劇場公開日 2019年3月8日

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「当事者達と同じ不安、恐怖、混乱を最後まで感じる」ウトヤ島、7月22日 みやさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5当事者達と同じ不安、恐怖、混乱を最後まで感じる

2025年3月5日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

予備知識ゼロ状態で見た。犯人はまさかこれほどの事を1人で実行したなんて考えられないスピードと躊躇いのない実行力。

ウトヤ島では数百人が参加し72分間で69名が亡くなった様子を状況説明なしでワンカットで描いているため、当時のその場にいる若者たちと同じように「今何が起きているのか?犯人は誰なのか?」が全く分からない不安感と恐怖、神経質な空気感が最後まで続く。
人間模様はフィクションかもしれないけど状況はほぼノンフィクションだろうから、映画としてどーのこーのの感想も書きにくい。
ノンフィクションの戦争映画のようなもので、忘れてはいけない歴史を学ぶ為のような作品。
あえて映画の部分で言うなら主人公カヤが正義感の塊で、それに囚われすぎて緊張感とパニックで最後命を落とすシーンがあるのだが、軟派な彼は強引にも彼女を隠してあげられなかったのか?と思ってしまう。
ただそういう必ず主人公が生き残るわけではない部分も物凄くリアリティに近いように感じた。

実際のところ生存者の方たちも島から脱出し怪我の治療や事件調査などのあと、数日後にその日何が起きたのかを知ったんじゃないかな?
この作品だけでは惨殺の緊張感がメインなので事件の状況は分からず、見終わった後にネットでこの事件を検索し全体像を把握した。
犯人は政治的に歪んだ極右思想の持ち主。
一番の驚きはこの犯人がまだ生きていること。2022年には結果却下されたようだが、仮釈放の審議まであったとは理解できない。
プレステ2を3にして欲しいという待遇改善を希望して刑務所内でハンガーストライキをしたとか、、、市庁舎の爆破と合わせて77名の命を奪いながらも!
そのような常軌を逸した犯人だからこそ、島では命乞いなども見捨てられただろうし、もはや有無を言わせぬ鬼人の振る舞いだったのだろうと想像すると見終わった後もずっと恐怖が続いた。

みや
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