劇場公開日 2019年11月22日

「心の声に従え。それが20世紀の反省となる。」アナと雪の女王2 tさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5心の声に従え。それが20世紀の反省となる。

tさん
2020年4月25日
PCから投稿

うーむ。俺は1よりも2派だ。ただしラストは頂けない・・・笑。よくできた映画でした。

ここ数年「心の声に従え」みたいな映画が本当に多いように思う。

この映画のテーマは「変わらないもの」だ。その問いの答えは「愛」。しかしこれは、観客にわかりやすく提示された(・・・パンピー向け)1つの答えに過ぎない。

見る人が見ると、本当の答えは「誘惑=感情(エルサ)」と「正義=理性(アナ)」がテーマだ。「変わらないもの」であり、かつ「決して変えてはならないもの」かつ「変えることができないもの」。

エルサは誘惑に従い、たとえ未知のものであろうと、周りの心配には目もくれず、「心の声」の赴くままに生きる。エルサは、好奇心という誘惑には逆らえない。なぜならそれが彼女の生き方だから。(エルサが未知を目の前にしたときに見せる、あのワクワクした表情がそれを物語っている笑)

アナは正義に従い、現状を認識し、常に周りのことを考えながら、理性的に生きる。アナにとっては、この正義(=思想、理念)こそが「心の声」なのだ。

最近、心の声を忘れてしまった人たちを批判する映画が増えてる気がする。アナ雪2もそのような映画の1つだ。「天気の子」もそうだったし・・・。

ただし、この映画ラストがなぁ・・・。めっちゃ微妙。最後、アレンデール王国が流されずに終わるのは、まじで頂けない。結局、代償を支払ってないやん。「天気の子」でさえ、都民に代償を支払わせていたのに笑。まぁあんまり突っ込んでも仕方ないか。

人間は悲劇を共有することでしか団結できない。大量に人が死ななければ、思想や理念など絶対に生まれない。現実に、欧州や中国では戦争が繰り返され大量の人が死んだからこそ、人は理性を参照した。そういう意味で、本作のアナの正義感ってのはとても嘘っぽく感じてしまうんだけど、まぁそれは本作の本質ではないので、無視してもいっか。

t