「摩訶不思議な映画で破綻だらけ」空母いぶき 西の45ACPさんの映画レビュー(感想・評価)
摩訶不思議な映画で破綻だらけ
平日で安かったので鑑賞しました。違う意味で期待していたのですが、そういう意味では期待以上でした。戦争映画?として見てはだめで、ツッコミ入れながら見る、ネタ映画です。
話題になっていた首相の演技は全く問題なく、許容範囲内でした。
他の設定、某国の軍の行動、自衛隊の振る舞い、日本の様子、海外の様子、全てが破綻しています。全く感情移入できず、結論としてはキツイ映画でした。
某国の軍の行動は、結局何がしたいの?ということだらけ。
単にミサイルをいっぱい打ちたいだけか?という感じです。
空母持ってるし、潜水艦もあるし、戦闘機も20数機と、軍事拠点でもない単なる島を侵略するために大規模展開するわけです。で、何をするかと言えば、何のひねりもなく、順番にミサイル打つだけです。その後、軍事的なかけひきもなく、外交的なかけひきもなく、国連軍が来たから下がりますという、結局何がしたかった?
次に自衛隊。冒頭の潜水艦が艦隊と一緒に海面で進んでいるのも驚きで、その後艦隊と一緒の速度でガンガンに音出しながら行くのか?隠密行動しないと潜水艦の意味ないですよ。あと戦闘で相手の潜水艦にぶつけますが、その後の対潜戦闘を考えないところが大馬鹿です。潜水艦いなくなってどうする。相手も魚雷一発も打たずに素直にぶつけられるという大まぬけ。
墜落した敵のパイロットを助けて、ハンドガン奪われてって、艦で銃を持つってことは警備要員じゃないのか? 担架で運ばれている負傷した味方パイロットが気づくような、敵パイロットの仕草に気づかないという大まぬけ。あと海上で助けたんだがら、極めて寒いはずで、普通ブラケットでくるむとかしないか? そうしておけば拘束もできて行動も制限できたのに。
自衛隊の振る舞いではないですが、攻撃を受けた被害の描写もおかしい。敵潜水艦に乗り上げた潜水艦の内部は、天井から水が結構な量で落ちてくる。ぶつけたのは下ですが。何で上から? 全体ゆがむくらいにぶつけた? おいおい。
魚雷一発で大炎上する護衛艦。艦首付近に当たったのに何が燃え
て大炎上? 普通ダメージコントロールするでしょ。大炎上はないですよ。
一佐、二佐クラスなのに作戦行動中に感情的になったり、自衛隊と言えども、数えきれない訓練とシミュレーションをしているプロ中のプロですよ。ありえない。塹壕こもって、突撃~じゃないんですから。
日本の様子。動画がネットにアップされ、戦争か?となって、コンビニに人が押し寄せて食料買い込むシーン。コンビニ店員は、夜通し接客で疲労困ぱい。いやいや、当方阪神大震災経験者ですが、コンビニなんて30分もたたずに品物なくなります。作中では物流も止まっていたし、摩訶不思議。
クライマックスの国連軍の各国の潜水艦。音もたてずに海上艦より速く現地に出現。お~い。最初から予見してそこにいたのか? 浮上すると潜水艦は無防備だが、よいのか? 相手はならず者国家だぞ。なんで潜水艦? 普通艦隊でしょ。せめて戦闘機多数とか。
最後にいぶきの艦長の行動の動画がネットにアップされ、世界中が感銘を受けたシーン。世界中で戦争や戦闘は数えきれないくらいあって、もっと悲惨なことも、もっと立派な行動をしてるひともいっぱいいるんだが。そもそもあれで報復したら、犯罪になるはず。あんなんで感銘を受けるか?
以上のようなツッコミを心の中でしながら見る映画です。
(この映画を見て感動したとかいうひとは、まったく信じられないです。)
自衛隊に対して、戦争反対と言うひとがいますが、自衛隊は文字通り自衛のみで侵略戦争は不可能です。そういうことをするための兵站がないので。米国がいろんなところに出張っていますが、兵站がちゃんとしてるから行けるんです。今や戦国時代みたいに現地調達なんかできませんから、人道的に。侵略した先で空腹で動けなくなって終わりです。ましてや経済がグローバル化して、侵略戦争なんぞしたら経済大混乱になるんで、各国から袋叩きで終わりです。侵略を戦争でする時代は終わって、人、モノ、金で浸食されて経済を握られて・・・という時代です。
魚雷に関しては第二次世界大戦並みの認識で映画作ってるね。
今の魚雷だと全く撃沈のためのロジックが変わってるから、船体に当たること自体が変。
船の下で爆発させてキールを折るからどんな巨艦でも耐えられないんじゃなかったかな。
https://www.nicovideo.jp/watch/sm2137072
これ動画