「不自然な「成長」」PSYCHO-PASS サイコパス Sinners of the System Case.1「罪と罰」 FAさんの映画レビュー(感想・評価)
不自然な「成長」
(霜月美佳のキャラクターに対する違和感について書いていますが、小説やドラマCDなどは全て把握しきれてないため、そのようなスピンオフ作品でここに繋がる霜月の心情の変化が描かれているものがもしあればごめんなさい&教えてくださると助かります)
今回のメインの一人である霜月美佳というキャラクターを理解するのに相当時間がかかりました。
今作の霜月はどこか「かわいい」と思わせるような描かれ方をしているところがあり、かつ自分の行動に迷いがなくて潔い、どこか「さわやかな」キャラクターに成り代わっていました。2のラストにおいてシビュラを盲信することで罪から目を背け自己を保とうとしていた霜月がどうしてここまで生き生きと振る舞うことができるまでに「成長」したんでしょうか?
鑑賞直後はその過程がまったくわからず混乱でしかありませんでした。正直「成長した」という結果だけ見せられても何も感じません。そもそも2で常守の祖母の情報を漏らした、という「罪」に対して結局どのような姿勢をとったのか?「罪と罰」というサブタイトルなのにも関わらずそもそも霜月美佳が自身の罪と向き合いもしないで罰も受けずただ良い感じのキャラクターになっているのは何なんだという疑問…。
しかしながら鑑賞後、彼女についてのバックグラウンド、及びTVアニメの内容をもう一度整理し、辻褄が合うようにここまでの過程を自力で想像することで、なんとか納得がいきました。もし2もしくは劇場版~今作までに霜月が自らの罪と向き合っていたらどうなっていただろうか、もしそうだとするならばそのきっかけはどんなものがあり得るだろうか…など。受動的なコンテンツが溢れ、それで満足しがちな今の時代、かなり考えさせられるものだったので新鮮でした。想像力が試されます。乱暴な解釈ですが、霜月美佳の「罪と罰」について考えさせられるように作られているがゆえのサブタイトルなのではないかと疑うくらいです(笑)Case2はどのような切り口で来るのか楽しみです。