「Laugh at Me!」グッド・ヴァイブレーションズ Naakiさんの映画レビュー(感想・評価)
Laugh at Me!
血の日曜日事件とも血の金曜日事件とも言われた虐殺事件があった70年代の北アイルランド。アルスター義勇軍(Ulster Volunteer Force、略称:UVF)なんて呼ばれる"IRA"に対抗してできたプロテスタント系ユニオニストの民兵組織が、"Fran & the Miami"という音楽グループを襲撃したことも出てくるが、それほど政治色だけを色濃く前面に出していないので、見やすい映画となっていると個人的には思うのだが.....。
ある日、バーでDJをしていたテリーは、一生の伴侶となるルースという女性に合うが、店の界隈が物騒になったためかだれも夜うろつかなくなったのが原因で、店が暇になり、その日のうちにバーのオーナーから首を言い渡されてしまう。
生活のためレコード店を立ち上げたテリー、そこでバンドに出会うきっかけを作ったのが、"S-S-R-U-C"という言葉。せっかく楽しんでノッテいたところに北アイルランド警察、通称:"RUC"が邪魔をしに来るとバンドのメンバーが叫び、それと同時に観客の若者も一斉に"RUC"に対して、"S-S-R-U-C"と叫ぶ。(SS:ドイツ軍親衛隊の略称)
レコード店だけでなく、バンドのプロモートやレコード作りに尽力していたテリーは、バンドを売り出そうとしてロンドンに行くが、レコード関係者は誰も彼を相手にしなかった。つまり彼は門前払い同然となってしまうが、しかし、BBC放送のラジオMCが救いの手を差し伸べる。(この映画BBC放送が作っています。)その時にかかったのが、Undertonesの"Teenage Kick"。そのことがきっかけにバンドもレコード店も順調にいっていたが...........
ドイツの記者からこう言われる。
The Godfather of Belfast Punk.
しかし、そんな有頂天になっていた彼が、奥さんのこともレコード店のことも一人で何もかもしていたことが、逆に何もかも回らなくなってしまい、おまけに酒浸りとなり最悪の結果になろうとしていたが!
ラストシーンでテリーが集まった聴衆に
When it comes to punk,
New York has the haircuts,
London has the trousers,
but Belfast has the reason!
Good Vibrations isn't a record shop.
It's a way of life!
近代ゴスペルソングの歌い手として知られるHank Williams の歌" I saw the light "やHank Williamsと思わせる人が夢に出てきたりするのは少し理解ができなかった部分もあったが(福音の意味か?)、いい感じで映画を終わっていたのでサクッと観ることができた。
最後にジョー・ストラマーの言葉で締めくくっている。
When punk rock ruled over Ulster, nobody ever had
more excitement and fun. Between the bombings
and shootings, the religious hatred and the settling
of old scores, punk gave everybody a chance to
LIVE for one glorious burning moment.
イギリス、ロンドンのタブロイド紙、London Evening Standard「この映画は、(北アイルランドの)ひどい時のアーカイブ映像が随所に出ていたが、仮に少し長くても元気づけられて目を離せないものだ。」旅行やエンタテイメント関係の情報サイトTime Out。簡潔にこの映画の批評をしている。「情熱的で、面白い、そして圧倒的に感じのいい神話を作っているコメディ。」
最後にステージでテリー役のリチャード・ドーマーがSonny Bono の"Laugh at Me"を歌う。とにかく渋い!!