サタデー・フィクションのレビュー・感想・評価
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上海租界雰囲気たっぷり、情感もたっぷりなメロドラマ
日米開戦直前の上海租界、各国のスパイ入り乱れて日夜諜報戦が繰り広げられる。
全員が誰かを利用し利用されてもいる非情な世界で、純愛を貫くふたりのメロドラマ。。
日本軍の暗号「ヤマザクラ」を解読するために、幼い頃からスパイとして仕込まれた元孤児の現世界的大女優ユー・ジンが重要な任務を任されるが、こんな甘々な作戦ありですか。
実際に「オペレーション・ミンスミート」みたいな嘘みたいな作戦もあったくらいだから当時ならこれでもいいのか?
コン・リーは存在感ある女優だけど世界的大女優というより、農村でたくましく生き抜く女性な感じがする。もう少しシャープで華のある女優の方がよかったのではと思う。
バイ・ユンシャン役の女優さんは宍戸美和公さんか牧野ステテコさんに見えて仕方なかった。
何度も出てくるカフェの場面は映画のセットではなく舞台装置だったか。タン・ナーがユー・ジンの手を引いて外に出ていく場面があったのに??
何度も同じような描写が出てきて、これ必要?と何度も思った。
日本人役にホンモノの日本人俳優を使っているところは良かったが、あんなことでバレてしまう日本軍のお粗末な機密保持体制の描き方も含めて改めて嫌われ者ぶりを浮き彫りにしたよう。
モノクロでレトロな雰囲気たっぷり。
メロドラマな情感もたっぷりで私には合いませんでした。
ユー・ジンが古谷から情報を抜いたが肝心なところが聞き取れず、唯一聞き取った彼女が知らせた情報は実は嘘で、全て終わってから本当のことを手紙で伝える。
孤児の彼女を引き取って育ててくれた義父に対して恩はあるが、そもそも引き取ったのはスパイとして育てるため。利用し続けられる恨みがないまぜになり、最後に義父に一矢報いたのは良かった。
真珠湾攻撃は事前に米軍に察知されていたが、この映画では不意打ちだったとしている理解で良いでしょうか。
幕末ドラマを見た外国人の気持ち
日米開戦直前の上海での諜報戦がテーマなのだが、上海祖界内の勢力図の基礎知識がないせいか、正直、前半から中盤までの人間関係が今ひとつわからなかった。
例えて言えば、日本史の知識がゼロの外国人が、幕末京都を舞台に幕府側勢力の新撰組、見廻組や尊王攘夷・倒幕勢力の長州藩や薩摩藩、土佐藩とその脱藩浪士たちが入り乱れて登場するような映画を見たらこんな感じなんじゃないか。
モノクロームの画面はスタイリッシュで、主演女優さんは翳のある雰囲気がよく、オダギリジョーさん、中島歩さん(今年初めてのヘタレ男じゃない役だった)も存在感があり鑑賞後感は悪くないのだけど、完成したパズルに嵌っていないピースが数片残っちゃってるような気がする。
雰囲気は良い。
ヤマザクラ
政治と愛のスパイ合戦
2019年。ロウ・イエ監督。真珠湾攻撃を目前にした時期の上海。日本だけでなく各国の租界や共同租界が入り組み、さらに親日政府と重慶国民政府との派閥争いも相まってスパイ合戦が繰り広げられている。そこへ、舞台役者である女性が舞い戻ることで、政治と愛の複雑な渦が動き始める、という話。
現実のスパイ合戦と舞台内容が重なって虚実がわからなくなっていく構成。この仕掛けがうまくいっているかどうかがすべて。催眠術らしき不思議な力を発揮する「女優」が中心になっているが、最後になるまでその真意は隠されている。つまり、中心ではあるが主観性を担っていない。中心の謎をめぐって周囲がざわざわと動く。周囲の人物たちはわかりやすい役柄を担っている。父親(的)、恋人、かつての恋人(夫)、協力者(男・女)、敵、敵の用心棒、裏切り者。父親(的)と裏切り者以外の全員が死んでしまうのだから、なんとも悲劇的な結末といえるだろう。
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