洗骨のレビュー・感想・評価
全79件中、21~40件目を表示
不思議な感動を覚える
本作品のスケールの大きな世界観に驚いたというのが、鑑賞後の正直な感想である。
映画の前半は、地方の島らしく未だに残る封建主義と家族主義の価値観が登場人物を支配していて、少し嫌悪感を覚えた。そういう閉じ込められたような価値観の中で進む物語なのかと思ってしまった。そして奥田瑛二演じる主人公新城信綱の魂の再生が主なテーマなのだろうと勝手に予想してしまう。前半は、ある意味退屈である。
ところが後半になると、主人公は必ずしも信綱ではないと思いはじめる。そして登場人物たちのセリフが、封建主義や家族主義から逸脱して、本音で語りはじめる。それまで感情移入できなかった登場人物たちが俄然輝き出し、人間的な魅力に溢れてくる。そのきっかけは意外にもハイキングウォーキングのQ太郎の登場であった。
島の風習を熟知し、島の考え方に染まっている人たちばかりのところに、考え方の異なる未知の人間が現れれば、それだけでダイナミズムが生じる。異世界であった島の出来事が身近なものとなり、洗骨という儀式が現実味を帯びてくる。それから先は怒涛の展開で、男たちによるプチ巻網漁での小魚獲りから洗骨に至る数々の場面は、息を呑むシーンの連続であった。あるときはほのぼのして、あるときは緊張感があり、あるときは厳かである。これほどのシーンを撮ることができた照屋監督は賞賛に値する。
俳優陣はQ太郎も含めて好演。特に大島蓉子の迫力のある演技は、流石に舞台で鍛えられただけある。一瞬でその場の空気を決めてしまうほどである。水崎綾女は河瀨直美監督の「光」で永瀬正敏を相手に主演を務めた。そのときは目に力のある女優さんという感想だったが、本作品でも同様に目に力をためて、封建的な島のパラダイムや、ひとりで生きていく不安と闘う気持ちをそれなりに表現できていたと思う。
島の風景は何処も美しい。植物も動物も全て包み込んで海に囲まれている様子は、静かに微笑む女性のようでもある。筒井道隆のモノローグに少し説明過多を感じたが、島と人、生と死をこれほどうまく、そして同時に表現した映画ははじめて観た。死ときちんと対峙し、生命ときちんと対峙する。その圧倒的なリアリティに、これまで経験したことのない不思議な感動を覚えた。傑作である。
丁寧で誠実な脚本に好感がもてる
序盤の伏線を回収しながら物語が進んでいった。
島の日常風景や海岸から望む水平線に沈む夕日など登場人物の心情に寄り添うなタイミングで映っていた。
父親の壊れっぷりに心配になったけれど、まわりの人たちが心根のいい人ばかりだったので安心した。
信子さんかっこいい
背伸びしない身の丈の脚本が大好き
どんな理由で、どこの誰に期待されてるのか全く理解できない、ゴリ押し新人監督が多い中。特に小難しい話をするでも無く、偉ぶった講釈たれるのでもなく、ラリった頭で無理矢理捻り出した世界観を見せられるでもなく。身の丈で背伸びをしない話が、すごく良かった。
伝統を引き継いで、命を紡いで、血縁の温かさに救われて。
笑いを取るのに高尚なセンスなんか要らない。泣かす場面はシンプルで判りやすいほど入り込める。ゴリさん、二作目にも期待してます。
気になるところは、やっぱり画で。ちょっと子供っぽい感じがするところが目についてしまって。コップに人物を写してる所とか。それと、「人物ドアップ」が多過ぎると思う。肩から上で頭頂部は切れてるサイズの。で、人物だけで背景はボケてる。TV画面サイズなら、それでも良いと思うけど、劇場のスクリーンなら、もっといろんなものを同時に映し込めて、色んな表現ができるのに。「洗骨前夜」から、画の作りと表現が変わります。撮ってる人が変わったんじゃないかと思うくらい。洗骨前夜以降の画は好き。
廃れゆく風習と家族を結びつけた良い映画
日常の中に生命は巡る
しみました
家族の物語
正直、この作品のこと知らなくて、映画館に行って、ストーリーを読んで、観てみようかな…って感じでした。粟国島が本当にある島だということも知りませんでした。きっと、この洗骨って儀式も、本当にあるんでしょうね。映画を観るまでは、「おくりびと」のように、その儀式が、ずーっと収められているのかと思っていましたが、違いました。洗骨の儀式を中心に描いてあるけど、家族の物語でした。それも、とてもいい感じの家族の物語。しかも、ゴリさんが監督だからでしょうか、ちょいちょい笑いの要素もありました。Q太郎が出てきたときは、可笑しくて、可笑しくて…。叔母さん役の大島蓉子さん、とても良かったですね。いかにもオバちゃんなんだけど、水崎綾女ちゃんのこと怒りながらも、他人に中傷されるとかばってくれたりして…。すごく強い味方でした。洗骨という儀式は、個人的には、二度も悲しい思いをするのは嫌だなぁと思いました。でも、映画の中でもありましたが、神秘的な儀式なのかもしれませんね。生と死に触れている作品なので、涙も出ましたが、悲しいばかりではなく、暖かい気持ちになれると思います。
来た。観た。ヒージャーもわんも泣いた。
やっと長野県に上陸した「洗骨」。
たった2週間の上映に会社を休んで駆け込みました。
厨子甕に改葬するために肉親みんなで洗骨するんですよね。今はおもろ町に移転した県立博物館に厨子甕はたくさんありますね。
火葬が普通になっても、今でもやっぱりみんなで故人の話をしながら体の一つ一つを確かめながらお骨を拾うし、
子どもたち孫たちに骨を洗ってもらうって、こんなに幸せなことってあるだろうか。
だから、しっかり家族を守って生きたい!と強く思ったよ。
奥田瑛二、さすが。
安藤サクラや娘婿に負けてない。
ウチナーのおかーたちも大したもんだ。なりきった大島のおかーにもぶっ飛んだが、古謝美佐子ネーネーもいい歌を作ったね。あの長い髪には長野県の館内にもどよめきが起きました。
ゴリ、ありがとうね。
頑張ったね。
じっくりと考えさせられる作品でした
知らなかった
お笑い芸人のゴリが監督・脚本ということで、随所に笑いが散りばめられ...
お笑い芸人のゴリが監督・脚本ということで、随所に笑いが散りばめられていたのだけど、正直ちょっとしつこいw
そのシーンの空気感に入り込みそうになると小笑いがブッ込まれてくるので浸れず。
特になんでQ太郎チョイス?あんな画だけで笑いをとる人にさらにネタブッ込まれたら色々気が散るわ。
役どころ的には必要だと思うから、普通のちょっと小心な優男くんとかで良かったんじゃないかなと思う。
話自体はとっても良くって、作品冒頭で「洗骨」については肯定的な意見も否定的な意見もあると言っていて、その時点で私は否定的だったけど、実際の洗骨シーンを観たら肯定派に寝返った。
あと、最初は叔母さんは敵かと思っていたらめちゃめちゃ頼りになるし、すごく信頼に足る人物だった!
エグかったかな
笑ったり泣いたり面白いけど疲れました。
沖縄フリークとしては美しい海と三線、神秘的な風習、素敵な場面もたくさん描かれていて嬉しいですし、よくぞ初監督でここまで作り上げことは拍手ですが。
ありきたりのようで、ダメダメすぎる家族。奥田瑛二、こんなにおじいちゃんだったっけ、、やりすぎでしょう。
洗骨の場で陣痛、出産。生と死の表現をこんな単純な対比で描くなんて、ちょっとトラディショナルな男の発想なのかな、陳腐。
しかも、自然分娩なら出産で会陰切らないで産めよ~って細かいけど突っ込みたくなる。人間の自然の力をもっと信じてほしいな、こういう映画なんだから。エグい。
最後の「照屋エミに捧ぐ」もいらないかな。入れなくたって背景は想像できるものです。
意図的なものを感じすぎてちょっと引くし、映画の余韻にひたれない。
前半は店舗よく笑いと涙と人情でよかったんですが。
心に染み入るものがある
信綱にイライラ
全79件中、21~40件目を表示












