「心は冷めない」コーヒーが冷めないうちに くらげさんの映画レビュー(感想・評価)
心は冷めない
最初ののんびりとした単調なテンポに
睡魔に見舞われそうになったが、
話が進んでいくごとにそのテンポが心地よくなった。
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長年互いに好意を抱く幼馴染に、突然アメリカに行くと言われもやもやする若い女性。
今や認知症となった妻にどう接していいのか分からず、看護師として妻のそばにいる旦那。
自由になりたくて若いうちに家を出てから、実家との付き合いが疎遠になっており、必死に向き合おうとしてくれた妹を事故で失ってしまったスナックのママ。
過去に戻れるコーヒーを注ぐことのできる能力をもつが、自分のいれたコーヒーで現実世界へ帰って来れなくなってしまった母に罪悪感を抱き続ける喫茶店の娘。
コーヒーが冷めないうちに、コーヒーを飲み干してしまわないと幽霊になり永遠に現実世界へ戻れなくなる。
4人それぞれがそれぞれの会いたい人へ伝えたいことを伝えるために過去に戻る。
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自分が大切な人にどうしても伝えたいことがあった時、私はあの席に座れる勇気があるのだろうか。そんなことを考えながら映画を鑑賞した。
過去(起きてしまったこと)はもう変えられないが、
未来を決めるのは、いまの自分自身。
父に会いに過去へ行ってそのまま娘を置いて戻ってこないのかと思われていた主人公の母親が、
自分の寿命を知って自分がいなくなった世界で娘が暮らしていけているのかを見に未来へ行っていた。
というのはなんとなく想像がつきベタではあったが、
“子どもを想う母”は、なんとも強くたくましく魅力的で、自然と涙が伝った。
2時間越えの大作ではあったが、見ているうちに世界観に引き込まれて心があたたかくなれる。そんな作品。