「もう少し偏った方が良かったかなと。」ドント・ウォーリー マツマルさんの映画レビュー(感想・評価)
もう少し偏った方が良かったかなと。
劇場での予告編を観て、なんとなく興味が湧いて鑑賞しました。
感想はと言うと…なんと言うか…
故ロビン・ウィリアムスが好みそうな作品ではありますが、ハートフルで何処か毒気があるんだけど、なんか中途半端な感じがしなくもないんですよね。個人的に。
酒に溺れ、自暴自棄的な行動を取るジョンが交通事故から半身麻痺になり、身障者として車椅子の生活を余儀なくされるが、酒浸りで周囲にも高圧的な態度は相変わらず。
だが、グループセラピーを通じて、断酒から自身の変化と周囲のフォローに触れ、徐々に変わっていき、風刺イラストで自己の解放と改革をしていくと言うのが、大まかなストーリー。
グループセラピーの部分が結構中弛みがしなくもなく、2時間の上映時間が割りと長く感じます。
言わんとしている事は分かるけど、ジョン自身が切り替わるのがちょっと遅い。
この辺りはもう少しテンポ良く行く事と風刺作家とエッジの効いた風刺イラストを使った部分の創作にもう少し焦点を当てて欲しかったかな。
ジョンの様々なイラつきは幼少期の母親との件がトラウマとなり、威圧的な態度から周囲との摩擦を作っていくがアル中寸前の酒浸り。
グループセラピーと断酒をしていく事で自身を見つめなおして、周囲との協調を図っていくが、個人的にはそこまで綺麗にまとめなくてもと言う感じがします。
誰だっていろんな過去があるし、お酒を失敗もあるでしょう。勿論重度のアルコール依存には量を減らすと言った生半可な事では追いつかないと言うのも分かりますが、どうも極端な感じがしなくも無いんですよね。
また、グループセラピーの距離感も人によるかな?と言うのが感想。
グループセラピーと言うカウンセリングに接する事が多くないからなのか、踏み込む事と時には少し退いて距離を取る事が大切であっても、それって感じ方は人それぞれじゃない?と言う感じがします。
一番の違和感は日本との制度の違いでしょうか。
身障者には生活保護費から介助人のお世話まで国がすると言うのはビックリ。
正直事故を起こしたのが自業自得な部分もあるので、正直恵まれてるなぁと思いますし、ここにどうしても引っ掛かってしまった。
ただ、ちょっとした切っ掛けで世界は変わると言うのは分かってはいるけど、それが実は難しくて、大半はそこに葛藤する訳なので、簡単に変わってもどうかなとなりますが、他人事にせず自身の事と考えた時にいろんないろんな事が垣間見えたりします。
それでも変われない部分もあるし、誰かの手を借りなければ、食事1つ取っても不自由な身体には変われなければいけないのも分かるけど、綺麗にまとめようとし過ぎて、ちょっと乗り切れなかったかな。
この辺りは昨年末に公開された邦画の「こんな夜更けにバナナかよ」の方が身障者の方の振る舞いや気持ちが届いたかなと感じます。
ホワキン・フェニックス、ルーニー・マーラ、ジャック・ブラックと良いキャスティングでもっとガツンと来る作品に仕上がるかと思うだけにいろんな部分でもう少し偏った方が良かったかなと思うからこそ、ちょっと惜しい作品ではあります。