劇場公開日 2019年1月12日

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「A Mysterious Story」未来を乗り換えた男 ku-chanさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0A Mysterious Story

2019年9月12日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

この映画をのんびり観ようと思ったが、ところが、ある文学作品を監督がアレンジしたらしくて、ちょっと話が複雑の上、フランス語とドイツ語が使われているし、ナレーター(ドイツ語)もいるからちょっと?! それに、ナレーターの話と人の会話が重なる部分もある。非常に面白い構成で、全体主義のコントロールにより、戦争が始まりそうで、特に最後の方はミステリー映画みたい。

今やスターダムにのし上がったフランツ ロゴスキーがゲレック役を演じる。実はフランツ ロゴスキーの(『希望の灯り』)自然な物静かな喋り方や演技がすきなので、この映画を借りてきたが、彼が、ダンサー(振付師もやってたらしい)だったと後のインタビューで初めて知った。この映画で、彼の体の動きが、体操の選手のようなので、ちょっと不思議に思っていた。この映画でフランス語とドイツ語を上手に使いこなしているように聞こえるが本人はフランス語ははなしていないらしい?。バーテンダー(聞いた話を回顧している設定)がドイツ語でナレーターをしている。

これは1942年ぐらいの話の設定の小説で、1944年に出版されたらしい。しかし、映画監督がこの原作を今から10年(???)ぐらい前の舞台にしたようで、アフリカのマグリブ地域の不法移民の家族が出てきてる。
舞台はパリに厳戒令のようなものが出ていてナチかなにかから逃れるためドイツ難民がでているようにみせている。ゲレックはその一人。彼はパリに住める住民の証明書を持っていない。だから、パリ警察につかまる存在。時代錯誤しているのか、それとも、全体主義の統制により将来の危険性を訴えているのか、複雑に入り込んでいるので趣旨が読み取れない。

ゲレックはすでにホテルで自殺した亡命作家ヴァイデルになりすまし、(ゲレックはこの作家の作品についての知識がないと思う)マルセイユからメキシコに逃亡する予定。著名な作家ヴァイデルの最後の作品とその伴侶からの別れの手紙を持って、それに足が傷ついて生死を彷徨いかけている男性をアフリカからの不法移民の伴侶と子供が待っているマルセイユに連れていくこともする。ゲレックは作家ヴァイデル作品を列車の中で読む。
傷ついた男性は列車の長旅中に死に、ゲレックはマルセイユに住む家族にこれを報告しに行く。。。。

メキシコへのビザの申請のためアメリカ領事館(トランジットのビザを取りに)に行くが、ここで行われる領事との会話にわたしは一番興味があった。なぜなら、領事はこの作家のファンらしく(ゲレックを疑っているのかも???)、小説に関していろいろ質問するからだ。最後の小説はどんな内容のものだとか、未来の予定まで聞く。ゲレックが作家ヴァイデルだと思っているから、ゲレックのするどんな話にも、感心している様子が手に取るようにわかる。学校で休みの後いつも作文を書かされて作文が嫌になってしまった話ですら、領事には印象的らしく真剣に聞いている。

作家のアイデンティティを盗んだ男ゲレックは無くなった作家の伴侶マリエと会う。この女性も、夫の作品を読んでいるから、作家が使っていたあるフレーズをそのままいう。領事と作家の伴侶は同じフレーズをいうのだ。

ゲレックの目線を通してこの映画をもう一度見ると、彼の役割のなかにおける複雑な心理が見えてくると思う。

Socialjustice