「好き嫌いがハッキリ分かれる」ウトヤ島、7月22日 Croさんの映画レビュー(感想・評価)
好き嫌いがハッキリ分かれる
最初に言っておくと俺は大好き。でもまぁ多くの人にとっては退屈に映るんじゃないかな〜とは思う。俺はこの退屈さがとてもリアルで、緊迫感との緩急が本当に素晴らしいと感じたし好み
退屈って言ってもアレだよ、ストーリーに劇的な変化が訪れないから似たようなシーンが続くという意味でね。でも映像としての緊迫感は本当にずっと続いてて、退屈とは真逆のスリリングな時間が大半を占める。本当にその場にいるんじゃないか、という気持ちになってハラハラドキドキ、胸がしめつけられてくる。
これは俳優陣の演技力や、実際にその場にいるメンバーかのようなカメラや1本撮りといった手法などによるものが大きい。なので、このカメラワークという点においては主人公が一人になったタイミングでその感覚が破綻してしまう。主人公にとっては見えないけど、実際そこにいるかのようなカメラワークになってしまうので没入感が削がれる部分がある。思い切ってそういったカメラワークは主人公以外が逃げる時にカメラも一緒に逃げて、その後の主人公のカメラとは違う演出をした方が没入感を切らさずに済んだかなというのが惜しい。
実話を元に作られているから、想像力がいやに働いて精神が削られていくのが分かる。
このリアルな緊迫感の演出、という一点のみにおいても一見の価値があると言える。映画として見て面白いか、と言われると確かに首を傾げちゃうけど、映像として面白いか、と言われると首がちぎれちゃうんじゃないかというほど縦に振りたい。そのくらい面白く悲しく重厚な映像だと言える。
最後はね、いわゆる胸糞エンドというか。ミスト的な感じで終わるんだけど、これは賛否両論あるかな。主人公補正なくて、メンタルS+の主人公でさえも取り乱して撃たれるというのはリアリティあっていいと思うし。まぁテロの悲劇を演出するという意味では主人公の死は分かりやすく伝えられる方法ではあるのかな、と。妹は助かった希望もあるにはあるしね。
俺はめちゃくちゃ好きだけど、映画として面白いかと言われると少し違うのと、万人受けはしないだろうという点からこの評価。いや、でも見る価値は必ずあるよ