「ちょこちょこ気分を害してしまいました…」洗骨 モグワイさんの映画レビュー(感想・評価)
ちょこちょこ気分を害してしまいました…
テーマはとても素晴らしいと思うのですが、
ちょこちょこデリカシーが足らないというか、
気分を害する事が多く、、、低評価すみません。
例えば笑いについて言うと、「芸」として人前でやるような笑いのやり取りは、日常の会話に持ち込むには強すぎて、前後の機微が台無しになる、感情の流れが破綻するのです。
ツッコミは舞台の上でバシッと決まればドッと笑いが起きますが、日常の人間関係の中でバシッと言うと、相手の心を傷つけても平気な人間のように映ります。
それを、役のキャラクター関係なく誰にでもやらせているもんだから、それまでの心の通い合いのリアリティが吹き飛んでしまい、度々フィクションを見ている現実に引き戻されます(叔母さんは唯一それをやっても不自然でないキャラクターだったと思います)
目先の小さい笑いのために、人の感情の根っこの部分を描くことを捨てているように感じました。
店長の人物像やふたりの関係性も、その場その場で面白いだろうやり取りを優先しているために、一貫性がなくなっていて、わざわざ嘘をついて妊娠までしたことの説得力がなくなっています。
出オチの一瞬には最適なキャスティングだったと思いますが、その後、人間ドラマになっていく事が出来なかった。
これも小さい笑いを優先して、人の心の機微をスルーすることの積み重ねが原因と思います。
ただそれはこの監督の経歴だから生まれる持ち味でもあると思うので(北野映画にも、笑いに関する感覚は独特のものがありますよね)、欠点ではなく、そういう作家性だと捉えることもできると思います。私は好みではありませんが、気にならない人もいると思うので。
また、新旧の生命の交代を象徴的に描きたかった意図はわかるのですが、風化したご遺体に触れた手を消毒もせず新生児を取り上げるのは流石に衛生的なことが気になりすぎて、感動という気分ではありませんでした。
そして、父親に切らせる必要がありますかね?不快でした。
父親が自信を取り戻す方法なら他にいくらでもあると思うのですが…
〈良かったところ〉
洗骨という儀式はとても貴重で意義深い伝統だと感じましたし、これからも残っていって欲しいと思います。
この映画は、その点に貢献できるのではないかと思うので、星はその評価と、素晴らしい名優さんたちの評価です。
噂好きの島民2人が協力する場面を作ったことにgood job!出来すぎてるとは思うけど、後味が良かったです。
無事に産まれて、赤ちゃんの泣き声が聞こえた直後の、安堵と嬉し泣きの声や表情はとても良かったです。
家に帰って翌日も、エンドロールで流れていた地元の歌が耳に残って離れなかった。