「ベルファストに生きる。」グッド・ヴァイブレーションズ bloodtrailさんの映画レビュー(感想・評価)
ベルファストに生きる。
1966年のアルスター義勇軍 (UVF)によるテロ行為の開始から、1998年のベルファスト合意までの間を「北アイルランド紛争」と、勝手に俺的に定義すると。映画の終わりにテロップで紹介された紛争による犠牲者数は3,000人。大凡30年間の間に3,000人の命が、あの、狭い狭い北アイルランドの中で奪われていただなんて、知りませんでした。本当の戦争だったんですね。
途中挿し込まれる当時のニュース映像と音声は衝撃です。メインストリートが「爆弾通り」と呼ばれ、イギリス正規軍が警察に替わって治安維持に就く、このベルファストの街で。どんなに小さい若者文化でも良い。みんなの心に希望の灯りをともし、この街につなぎ留め、他所の人々の目をこの街に向けさせる。そのためにレコード店を開き、パンクバンドのドーナツを作る。
「Good Vibrationsは生き方だ」
北アイルランドパンクのゴッドファーザー、 テリー・フーリーはステージ上で叫びます。俺の生き方だ、俺たちの生き方だ、と。何か、観終わってからジワジワ来てます、来てます、来てるって!逃げない男の、いや、逃げ方を知らなかった男の成功物語。
「成功ってヤツは、誰かが決めるもんじゃない」。選挙に12回落選した、マルクス主義の父親の言葉が、フーリーの背中を押す。パンクな生き方をするフーリーを、結局は理解し勇気づけ続けたのは、出会った最初の晩で恋に落ちた妻のルース。フーリーへの「愛」と、生き方への「共感」の合わせ技だもんね。強固。
I saw the light.
義眼の目にも、灯りは見えた。それが俺の成功だ。
ジワジワーーーーっと、良かった!
それとパンクも染めた金髪も、あんまし得意じゃない俺でも、使われていた音楽は良いなって思いました。