「☆☆☆★★★ 観る前は、単純に車椅子に乗った風刺漫画家の話だと思っ...」ドント・ウォーリー 松井の天井直撃ホームランさんの映画レビュー(感想・評価)
☆☆☆★★★ 観る前は、単純に車椅子に乗った風刺漫画家の話だと思っ...
☆☆☆★★★
観る前は、単純に車椅子に乗った風刺漫画家の話だと思っていた。
勿論、彼自身が実在した人物であり、その彼の生き様を描いているのですが。その為、映画自体が前半はアルコール依存性。中盤からは神の存在を感じるが如くの、宗教的な側面が強調されて来ます。
彼の住む部屋には1匹のペット(ハムスター?)が籠の中で飼われている。
それまでの長年に渡って抱いていた母親への憎しみ。
だが、その様な憎しみや怒りを抑える事によって、神への赦しを請う。
それまでは、多少絵を描く場面は有るものの。アルコール依存の話が延々と続いていた。
だが、或る奇跡(おそらくはアルコール依存による禁断症状による)から、彼の考え・生活環境は一変する。その際に、このペットが籠の外へと出るのは。おそらく演出上に於ける、彼の内なる心の解放を意味しているのでは?と感じました。
以後、彼は。それまでの鬱憤を吐き出すが如くに、漫画を通して 本物の自分を曝け出す。
但し、生来のシニカルな性格はそのままな為に。神の存在を感じながらも、差別的な表現すら厭わなくなるのが何ともではありますが…。
…と、此処まで書いて来ると。一見して難しい映画の様に見えますが、全く逆で。物凄く分かり易い。
ただ、…ただ、何となくなのですが…。
後半に行くに従って、彼の心の解放を手助けする或る人物。
禁酒会のリーダーで、その中でのグループリーダーでも有る彼(実はゲイ)の存在。
或る意味では新興宗教の様にも映るこの会との関わりから、映画本編の色合いに宗教的な色が増して来る。それが、終盤でのこのリーダーとの対話等を含め。最終的に、ホモセクシャル的な要素が色濃くなって行く感じがします。
極めて単純な映画に見えて。体操をする人達等の比喩的な(おそらくは)宗教的な要素の意味だったり。(この監督だからなのか?…と言える)ホモセクシャルな部分等。我々日本人にはなかなか理解し難い部分の本質的なところは、どれだけの人が理解出来るのだろう?…と言う気が少ししたのが正直なところでした(。-_-。)
2019年5月8日 ヒューマントラストシネマ有楽町/シアター1