんとほほ10年ごと3回目の共演。
キラキラオーラを100%消してどこにでもいる会社員の兄ちゃんになって演じてくださった。美緒と出会した時のあの無防備な表情と服装、会社員やってる時もいつもと違い肩を落とし気味で頼りなさを表しているのか、どこにでもいそうな兄ちゃんだけど、この人は、と思った人は世界に一人。その相手の事を気持ちも含めて大事に大事にして来たのが後半わかる。
登場人物の皆さんが、この人だったからでしっかりと見極めて愛を育てている。浮気•不倫•二股‥‥なんて言葉は無関係。素朴でいて唯一無二のそれぞれの愛に心が清々しかった。ただ、泰造さんは何故別れた?
運命的な出会いとは
音楽には疎いので呪文のようなカタカナはモーツァルトの
曲名だということを調べてから知った。「小さな夜の曲」と
訳されるらしい。聴いてみたら聴き覚えのある有名な曲だった。
劇中ではこの曲ではなく斉藤和義による「小さな夜」が何度も
仙台駅前の街頭ライブとして出て来て効果的に使われていた。
映画自体も大げさに構えた物ではなくこじんまりとした印象。
でも登場人物それぞれが魅力的に描かれており、見終わった
時には何となく心地良い感じがした。
何組かのカップル(既婚も含む)の馴れ初めや付き合い方、
「あの時出会ったのがこの人で良かった」と思っているか?
などを割と平凡な日常の中で見せていく。大事件が起こる
訳ではない(当事者にとっては大変な事もあるが警察沙汰や
死に至る病みたいなのはない)。
一人一人の個性を上手く描けており、そんなにドラマチックな
展開にはならないのにその人の言動に共感できたり、人生の
「あるある」を共有している感じがした。原作も良いのだろうし
今泉力哉監督がしっかり人間観察のできる人でそれが映画に
反映されているのだと思った。
関わらなかったはずの人物同士をある接点で出会わせてみたり、
10年後を描いてそこで伏線を回収するのも良かった。いかにもな
感じでやられると白けるが料理にちょっとスパイスを足す感じ。
出演者みんなに好感を持てたが、多部未華子の存在感が際だって
見えた。主要な登場人物の中では遅く登場する方だし出演している
時間も短いはずなのに、この映画には欠かせない重要な人物像を
見事に印象付けた。こんな女性と出会ったらその縁を大切に
したいと誰もが思うだろう。(自分が多部未華子が好きで贔屓目に
見ているだけかな?)
本編は2019年製作/ドリパスにて2023年6月劇場で復活上映。
30代におすすめな映画。
この作品は好き嫌い分かれるかな〜と思います。
個人的には単調であまり好きではないですが、
その割には興味を持って見ることができましたし、
見終わった後も嫌な感覚(時間がもったいなかった)などは無かったです。
ドラマでは難しいでしょうし、映画作品にした点は納得です。
私自身が今結婚して数年経った立場であり、子供が産まれる、という状況ということもあり、
内容としては共感が多かったです。
出会いがポイントとなる映画ですが、
映画で言われる、あなたと偶然出会えて良かった、ではなく、出会えたのがあなたで良かった、という言葉や、
人生は小さな出来事の連続で、小さな出来事が積み重なって大きな出会いを生んだり、一生の付き合いができる友人と出会ったりする。
映画を見ながら、夫との出会いや、友人との出会い、大人になってから仲良くなった人とのきっかけ、などを色々思い起こしました。
30代におすすめな映画かと思います😉
高山流水!!
神妙な気分で観る三浦春馬
全223件中、1~20件目を表示