家(うち)へ帰ろうのレビュー・感想・評価
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クスっと笑える道中でもうっすらと続く緊張感が、ラストの3分で一気に開放される気持ちよさ
ホロコーストから生き延びた老人が友人との約束を果たすためアルゼンチンから祖国ポーランドに旅するロードムービー。
重い設定だけども、頑固じいさんのウィットな言い回しが心地よく、気を張りすぎないのは南米アルゼンチン映画のなせる技か?
頑固じいさんが周りに助けられて旅を進めていくのを見て温かい気持ちになりました。
ドイツが近づくにつれ見えていくるじいさんの辛い過去に胸が締め付けられる……。
ハッとなる名言も多くある。
”聞いたんじゃない。実際に見たんだ。”は強烈なフレーズ。
ラストシーンの二人の演技は素晴らしい。
わずかな表情の変化で長い月日をもの語る名演。
2018年公開映画の中でも上位にくる素晴らしいシーンでした。
案外さらっと終わるけど、このシンプルな出来事がスゴいことなんだと。気持ちいい後味がありました。
クスっと笑える道中でもうっすらと続く緊張感が、ラストの3分で一気に開放される気持ちよさが素晴らしかったなぁ。
辛いことも笑えることもあっても心から泣ける嬉しいことがあるから生きてる意味あるな、と。
思い返すほど良い映画だったと思えてくる良作です。
3.7
可愛げのない娘孫たちに憎まれ口を叩きながら、コメディータッチな日々を送っている偏屈じいさんには、とても過酷な過去があった。
私たち現代人の想像を絶するような過去。
傷んだ身体を引きずってでも、その過去に向かって進んでいく偏屈じいさん。
途中、嫌でも過去と向き合わなくてはならない局面に立たされるけど、素敵な女性たちが助けてくれる。
少しずつ、ほぐれる偏屈じいさん。
最後には、唯一の光ともいうべきゴールが待っていた。
長生きはするもんだな。
よかったね、じいさん。
忘れない。
最初は頑固一徹な爺さんの物語だと思っていた。
だが、蓋を開けるとユーモラスで存外したたかな爺さんで意表をつかれた。
映画冒頭の孫娘とのやり取りなどで彼の性格の一端が垣間見える。一筋縄ではいかない爺さんなはずである。
物語の中で彼の過去に関して、彼の口から語られることは少ない。だが、だからこそ、彼の口から語られる言葉には重みがある。
ある本で読んだ言葉が思い浮かんだ。
『軽々しく口にできる過去などその程度のものだ。本当に辛い過去ほど人は口を開かないものだ』と。
この物語は友を忘れなかった二人の男の物語だ。
こんな業突張り爺さんに付き合わされるのかと思ったが
アルゼンチンはブエノスアイレス。
88歳になる元仕立屋のアブラハム(ミゲル・アンヘル・ソラ)は、家族の強引な奨めで老人ホームに入ることになった。
気がかりなのは、最後に仕立てたスーツのこと。
スーツそのものではなく、第二次世界大戦末期、生まれ故郷のポーランドでの出来事が気にかかる・・・
というところから始まる物語で、件のスーツを命の恩人のポーランド人の幼馴染に手渡したい、ということで家族に黙ってポーランドへ旅立っていく。
アブラハムはユダヤ人で、第二次世界大戦のポーランドで辛酸を舐めた。
そんな彼を救ってくれたポーランド人の幼馴染に再開したいというものだ。
物語はシンプルなロードムービーで、概ね4つのパートに分かれる。
まずは、アルゼンチンを飛行機で旅立つまで。
次は、経由地スペインでパリ行きの列車に乗るまで。
続いて、パリからポーランドまでの列車での移動。
最後は、ポーランドでの終幕。
なのだけれど、オープニング早々のエピソードで、ちょっと癖癖してしまいました。
それは、永年暮らした家を離れるので孫たちと記念写真を撮ろうというエピソードで、孫のひとりがゴネて参加しない。
だが、孫娘はスマホを買いたい、お金を出してくれたら、一緒に写るといい、アブラハムと駆け引きが始まります。
その駆け引きのユダヤ人的なこと。
老いも幼きも、がめつい、がめつい。
こんな爺さんにこの後も付き合うのかと思うと、ちょっと辟易で、こんな感じはスペインでの宿泊費の値引き交渉にも登場し、このあたりでちょっと降参しようかとも思いました。
なのですが、道中、助けてくれる女性たちに絆され、爺さんもちょっと丸くなって折れるので、最後まで付き合えました。
列車旅での道連れ女性や、ポーランドの看護婦など、優しすぎるきらいがないこともないのですが、でもまぁ、年配のユダヤ人にはこれぐらい優しくなければいけないかもしれません。
なにせ、彼は先の大戦での迫害の被害者なのですから。
で、結局のところ、彼の旅の目的は果たされるわけですが、心温まるけれども少々物足りない。
心優しい結末でない方が、さらに深みが増したような気もするのですが・・・
家へ帰ろうの真の意味
号泣。
残りの人生に希望がない。頑固なじじぃ家出。絶対に国名を口に出すことをしない国へ行く。
旅の途中様々な人間に出会う。出会い方、そのストーリーも面白い。1人だけ会うことをしなかった娘のストーリーには衝撃を受けました。
紙に書いてまでして絶対に言わない国名、絶対に足を踏み入れたくない国、時折入る過去の映像と彼の言動がその理由を語っていく… ラストシーンの意味に号泣でした。
あと、こんな濃い内容をよくこんなに短く尚且つ重くなく出来たな~って… 素晴らしいです。
70年前に交わした再会の約束を果たすための旅
娘たちに家を処分され老人ホームに入れられようとするユダヤ人の老人が人生最後の旅に出る。
アルゼンチン(ブエノスアイレス)〜イタリア(マドリード)〜フランス(パリ)〜【ドイツ横断】〜ポーランド(ワルシャワ)。そこは生まれた土地であり、1945年の終戦のとき、ホロコーストから逃れ九死に一生を得た土地であった。まさに帰郷である。
まるで人生の縮図のような旅。悪いことがあり、いいことがある。人々(特に女性たち!)の優しさに触れ、頑固オヤジが何だか丸くなっていく感じがした。このオヤジがだんだん好きになってきた。
ゴールが近づくにつれ、死に直面した際のトラウマが鮮明に蘇る。その余りにも強いトラウマが故、これまでドイツやポーランドに近づけなかったのだろうか。
70年の思いが堰を切ったように流れ出すラストは実に感動的だ。このオヤジが大好きになった。
重い歴史を背景にしながらも、温かなバイブレーションがみなぎる秀作。いい気分で帰路に着いた。
老いについて考えさせられるロードムービー
アルゼンチンで仕立て屋を営んでいた老人アブラムは一線を退き高齢者施設へ行くことになっていたが、引退前の仕立てた最後のスーツを持って家族に内緒でこっそり家を出る。彼はポーランドからのユダヤ系移民で、そのスーツは収容所から命からがら脱走したアブラムを匿ってくれた親友との約束で仕立てたものだった。アブラムは存命かどうかもわからない友人にスーツを渡すべくポーランドを目指すがその旅は思いのほか過酷なものだった。
こんな邦題なのでほのぼのした物語を勝手に想像していましたが、結構ヘビーなお話。凄惨な過去を背負った老人がトラウマと向き合いながら旅先で出会う人々と心を通わせる中で現実を受け入れていく様を見つめる映像は美しく、やがて自分にも襲いかかってくる老いというものを深く考えさせられる作品でした。3周り年上の老人が主人公なのに我が身のように沁みるのは監督のパブロ・ソラルスがほぼほぼ同い年だからかも。自分も一線退いたところでこんな人の優しさに触れる旅をしてみたいと思いました。
"NIKE"のスニーカー
ストライプのスリーピース、えんじ色のスーツ、さすがは仕立て屋だけあってお洒落な爺さんだ。
歩く距離が長い旅だから脚も悪い訳で、機能性を重視してスニーカーを履いているのが可愛らしいけれど、近場では革靴を履いてしっかりとキメる。
基本的には飛行機から列車での旅がメインで、ロードムービーとしての雰囲気はあまり感じられない。
孫とのiPhoneのやり取りは微笑ましくて、旅のゴールが帰る場所だったのだと泣けてくる。
2018年度ベストムービー!
泣いた…(笑)
*主人公とドイツ人文化人類学者との、駅ホームベンチでのやり取りには、涙でした(泣)
*昨年公開の映画だったが、年明けに何とか観ることが出来た…見逃さなくて良かったです(笑)
*昔から"この映画は絶対に泣ける"なんて作品があるが、この映画も間違いなくそうでしょう(笑)そこの泣きたいあなた!これ観なさい!(笑)
歴史の重さ、冷たさ、そして希望
ナチスに迫害されたユダヤ人は、ドイツやポーランドという名前も口にしたくない、実際口にはしない。
それでもその国に住んでいた時に自分を救ってくれた幼なじみを訪ねに行く話。
ホロコースト物として、その残虐さをリアルな映像で示したのが「サウルの息子」だとすれば、この映画はその正反対に、主人公の行動だけでそれがどれだけ残虐だったかを示そうという映画だ。
そして、土地も踏みたくない、名前も呼びたくないドイツという憎むべき国を通過する間の出来事が、またいい。
観ている人の心も少し癒されると思う。幼なじみに会えるかどうかという結末よりも、この「ドイツを通ってポーランドに降り立つまで」を是非見てほしい。
俺は、こういう「希望を感じられる映画」が大好きだ‼︎
ドイツ人の気持ちがわかりました。
悪くない作品です。
主人公の老人より現在のドイツ人が今でも苦労して、罪を背負わされてるのが理解できました。
いろいろ旅先で苦労してる老人を助けてる周りの人が苦労させられてる感じ。
ラストだけは見応えがありました。
凄くいい作品だとは思う。 でもちょっと正月から観るには重かった…。...
凄くいい作品だとは思う。
でもちょっと正月から観るには重かった…。
ロードムービーってこーゆー感じなの??
主人公のこれまでの人生が幸せじゃないように感じてやるせなかった。
ハッピーエンドなのが救い。
カッコいい爺さんのロードムービー
リア王みたいな偏屈な老人が地球を半周する旅をするロードムービーである。主人公は頑固で視野の狭いユダヤ人で、人間の尊厳を卑近なプライドと誤解し、ナチスとドイツとドイツ人をまとめて混同しているが、若い頃の第二次世界大戦を生き延び、親の代からの洋服の仕立てで生計を立てて三人の娘をきちんと育て上げた苦労人でもある。プライドを守るために声を荒らげたりもするが、根は善人で変な悪意は持たない。シャイでユーモアのセンスもある。そして、齢90を超えてなお矍鑠としている。一言で言うと、カッコいい爺さんだ。
そんな爺さんならば、若い頃に受けた恩を忘れずにいるのも当然だ。いつか恩を返したいと願い続けて叶わずにいたが、漸く報いる時が来た。意を決して出かける様がこれまたカッコいい。仕立て屋だからおそらく自分で仕立てたであろうスリーピースは、サイズもピッタリでとってもお洒落だが、足が悪いせいで革靴の代わりに運動靴を履いているところに愛嬌がある。
旅の途中で様々な人との出逢いと別れがあり、主人公の人柄にほだされ、見た目からして老齢ということもあって、いろいろな人が彼を助ける。最後に彼を助けた看護婦は、彼がポーランドに来た理由を聞いて、あなたは素晴らしい人だと彼を勇気づける。
偏屈で強がりの主人公がわだかまりを捨てて、かつて人格と身体を蹂躙され続けたアウシュヴィッツ収容所のあるポーランドを訪れることは、大変に勇気のいることだと思う。仕立て屋の彼は、最期に自分の人生の仕立てを終えたのだ。
じいちゃの演技力か!
21世紀になってからは使い古された感のある題材で、登場人物の良い人っぷりに、これならこの混雑も理解できる。
ネットで予約ができないので、上映時間間際のチケットの列と観客の老人数に圧倒される!
おまけに予告編まで主演が老人とは…最近エネルギッシュに活躍のシャーロットランプリンの新作!(グ…は不要)
さらに最後は主人公のじいちゃんの演技力だけで泣かされた!
これを老人力と言うなら自分も欲しい。
そしてあなた(貴老人)にも観て欲しい〜
憎むだけでなく許そう、と。
主人公がユダヤ人でドイツの地面すら触れたくないと思うのもわからりつて話でしかその史実を知らない現代人との対比がわかりやすく伝わってくる。おじいさんの表情が秀逸。旅で出会う人達に助けられながら約束を果たす姿には泣けてくるのだった。
ほっこりした佳作
アルゼンチン・ブエノスアイレスに住む、仕立て屋のアブラハム爺さんの話し。
頑固で意地悪、すぐうそをつき、人の話を聞かない爺さん。
娘たちに家を売られ財産を取られ、悪くなった片脚を切断の上老人ホームに送られるという前日、家出をしてしまう。
彼が向かったのは、ポーランド。
1945年の昔に命を助けられた恩人であり、幼馴染の親友のところ。
70年ぶりに彼に会って、自分の作ったスーツを渡すために……
腕についた数字。
悪夢として蘇る過去。
頑なであった理由が少しずつ明かされていく。
彼が旅の途中で出会う女性たちとの交流を通じて、意固地な心が解けていき。
そして、旅の果ては……
ほっこり。
大きな展開の映画ではない。
100分程度の小さな話なのだが、今なお第二次大戦による心の疵を抱く者たちへの、優しさに溢れていた。
ちと、頑固爺さんが美女たちにモテモテ過ぎなのが納得できんところはあるが(笑)、それ以外は実に涙を誘う作品でありました。
良い映画観ました
戦後アルゼンチンに渡ったナチスの犠牲者のポーランドのユダヤ人が、自分の仕立てたスーツを70年の時を経て、当時の友達に渡しに行く、コミカルなロード・ムービー。
まず機内で隣の若者に話しかけまくってウザがられ、その彼を入国審査で手助けして後で助けられ、冷たい宿屋の主人、その人のお節介で音信不通でマドリードに移住した三女に会い、陸路でパリへ。パリで乗り換えの際にドイツ経由と初めて気づき、ドイツの地は踏みたくないとスペイン語で無理を言う。フランス人の冷たい視線の中、ユダヤ史を研究する女性に助けられる。しかし電車内でナチスがフラッシュバックして倒れてしまい、気付くと病院でスペイン語を話す看護師に看護されている。その人も親切で、ワルシャワから出身の街へ車で送ってくれる。近くまで来たものの、いざとなると躊躇してしまう主人公を励まして、当時の家の扉を叩く…。
ポーランドという言葉すら口にしたくないアルゼンチン在住の頑固おやじが、意図してか意図せずか、周りの他人を巻き込み助けられるのは、戦争中に助けてもらった親友への強い思いがあったからこそ。戦争の被害者というのは、当時をここまで嫌悪するものなのだな。最後は涙。
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