家(うち)へ帰ろう

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家(うち)へ帰ろう

解説

ホロコーストを生き抜いたユダヤ人の老人が、70年の時を経て、友人との約束を果たすためにアルゼンチンから故郷ポーランドへ旅する姿を描いたロードムービー。ブエノスアイレスに暮らす88歳の仕立て屋アブラムは、自分を高齢者用の施設に入れようとする子どもたちから逃れ、故郷であるポーランドを目指して旅に出る。そして、その旅には、第2次世界大戦時、ユダヤ人である自分をナチスの手から救ってくれた親友に、自分が仕立てた最後のスーツを渡すという目的があった。監督はアルゼンチンの人気脚本家で、監督作はこれが長編2作目となるパブロ・ソラルス。主演はカルロス・サウラ監督の「タンゴ」で知られるミゲル・アンヘル・ソラ。

2017年製作/93分/G/スペイン・アルゼンチン合作
原題:El ultimo traje
配給:彩プロ
劇場公開日:2018年12月22日

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(C)2016 HERNANDEZ y FERNANDEZ Producciones cinematograficas S.L., TORNASOL FILMS, S.A RESCATE PRODUCCIONES A.I.E., ZAMPA AUDIOVISUAL, S.L., HADDOCK FILMS, PATAGONIK FILM GROUP S.A.

映画レビュー

4.0邦題がラストの感動を一層深いものにした

2019年3月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

監督の祖父の体験を基に作られた本作は、軽妙でありつつ人生の侘び寂びを感じさせる。アルゼンチンから遠く離れた故郷のポーランドまで旅をする老人が、道中様々な人物と出会う。ポーランドへ陸路で向かうためにはドイツを通らねばならず、ユダヤ人である彼は、なんとかドイツを経由せずにポーランドに入る方法を模索するが、そんな道はない。絶対にドイツの地に足を踏まない決意の彼に、あるドイツ人女性の取った行動はに驚かされる。自国の加害の罪を背負うというのは、ここまでせねばならないことなのか、と複雑な気分になりつつも、勇気ある行動とも思う。

原題の「El ultimo traje」は最後のスーツ、という意味。個人的には邦題の方が好きだ。最後のスーツよりも、前向きさな印象を与えるこの邦題がラストの感動を一層深いものにしてくれたと思う。邦題は良く批判されるが、秀逸な邦題もたくさんある。

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杉本穂高

4.5お洒落な頑固ジジイ、モテ過ぎだ

2018年12月29日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

楽しい

知的

羨ましいじゃないかまったく。偏屈で頑固者なのに、宿泊代を値切ろうとしたホテルの女主人とは飲み屋でいいムードになるし、ドイツ人と聞いた途端に嫌悪感を露わにした相手の知的な女性研究者には駅でとんちの効いた援助を受けるし(一休さんみたいな解決策だ)、倒れて搬入された病院の看護婦にはドライブデートみたいな雰囲気で車に乗せてもらうし。

アルゼンチン映画でホロコーストもの?と観る前は疑問もあったが、なるほど、大戦後に南米へ渡って人生をリスタートさせたユダヤ人たちも相当数いたのか。ヨーロッパからの地理的な距離感が、迫害の歴史的事実や被害者らの体験を客観視するのにプラスに働いた。また、ラテンの大らかさや明るさも、ホロコースト映画にしてはユーモアがしっかり効いた作風に貢献したようだ。

男なら老いてもアブラハムのようなモテ爺さんになりたいものだね。お洒落がやはりポイントだろうか。

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高森 郁哉

5.0良い映画を観た

2023年2月2日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

題材がホロコーストの割には重くなく、テンポも良い。時々挟まれる回想シーンは、はじめはよくわからないのだが、なぜか引き込まれ、徐々に理解していくというプロットもとても素敵。忌わしい過去のシーンは最小限にして、セリフと観る側の想像力で充分伝わってくる。
頑固ゆえに家族にはけむたがられるというのもなんとなく頷ける。けれど、行く先々で良い出逢いがあり、目的地にたどり着けるのも人徳か。
旅先での出逢いに助けられ、頑なだった彼の心が少しずつ氷解して行く様も見どころ。特に、ドイツの駅で列車から降りる時は直接プラットフォームに降り立たずにベンチに座った彼だったが、ワルシャワ行きに乗る時には、普通にプラットフォームに立って歩いていた。
また、ドイツでの駅のプラットフォームが改装中だった。これは、ドイツが戦争時代の昔のままでは無く、変化しているんだということを象徴的に表現しているように感じた。
鑑賞後、良い映画を味わえた気分に浸れ、翌日まであれこれ考えていた。

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翼

4.0良い作品に出会えました

2022年9月14日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

ホロコーストから命を救ってくれた友人に約束を果たすべき、70年の時を経て故郷ポーランドへ向かうロードムービー。
目的は自分が仕立てた「最後のスーツ」を渡すこと。そんな途方もない旅。
淡々としている作りだけど妙に気になる物語なんです。
すごいめんどくさいお爺さんだけど、旅の途中で出会う人々と触れ合う中で段々と解れていくのが見ていて心地良いんですね。
一緒に段々と輝きを取り戻していく彼の人生。
その旅に彩りを添える音楽がすごく良い。
どうしてもドイツを通りたくない彼に進めた方法なんてもうとんち。
全体的にコミカルに描いていたが、一転終盤はかなり重くなっています。
それにしてもラストの納め方は実に見事。
何だか良い作品に出会えました。

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白波
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