「死者を弔うということ~愛しき家族の珠玉の物語」洗骨 森のエテコウさんの映画レビュー(感想・評価)
死者を弔うということ~愛しき家族の珠玉の物語
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一人の女性が亡くなり、夫、長男家族、長女、親戚が集う。そして4年後、再び集った家族は、それぞれに4年間の事情を抱えていた。長男は一人で、夫は未だ二人で、そして長女は三人で。笑いと涙を絶妙にブレンドし、訳あり家族が描かれていく。やがて、その訳あり家族が愛しく思えてくる。
生と死を真っ向から描き、しかも希望を感じさせられる作品。優しさゆえの男の間抜けさ、命をつなぐ女の偉大さと強さ、それらを包み込む島の息吹き。
妻の亡骸を綺麗にしていくうちに、それまで苦痛に満ちていた夫の表情が和らいでいく。死者を弔うということは、生きる苦しみを少しだけ減らし、生きる喜びを思い出させてくれることかもしれない。
「なぜ、死者の骨を洗うのか。それは自分を洗うことなのだ。先祖は自分自身なのだ」という長男の最後のナレーションに考えさせられる。
照屋監督の哲学が、登場人物の台詞に散りばめられ、泣き笑いの中で、自分の大切な人を思い出し感謝したくなる、愛しき家族の珠玉の物語を、世界中の人に観てほしい。
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