「長編ミュージックフィルム」アナと雪の女王2 キレンジャーさんの映画レビュー(感想・評価)
長編ミュージックフィルム
字幕版で観たので、これが1作目の様に社会現象になるほどの楽曲として支持されるのかは判断が難しい。
とはいえ、音楽劇としての表現は前作以上に高カロリー。曲も歌声も鳥肌の立つようなグッとくるものが続く。
1作目の「Let It Go」が松たか子の歌声でバッチリはまったのが支持された大きな要因だと思うけど、今回の楽曲はさらに技術と声量が物を言う感じ。その辺りは字幕版で観るとその迫力に圧倒される。
前作以上に、映し出される映像は言うまでもなく美しく、キャラクターたち(特にアナとエルサ)はより表情豊かでチャーミングに描かれている。
それでも、個人的な満足度はそれほど高くならなかった。やはり物語としての演出があまり上手く機能していない様に感じてしまった。
これは私自身の読解能力の問題もあるのだろうが、それぞれのシーンでナニが起こっているかがよく分からない。
後になって「ハイ、さっきのはこういう意味でした」みたいに「説明」がされる部分もあるが、とにかく「え?ナニ?何が始まった?誰が?これは誰が何のために?」からの「あ、あぁ…さっきの〇〇は△△って意味だったわけね」って展開が最後まで各所で繰り返される感じ。
加えて、登場人物の行動の「動機」や「根拠」が、それぞれの思いつきレベルの想像なので、観ているこちらは後になって「あ、彼女の思い込みで行動して良かったってコトね」という、何とも言えない肩透かし感も強い。
描かれているそういった理屈も、スンナリは呑み込みにくいモノも多く、後半のカタルシスの大きなシーンや大団円が、そのおかげで何となく空々しく感じてしまった。
【この段落だけ内容に少し触れます】
冒頭の昔話。
自然の精霊たちと代々暮らす民との「友好の証」として、〇〇造るって…。
ってことは「そういうこと」だし「ああいうラスト」なんだろうし…。
自然破壊とか民族・国家の対立や分断みたいな社会的テーマを盛り込む意図があるなら、もう少しスマートにしてほしかったかな。
まあ、馴染みのキャラクターで、素晴らしい音楽と美しい映像演出を楽しむ作品としては文句なし。でも「映画」としてはやっぱり物足りなかった。