「半実写映像化することの「副作用」」ライオン・キング カトソラさんの映画レビュー(感想・評価)
半実写映像化することの「副作用」
ライオン・キング【IMAXレーザー/GTテクノロジー 3D】
鑑賞日 2019 8/11
予告編が本当に美しく、とても興奮したことと、アメリカでの興行収入が非常に良いことや映画.comでの評価が非常に高いのでとても期待してグランドシネマサンシャイン池袋に出向いて最高のIMAX環境で鑑賞。アニメ版は本作鑑賞前に鑑賞。本作の監督であるジョン・ファブローは俳優としても監督作品も好きなのでそこも期待。結果はアニメ版に忠実にCG化した作品だった。IMAXレーザーの大画面と4Kで見たこともあり、予告編通りCGは本当に素晴らしいし、本物にしか見えなかった。音楽もアニメ版通り素晴らしいし、本作限定のビヨンセの「Spirit」とエルトン・ジョンの「Never Too Late」も映画にマッチしていて良かった。ただ原作であるアニメ版に忠実に製作しすぎてとても脚本がお粗末だった。シンバとナラがなぜあんなにすぐ恋に落ちたのかも、スカーがなぜ自分がムファサをわざわざシンバに告白したのも謎だし、最後獲物を狩り過ぎて、荒れ果てていた王国が復活したのかもよくわからない。何より今作はリアルさを追求し過ぎたゆえの弊害があったように感じる。
「王様になるのが待ちきれない」、「準備せよ」などのミュージカルシーンはアニメ版比べてとても地味だと感じた。アニメ版での「王様になるのが待ちきれない」のシーンは動物の上に動物が乗ってまたその上に乗って…といったり「準備せよ」のシーンではハイエナ達がとんでもない数出てきて行進をしたり…と現実では絶対にあり得ないようなシーンがたくさんあったがそれをいざCGで半実写化しようとしてもリアルさは無くなってしまう。そのためそのシーンを動物達が走り回る、くらいしか映像化できない。またアニメ版だと全く違和感の無かった「動物が人間の声で話す」という基礎的なことがとても本作では違和感を感じた。