劇場公開日 2018年9月21日

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「コーヒーが冷めないうちに映画を観る前の自分に戻して欲しい!」コーヒーが冷めないうちに Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)

0.5コーヒーが冷めないうちに映画を観る前の自分に戻して欲しい!

2018年9月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

単純

私達の人生とは、毎瞬毎瞬の選択の連続であり、その積み重ねである、その連続する選択の流れを人生そのものと言ってもよいと私は思う。
朝起きた瞬間から、その日に着る服選びに始まり、ありとあらゆる物事を選択していかなければならない。
そう本作の「コーヒーが冷めないうちに」を観ると決めるのも、当然そんな、あなたの日常の中の小さな選択の一つだ。
しかし、当然私達には未来を予知する事は出来ないので、そんな人生そのものである日常の選択を誤る事も頻繁に起こるわけだ。
その選択の間違えを失敗と呼ぶか、人生勉強と呼ぶか、或いはその事で悩む事を後悔と思うのか?それは選択する事柄や、内容に因っても異なる事だが、その選択した事柄をどう感じ、どう解釈し、何を得、学び、どう感じて生きて行くかと言うその過程の選択そのものも、また人の人生の質を決定すると大きな要因だと思う。

それ故、人は日々の選択の結果を時間経過してみる事で、時に後悔し、出来る事なら時間を巻き戻して実際に下した選択と異なる選択をしてみたくなるのが、人情と言うものだろう。

それだからこそ、いつの時代もタイムトラベラー物は小説や映画では人気の高いジャンルの一つと言えるし、実際多数の作品が制作される中で、心に残る作品へと作り上げる事の難しさも同時に有るのだと思う。

私は特にこのジャンルの作品は大好物で、直ぐにこの手の作品には甘い点を付けてしまいたくなるけれど、この作品にだけは残念ながら、甘い点数をと言うわけにはいかなかった。

川口氏の原作を未読なので、原作の面白さが充分に描かれていなかったのか、或いは奥寺佐渡子の脚本が今回は駄目だったのか、理由は不明だが本作を観ていて兎に角登場人物の描き方が薄くて、どうにも不満で、観るに堪えられない作品に思えたのだ。
特にヒロインを演じていた有村架純もこれではタイムトラベル用のナビゲターなだけ。これではディズーランドのアトラクションのナビゲターの方が数段魅力的で良い位だ。

もしも、本作に薬師丸ひろ子や、松重豊そして吉田羊が出演していなかったら、この作品はどうなっていただろうと考えると本当に怖くなる。そしてこの3人の熱演にも関わらずここまで本作が見栄えのしない作品へとなってしまったのは、本作がデビュー作となる塚原監督の力不足の結果なのだろうか?何とも本編全体がダラダラとして歯切れのない、テンポの悪い作品になってしまっていた。

叶う事なら私は、この映画を観ると決めてチケットを購入する前に戻り違う映画のチケットを買い直ししたい気分だが、どんなに過去に戻っても、既に起きてしまった過去は変えられないと言うので、やはり自己の選択の失敗を諦めるよりしょうが無いのだろう。

この手の作品がお好きな方には、是非「ツナグ」をご覧になるようにお勧めしたい!映画「ツナグ」では先頃他界された樹木希林氏の素晴らしい芝居は勿論の事、仲代達也、八千草薫、遠藤憲一の熱演と平川監督の確かな脚本、演出を堪能して頂けると信じている!

ryuu topiann