劇場公開日 2019年2月9日

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「命を繋ぐ」洗骨 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0命を繋ぐ

2025年2月19日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

厳かな気持ちになりました。
出産ーンの神々しさ、
頭を垂れて、言いたくなる。
「あかあさん、ありがとう」

この映画の司令塔である信子おばさんの言葉、
「女は命をつなぐんだよ」
「女は命を懸けて子供を産む」

そして本テーマである
「洗骨」
沖縄の離島・粟国島(アグニ島)に残る風習。
葬儀は土葬で、火葬せずに小さい箱に身体を折りたたんで入れる。
4年後に、(風葬と言っていましたが・・・肉が溶けて骨になるまで)
4年待って、
墓(岩場にある壁面の入り口に小石を積み重ねている)を、
今度は、小石を一個、一個取り除くと、棺と言えないほど粗末な、
木箱の蓋を開ける。

衝撃なのは、お骨が、そのエミコ・オカアの頭蓋骨が、
本物にしか見えないんですよ。
黄身色がかった頭蓋骨には頭髪がくっ付いていて、
オトウがその縮れた短い髪の毛を
指の腹で優しく優しく洗い流しのです。
驚くほど小さい頭蓋骨。しゃれこうべ。
考えてみれば娘の優子が臨月近い大きなお腹を抱えて、
フェリーで粟国島に帰ってくる。
父方の妹である信子オバサンに会いたがらず、
ブランコに乗り時間をつぶす。
優子はオバサンに会うのを引き伸ばしている。
理由は優子が一人で出産してシングルマザーになる決心を
しているからです。
お腹の子の父親は分かってはいるが、
“逃げられた“と告げる。
この波乱の幕開けが、伏線で、
洗骨の儀式、
洗骨の場で産気づいて、青空の中、汗まみれの、
家族7人が
立ち会いもとで行われる開放的な出産。
数々見てきたはずの出産シーンの中でも、
えーっ‼️と、思う、なんとも、原始的で、かつ感動的な
出産シーンでした。
「オカア、ありがとう」
「オカア、産んでくれて、ありがとう」
そして、映画は、感動と共に余韻を残し、
ブツリと終わる。

(ここで終わりたいのですが、)
吉本のお笑い芸人であるガレッジセールのゴリさん。
本名の照屋年之の名前で初監督。
日本映画監督協会新人賞に輝いた秀作。

「洗骨」
あゝ、あゝ、あゝ、
沖縄はやはり本土とはまるで違う。
この映画に出てくる2人の子どもたち、
元太8歳)と、小鳥(6歳)
元太がゴリさんで、
ゴリさんが幼い頃経験した洗骨の儀式が、
ベースになってるのかな?
と、勝手に想像したけれど、
いい映画でした。

琥珀糖
ぷにゃぷにゃさんのコメント
2025年2月20日

ゴリが監督!
郷土愛あふれてますねー。
人が死んだ後、葬り方はその土地の風土によって違いますね。
洗うというのも、すてきな表現と思いました。

ぷにゃぷにゃ