未来を乗り換えた男のレビュー・感想・評価
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第七の十字架は読んだが
『捨てられた者と捨てた者 どちらが先に忘れる?
捨てられた者は忘れないって嘘よ。捨てられたら、歌になり、同情される。
捨てた人は孤独なだけ。歌もない。』
言うまでもなく、何を捨てたか?何だけど、言わずもがな。原作者の人生を。僕は傑作だと思うけどなぁ。
ウンディーネの監督なんだ?良かった良かった。
トーキング・ヘッズの
”ROAD TO NOWHERE”♥
スパイク・リーの映画思い出した。
原題 Transit
製作年 2018年
製作国 ドイツ・フランス合作
劇場公開日 2019年1月12日
上映時間 102分
映倫区分 G
原作を読みます
「水を抱く女」ではウンディーネがうまく美しく現代に置きかえられていたがこの作品は粗かった。
効果的だったのは冒頭から始まる耳障りなパトカーや救急車のサイレンの音。耳の中で鳴り止まずそれが不穏な空気に包まれた時代と場所を作り上げていた。時代は現代のようで現代でないいつかー作家の原稿がタイプライター打ちだった。情報統制でインターネット含めあらゆる通信手段が奪われているのだろうか?ゲオルクが関わる人が次々と死んだり行方知れずになる。皆、ゲオルク側の人達ー亡命者や不法滞在者。
ナレーションはあまりいい声でなく音声も大きすぎた。その上語り手設定が良くなかった。最初はゲオルクが通うマルセイユのレストランの店主が語り手だった。それが途中から全知の語り手になり今度はゲオルクの視点になったかと思うと最後はまた店主の視点。語り手をこんな風に変える必然性を感じず居心地が悪かった。
いつもパンプスで小走りのマリーは迷子犬を探しているみたいで夫を探しているようには見えなかった。ゲオルク役のロゴフスキは相変わらず優しく顔を見るだけで安心するが今作では彼の良さが無駄使いされているような気がした。ロゴフスキがフランス語?彼にはドイツ語だけ話してもらいたかった。
ゼーガースの原作を読むことにする!そう思わせてくれたのでこの評価。でなければもっと低いです。
マルセイユの風景綺麗
現代の風景で戦時中のような、フワッとした世界観についていくのに少々時間がかかりました。
とはいえ、マルセイユの風景がすごく綺麗で映像に圧倒されますね。
途中、解説のセリフもあり小説を読んでるような感覚にもおちいり、マルセイユの綺麗な風景がイメージを膨らませてくれるような不思議な感覚もしました。
そこら辺は監督さんの狙いでしょうか。
難民問題は僕には少し難解でした。
しかし、マリーは旦那さんが大好きなんでしょうが、男を取っ替え引っ替え。
難民問題、恋愛感が僕にはあまり共感出来なかったのが残念です。
全体的にはあまり他には無い映画なので面白かったです。
中断してレビュー読んでから戻って見直しました。
最初に見出してナチ関係の映画かと思ったら…あれ?現代にナチ?よく分からん、しかもすっごく淡々と進んでくし暫く見てからこれ混乱する前にネタバレした方が良さそうと思いレビューを見てから舞い戻りました。
そして見終わった感想は、現代の難民問題の原因を「戦争や貧困等の様々な原因」→「ファシズムによる迫害」と置き換える事で沢山ある原因や時の政府の姿を1つに単純化して社会問題を政策だったり経済だったりの大きな視点から、実際に今振り回されている人達の視点まで降ろして問題定義した話なんではないかと理解。
その辺に何となく納得してから見たら、日本にいるとこういった状況は遠いけれど難民問題を抱える国の人達なんかにはもっと生々しいお隣さんの話なのかなと思えました。
三人称で主人公を呼ぶナレーションもお互い状況を語り合い確認し合うもかなりあっさりとした亡命希望者の関係も根無草の不安感やアイデンティティの喪失といったポッカリとした虚しさがあり淡々とした展開に後こういった人達が何人いるのか分からない先がどうなるかも分からないな恐怖感がじわじわくる。
いやでもこれかなり独特な空気感だったし見方を決めないと入って行けなかった〜そして見て良かったけど疲れた。
最初から人間ドラマとして鑑賞すれば、もっと良い印象を持てたかも。
架空の現代。ファシズムドイツに侵略されたフランスを舞台に、自殺した作家の名前を騙った男の人間ドラマ。
WOWOWのレビューにはサスペンスとありますが、サスペンスではまったくありません。サスペンスだと思って鑑賞した私としては、正直興味を惹かれない内容で、評価はかなり厳しめにしました。
レビューを書いた方は、映画をちゃんと観て書いたのか・・・そんな質問をしたくなる内容です。
ただ、世界観は不思議な魅力がありました。迫りくるドイツ軍。恐怖、焦燥、そして諦め。そんな心理が淡々と描かれています。
主題は、主人公と、自殺した作家の妻の交流です。しかし、他にも「その妻の恋人」、「死んだ知人の子供」、「亡命を志す女性」らと交流が描かれていて、彼等との別れがもの悲しく描かれています。
大仰に感動や涙を誘う映画でもありませんが、静かに染み渡るような感傷を得られる映画かもしれません。
【過去、ドイツが犯した”許されざる過ち”と現代社会が直面する”喫緊の課題、難民問題”をMIXさせた”意慾作”】
ーエンドロールで流れる、トーキング・ヘッズの”ROAD TO NOWHERE"の長閑な音楽が何とも皮肉に聴こえる・・。ー
ゲオルグ(フランツ・ロゴフツキー:オオ、君は「希望の灯」で、自らの過去を隠しながら倉庫勤めをする、孤独な青年を絶妙に演じていたなあ・・)は、”何故か”パリを脱出し、マルセイユに逃げる。
街中をドイツ軍が”何者か達を”一掃しようと奔走している・・。
舞台は、現代に見える。(が、しっかりとは描かれない・・。)
ゲオルグは、逃亡中の列車の中で瀕死のハインツを看病。ハインツの荷物には作家ヴァイデルの原稿、妻マリーの”マルセイユで待っている”という達筆な手紙が入っている。そして、彼の取った行動。
ーここら辺、描き方やストーリー展開が大変粗い。付いて行くのが大変である。-
マルセイユについたゲオルグは”不法滞在者”のように描かれる。そして、彼の周りを誰かを探している女性が”随所で”現れる。
そして、徐々に彼女がマリー(パウラ・ベーア)だという事が分かって来る。
ー相変わらず、描き方が粗い。-
マリーは小児科医のリヒャルトとホテルで半ば一目を避けた生活をしている。
ー何故にマリーがリヒャルトと同じ部屋で生活しているかも詳細には描かれない。-
ゲオルグとマリーは”何故か”徐々に惹かれていくが・・”
ゲオルグはリヒャルトにヴィザやメキシコへの渡航チケットを渡し、マリーと一緒に行けと言って送り出す。
だが、マリーとリヒャルトの乗った”モレアル号”は機雷で沈んだと、マルセイユ港の役人から告げられる・・。
そして、街中のカフェで消沈したゲオルグの背後にハイヒールの音が・・
<作品自体の不可思議な世界観は面白いのであるが・・。(好みである。)
うーん、ストーリー展開、構成ともに粗いなあ、クリスティアン・ペツォールト監督・・。
アート系作品とは言え、もう少し観客を意識した作品作りをして欲しいと思った作品。>
不思議感ただよう反ナチ映画
原作は多分第二次大戦だったのだろう。その設定やストーリーをそのまま現代という舞台で描いた作品に仕上げ、主人公の語りはあるものの“彼”という三人称で押し通すため、かなり不思議な感じがするのです。ちなみに、現代を舞台にしてはいるけど、携帯電話はない。
ドイツからパリへと逃れてきた青年ゲオルクはレジスタンス仲間のパウルから密書を作家ヴァイデルに届けるよう依頼されるのだが、ホテルに到着すると、ヴァイデルは自殺していた。そのままヴァイデルの荷物を引き取り仲間のもとへ急ぐが、そこで見たのはナチの息がかかった警察に捕らえられている光景だった。
逃げるようにして重傷を負った男と指示されたマルセイユに向かうが、男は列車の中で死んでしまい、男の妻と息子ドリスの元に報告を入れるのだった。彼らは北アフリカからやってきた難民。8歳のドリスはサッカー好きで、母親はろうあ者。男の死を報告するのもドリスの手話を交えてだ。ファシストを手話で伝えるときにナチスの右手を挙げるポーズがちょっと笑えた。
さらにドリスの喘息発作のため、ヴァイデルの妻マリー、不倫相手の医者リヒャルトと知り合うこととなり、メキシコへ渡航する手続きなどで三人の関係が怪しいものとなるのだった。
少年との交流やマリーへの恋、戦時下であっても医者の使命を訴えるリヒャルト、さらには犬のおばさんなど、複雑に絡み合う独白調のドラマ。ただ、ドリスの件が置き去りにされるし、リヒャルトがどこまでマリーと真剣に未来を考えていたのかわからない点など、整理してみるとけっこう雑なことがわかる。さらに、いくら作家の目線とはいえ、三人称のモノローグでは感情移入もしにくいのだ。
原題TRANSIT は“通過ビザ”と訳されていましたが、自殺したヴァイデルがそのまま通過する関所みたいな存在だったのかもしれませんし、船を乗り換えた意味だったら、かなりネタバレ気味ですね・・・
A Mysterious Story
この映画をのんびり観ようと思ったが、ところが、ある文学作品を監督がアレンジしたらしくて、ちょっと話が複雑の上、フランス語とドイツ語が使われているし、ナレーター(ドイツ語)もいるからちょっと?! それに、ナレーターの話と人の会話が重なる部分もある。非常に面白い構成で、全体主義のコントロールにより、戦争が始まりそうで、特に最後の方はミステリー映画みたい。
今やスターダムにのし上がったフランツ ロゴスキーがゲレック役を演じる。実はフランツ ロゴスキーの(『希望の灯り』)自然な物静かな喋り方や演技がすきなので、この映画を借りてきたが、彼が、ダンサー(振付師もやってたらしい)だったと後のインタビューで初めて知った。この映画で、彼の体の動きが、体操の選手のようなので、ちょっと不思議に思っていた。この映画でフランス語とドイツ語を上手に使いこなしているように聞こえるが本人はフランス語ははなしていないらしい?。バーテンダー(聞いた話を回顧している設定)がドイツ語でナレーターをしている。
これは1942年ぐらいの話の設定の小説で、1944年に出版されたらしい。しかし、映画監督がこの原作を今から10年(???)ぐらい前の舞台にしたようで、アフリカのマグリブ地域の不法移民の家族が出てきてる。
舞台はパリに厳戒令のようなものが出ていてナチかなにかから逃れるためドイツ難民がでているようにみせている。ゲレックはその一人。彼はパリに住める住民の証明書を持っていない。だから、パリ警察につかまる存在。時代錯誤しているのか、それとも、全体主義の統制により将来の危険性を訴えているのか、複雑に入り込んでいるので趣旨が読み取れない。
ゲレックはすでにホテルで自殺した亡命作家ヴァイデルになりすまし、(ゲレックはこの作家の作品についての知識がないと思う)マルセイユからメキシコに逃亡する予定。著名な作家ヴァイデルの最後の作品とその伴侶からの別れの手紙を持って、それに足が傷ついて生死を彷徨いかけている男性をアフリカからの不法移民の伴侶と子供が待っているマルセイユに連れていくこともする。ゲレックは作家ヴァイデル作品を列車の中で読む。
傷ついた男性は列車の長旅中に死に、ゲレックはマルセイユに住む家族にこれを報告しに行く。。。。
メキシコへのビザの申請のためアメリカ領事館(トランジットのビザを取りに)に行くが、ここで行われる領事との会話にわたしは一番興味があった。なぜなら、領事はこの作家のファンらしく(ゲレックを疑っているのかも???)、小説に関していろいろ質問するからだ。最後の小説はどんな内容のものだとか、未来の予定まで聞く。ゲレックが作家ヴァイデルだと思っているから、ゲレックのするどんな話にも、感心している様子が手に取るようにわかる。学校で休みの後いつも作文を書かされて作文が嫌になってしまった話ですら、領事には印象的らしく真剣に聞いている。
作家のアイデンティティを盗んだ男ゲレックは無くなった作家の伴侶マリエと会う。この女性も、夫の作品を読んでいるから、作家が使っていたあるフレーズをそのままいう。領事と作家の伴侶は同じフレーズをいうのだ。
ゲレックの目線を通してこの映画をもう一度見ると、彼の役割のなかにおける複雑な心理が見えてくると思う。
Transit
けたたましく響くサイレン。日本人の我々には耳馴染みのない音が突き刺さり、この映画は始まる。そのサイレンこそが、劇中で仏警察から逃れようとする人々の「恐怖」の象徴なのではないか。
アンナ・ゼーガースの『トランジット』を原作としている為、「迫害」「排斥」が大きなテーマとして描かれているが、その他の詳細な設定は語られない。その代わりに、そういった特徴を持つ映画は、劇中の世界が我々の生活する世界と何ら変わりのない、平行した世界であることを無言で「説明」しているのだと思う。かつ、観る者は語られない部分へ己の想像力を働かせる余地があるだろう。
パリやマルセイユの街並みや風景は、迫害されている人々の、想定される心情とは裏腹に清々しく、美しい。その対比がより一層、惑わされてはならないと、ゲオルクやマリーといった彼らの複雑な心理状態へと集中させる。昨今のヨーロッパを取り巻く移民排斥問題は深刻なようで、移民排斥運動は激化し、生きていかねばならないのに、明日の生活すら保証されていない移民たちは行き場を失うがゆえに、不法滞在を余儀なくされる。多文化主義といえば聞こえはいいが、実情は様々な問題を孕んでいて、日本でも移民を受け入れる動きが見られるが、この映画を観た後では素直に首を縦に振れなくなってしまった。もはや他人事ではないと思わされる。
もう存命しない夫を探すマリーと、意図せずその夫に"乗り換えて"しまうことになったゲオルクの構図も面白い。ヴァイデル氏の姿は劇中には一度も登場しないのであるが、マリーがゲオルクを見かける度に顔を覗き込んだり、共にメキシコへ発とうとするのは、夫とゲオルクが似通っていて、どこか重なる部分があるからなのだろうか。それに応えるかのようなゲオルクの姿勢の根拠は、マリーへの愛なのか、同じ移民として心を同期させているのか。いつものカフェで来るはずのないマリーを待つゲオルクを見ると、前者であってほしいと思い、どこかこの物語に救いを求めている自分がいる。
事実はいつも虚しい。
不思議な世界観の映画です。戦時中のドイツ、フランスが舞台とはなっているものの、その影響は視覚的には色濃くは描かれない。あくまで現代的なタッチで描写されているため、他の方がレビューでも書いていますが、確かにぼーっと見ていると設定を忘れてしまいそうです。オペラが時代錯誤を前提に新しい舞台装置で演出する感じと似ているような気がします。面白い試みなのかもしれないです。そこまで激しく違っているというわけではないですが。
僕はここで考えたいと思ったのは、アメリカに行く権利を持ちながら、それを皆、達成できないということが何を意味するのか、ということでした。
ゲオルグが領事館で出会ったアメリカ行きが決まっている話し好きな太った男。犬を連れた女。マリーの愛人の医者。マリー。船に乗ることも叶わずに死に、あるいは自ら死を選び、マリーと愛人を乗せた船は沈んでしまいました。ゲオルグはその中でただ一人生き残り、失ったマリーの幻想に目を輝かせるのです。
正直、僕は映画の中にこの答えになりそうなものを見つけることができませんでした。それよりも、エンディングテーマの「road to nowhere」という言葉の中に、この映画のテーマを感じます。というのは、4人の不幸な未完了が意味するのは、船出を待つ日々に隠されていた楽しみについて、ではないかということです。つまり、「どこでもない場所」へ行くその道すがらの期待感と喜び。その先にある現実と、そこにいつもある落胆、という作者なりの事実を描いたのではないでしょうか。
別れという事実を作り出し、突きつけたマリーは、孤独を知り、その孤独から逃れられない存在であり、マリーのアメリカ行きを決意させたものの正体が、未だに夫ヴァルテルである事実を知ったゲオルグは自らアメリカ行きを断念した上に、愛する者の死を知るという孤独を知ります。事実が孤独を連れてくる。それが作者の実感なのかなと、そんな風に捉えました。
ゲオルグ役の俳優、フランツ・ロゴフスキのなんとも悲哀のこもった口調がとてもいい。人懐っこい顔のようで、果たして本当に愛するという感情を持つのだろうか?と思ってしまうような、揺らぐような表情は、この映画の魅力の一つかもしれません。
機雷、大キライ
と、またまた投げやりに寒いダジャレでも言いたくなる気分。朝っぱらからワイン飲んでラリってるフランス人らしい(ゴメン、偏見です)、非日常的幕劇。完全に文学。奇譚。ただし監督も原作もドイツ人。コンテンツの全ては象徴でしかないので、国名もロケーションも時代も意味はない。と言うのが、この手の奇譚の基本的なスタンスです。
ただ一つ疑問。何故フランス合作で奇譚ものにした?
TRANSITの指す範囲を「男」にしてしまうセンスと理解力には、絶望を通り越して怒りしかないけれど。原作は、アンナ・ゼーガースの代表作の一つ。まさに「運命を乗り換えた」彼女自身の人生の方がドラマチック。映画で観たいです。
『棄てた人は孤独なだけ・・・』
原作未読、原題『トランジット』 文学性溢れる作家性の強い作品である。そしてかなり観る人の力量が試される様な内容であろう。というのも舞台設定が『架空』であり、現在に於いてドイツが又ファシズムに陥り、ヨーロッパ中を占領しようとしている中でフランスに逃げた亡命者がひょんなことからメキシコへ高飛びを画策する話であり、それだけでもかなり飲み込み難い話ではある。そして輪を掛けてそこで謎の女性が何度も目の前に現われるというサスペンス要素に変化していく。初めの段階である程度時代設定を頭に入れておかないと、実際に映っているシーンでの戦争中というイメージとの乖離がありすぎて戸惑う。なのでなるべく早く思い込みのリセットをしなければならない。それ程の不思議な設定なのだが、その行間というか描かれていない部分を自身のイマジネーションで埋めていくと意外と面白くなる。占領が進んでいるのに市井の人達の変わらぬ生活、しかし忍び寄る不安感が映像にシミとなってぬぐい取れず消せない感じがヒシヒシと伝わる。そもそも正義感の強い主人公が偶然と周りの人間の勘違いから生まれるチャンスを図らずも転がり落ちてくる具合も面白い。妻の名前や遺稿のラストの文節の伏線も、物語とのリンクと相俟って綺麗に回収されているのも良い。
主人公の心情を吐露する件も、まるで死んだ作家が思っているかのような重ね合わせで文学的だ。
そして後半はラブストーリーへと変貌を遂げるというのも興味深い。色々なタイミングで現われるという謎の女で伏線を作っておいての、その女への恋心、しかし物語だからこそ起こり得る偶然の関係性、それ故蟠りが解けず悩む心情もスクリーンに映し出す。
『棄てられた者と棄てられた者、どっちが先に忘れる?』との投げかけも又詩的な響きである。棄てた者は棄てたことに罪悪感とあり得たかも知れない未来への未練、そして寄り添い理解してくれる人がいないことへの同情の皆無故の孤独感に苛まれる。ラストの機雷での沈没というオチも又、強烈なパンチでストーリーを否応なしに盛り上げる良く出来た作りである。カメラのレンズの広角を動かすように、移民問題から恋愛、ファシズムなど、縦横無尽に切り取る演出が面白い作品である。
まあまあだった
フランスにドイツ軍が侵攻して来ているというのだが、機動隊みたいな連中がうろうろするだけで戦闘場面などはなく、あまりに戦争の匂いがしなかった。現代ヨーロッパの戦場が見れるかと思っていたので、表現がしょぼくてがっかりした。話もあまり盛り上がらなかった。今時、パスポートを写真を貼り替えて偽造できるものなのだろうか。
これはなかなかいいぞ
ハリウッドで英語でリメイクしてもいい感じです。原作transitを読んでみたくなりました。この映画ならではの現代を軸とした時代背景がなんともユニークです。ちなみにストーリーは意外と分かりやすいですよ。ナレーションが小説的でシブいですねー。これなかなかいいぞ。
映画には 観客に想像する余地を与えることも必要
この映画は 観ながら理解できる作品ではなく 観終わってから じっくり考える映画と言えます。
ナチスドイツが フランスを陥落 ユダヤ人や反政府を掲げる人達を 排除しようとした第二次大戦を
現代に置き換え 移民問題も加味しながら描いた作品です。
繰り返されるかもしれない 恐怖政治に対する警鐘ではないでしょうか?
現代社会 内向きになる国が増え
何事も自分が一番 などという風潮が広がっています。
とても怖いことだと思います。
最後に 亡命しようと人達の目的地が メキシコ
トランプ大統領に対する皮肉ですかね?
状況把握に時間かかった
この映画、予告も知らず前情報何にもなしで見てしまって、最初結構いつの時代?って困惑した。
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時代設定は現代だけど、架空の世界の話で現代なのに第二次世界大戦中のファシストだかなんだかのような言葉が出てくる。
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なんか今の難民問題と昔のユダヤ人迫害とかかな?を融合させてるらしい。
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自分なんならタイトルも「未来を塗り替えた男」だと思ってたからさぞかし歴史の難しい話だと思ってたからかなり肩透かし食らった(笑)(笑).
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「未来を乗り換えた」んだからもちろん主人公は他人になりすまして亡命して、亡命先で好きになった女の人は実は自分がなりすました人の奥さんでしたって話。
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物語はカフェの店員の語りで進んでくんだけど、最後まで誰が話してるかはわからない。だから実はこのテーブルが話してるんでは?.
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とファンタジー的なワクワクする話を想像してたんだけどそこも普通に人間だったっていう2度の肩透かしを喰らいました(笑).
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