メリー・ポピンズ リターンズのレビュー・感想・評価
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うーん…
全体:
辛口ですが、本家とは別物として観たにしても、何も残らない、どうしたディズニー…といった感想。最近、Les Misérablesや、グレーティストショーマンという、かなりクオリティー高いミュージカル映画を観てしまったのもあって、インパクトに欠ける作品。流れが悪いのか、引き込まれないし、歌も全く頭に入ってこない。メリーポピンズがまたロンドンにやって来たという設定の感じなのですが、結局なにをしに来たのかも、微妙。
役者:
一言でいうと、ただ歌の上手い美人…という感じ。ジュリーアンドリュースのレベルではないにせよ、もう少し表現力のある歌を披露して欲しかった、、ジュリーアンドリュースは決して華のある美人ではないものの、物凄い表現力と歌の上手さが素晴らしい。(私がいちいち語るまでもないですが。)
メリル・ストリープなどの大物の存在感が凄くそのせいでより一層、知名度の低い主役達のバランスも悪い。
本家では煙突掃除とされる、物語の要となる灯の作業員も、もさっとしたボンヤリした印象。
子役が可愛いのが唯一の救い。
ストーリー:
特にストーリーは大した事なくても、歌や踊りが素晴らしければよかったのですが、そこもイマイチな為、ストーリーに関しては、内容がかなり薄く、アニメーションとの連動で悪者とされるキャラ設定も中途半端に…お母さんが亡くなったという悲しさは伝わってくるものの、もう少しうまい脚本はできなかったのか…
歌:
比べられるのを恐れてあえて全く違う歌ばかり揃えたのか、ほぼ何も頭に残らない歌で残念。せっかく役者さんの歌自体は上手いんだし、これなら本家の歌も入れてた方が良かったのでは。
素敵すぎる。
原作ファンで、前作の映画は好きじゃない。(ウォルト・ディズニーの約束 を観て、さらに嫌いになった)
なので、あまり期待せずに見たんだけど、もう最高の映画だった。
メアリーが登場して、「口を閉じなさい」って言うところからツボに入りまくり。
早々に、マイケルが歌うところあたりから、涙腺は決壊してる。
なんだかやたらと心に突き刺さる映画だった。私には。特にマイケル。メリーポピンズに育てられたからって、それで万事OKではやっていけないんだ。
原作も尊重して、前作映画も尊重して、優等生みたいなところもあるけど、うまくやってる。ディック・バン・ダイク持ってくるとか、もうズルい。
エミリーも前作&原作キャラで、マイケル達がちびっこの時からバンクス家にいるんだけど、この女優さん、パディントンにも同じような立ち位置で出演してるんですよね(ハリーポッターにも出てる。英国ファンタジー映画界の女王か?)。パディントンの声は、ベン・ウィショーなので、一瞬「ここはブラウン家?」ってなるのも一興です。
エンドロールの音楽でも、スーパーカリフラリジスティックエクスピアリドーシャスのメロディを思い出させるフレーズとかあって細かいです。
ラストシーン、マイケルの着てた青いジャケットと派手なベストも見覚えがある気がするんですが…前作絡みかな。
魔法は大失敗
オリジナルは昔テレビで見たような見ないようなで、あまり記憶がない。で、この続編はまったくつまらない。ミュージカルが苦手というのを差し引いても、どこを楽しんでいいのかわからない謎の映画。音楽はやたら威勢よく鳴り響いているけど、抑揚に乏しく、印象に残るメロディーもない。アニメと実写の合成シーンもあるけど、今さらどうした、という感じは否めない。大恐慌の時代が舞台で銀行家が悪役だけど、真剣に資本主義の矛盾を描いているわけでもない。マイケルの姉は労働運動家という設定だけど、まったく話には活かされない。失った子ども心をどうのこうのという話でもない。マイケルは本来は画家で、生活のために銀行で働いているというのだが、彼の画家として再生が描かれるわけでもない。だいたい絵描きが生活のために勤め人になったからって、絵を捨てるわけないだろう。脚本は粗雑で御都合主義のかたまり。ラスト近くの取ってつけたような老銀行家の登場には唖然とするしかない。大愚作。
ハピネス
原作を観たのはだいぶ前で、殆ど覚えていない状態で観ました。
いいミュージカル映画です。ディズニー映画は大体そうですが、観ると幸せな気分になります。ハピネスのお裾分けされた感じです。
ただ、個人的に目新しさは無かったかなと思います。目新しさを求める映画ではないと思うのでそれでいいのですが。
またメリーポピンズの特色として実写とアニメーションの融合があると思うのですが、そこら辺は流石という感じで良かったです。リアルなCGに目が慣れてしまっているので最初は多少違和感ありましたが、段々慣れて楽しく見ることが出来ました。
役者さんも英国の錚々たる面子と言った感じです。
道徳的な事を敢えて素直に伝えてくるディズニー映画ですが、教える為にそういった要素を入れ込むのではなく思い出させる為に伝えているのかな、と思ったりもしました。
最後に、今度の水曜日にとりにいく壺はどうなったのかちょっと気になります。てっきり回収される伏線だと思っていたのですがどうなったのでしょうか…
ハッピーに溢れた素敵な作品
とっても楽しかった!
ハッピーな音楽と彩りとダンスで楽しい要素しかない映画。オリジナル版の音楽が最高なので、どうしても楽曲は劣ってしまうけれど、その分パワーアップした映像やダンスで楽しませてくれました。ジャックと仲間たちの自転車ダンスが凄かった!全体的にダンスがハイレベルでびっくりです。
オリジナル版のオマージュやディック・バン・ダイクの登場(ダンスが凄い!合成かと思った。笑)等演出もニクイ!個人的に一番好きな曲の「2ペンスを鳩に」が、今回もまた良い感じに流れて来るので思わず涙でした。
最後のとびきりハッピーなパステルカラーの演出も素敵。最初のバスタブどぼん!から最後までずーっと笑顔でいられる素敵な作品でした。
ミュージカル映画として観るなら良いと感じる♪
ロブ・マーシャル監督作品は。
シカゴ、NINE、イントゥ・ザ・ウッズ、SAYURI、
パイレーツ・オブ・カリビアンと観ている。
パイレーツ以外は、結構好きな作品。
そして、
メリー・ポピンズは、
1964年版と、ウォルト・ディズニーの約束
を観て今作を鑑賞。
どちらも好きな作品。
特にウォルト・ディズニーの約束
を観ると、1964年版の見方が変わり、より楽しめる。
さて、本題。
正直、
監督とメリー・ポピンズの相性悪そうだなと、懸念はしていた。
今までの作品と、メリー・ポピンズでは、世界観違うので。
なにより、この監督、割と毒っ気あるなぁと感じる事が多いので、
そこの食い合わせ悪そうと思ってた。
残念ながらその予感は、当たったけれど。
ミュージカル映画、として観るならば、
本は表紙じゃ分からない、小さな火を灯せ、
のパフォーマンスは流石だし、あれは最高だと思う。
また、
器の世界に入るシークエンスは、
描写が最高だったなぁ。
アニメと実写の融合。
今の技術じゃなきゃできないよね。
アニメの帽子を演者が被るとか、
衣装が、一部絵とか。
これこそメリー・ポピンズだよね。
ここは、すごーく力が入っていたなぁ。
いとことのシーンも、本当に良かった。
ただ、
1964年版をなぞるならば、
風向きが変わるとこから、
ちゃんとやって欲しかった。
鳩に餌をあげるおばあさんまで、
描写したり、ガラクタで過去のアイテムや、
更にあの凧を出すならば、
そこはなぁと。
指摘されている方多いけど、
曲がねぇ・・・。
どれもベターでベストがないんだよなぁ。
1曲だけでも良いので、
突き抜けて良い曲があれば、
それだけで評価変わるのになぁ。
すごくもったいない。
ヘアスプレーのマーク・シャイマンだから、
割と期待はしたのだが・・。
シャーマン兄弟と比べるのが、
間違いなのかもしれないけれど。
個人的には、
凧を一緒に直して、
エンディングで、Let's Go Fly a Kiteかけて、
凧あげれば良かったんじゃないの、とか思っちゃうけどね。
ただ、
コリン・ファースの悪役は珍しかったので、
そこは星1つプラスで。
吹っ飛ぶくらい好き!!!
「クリーチャーに慄き脂汗と涙まみれになった母」と「笑顔の色白美人」のギャップにたじろぎつつ。エミリー・ブラントって凄い。いや、女優さんて誰もかれもが、凄いと思う。
話は変わるが、「プー」は最初から最後まで、ずっと切なさを感じながら見てました。この「メリポピ」は「幸福感」。何なんだろう、この違い?「プーは哲学でメリポピは教訓」。「抽象」と「リアルな生活感」の差。これが本日のところの答えです。もっと細かく言うと、プーは「哲学をファンタジー化しヌイグルミに演じさせる」。メリポピは「色白美人が微笑みながら可愛い子供達との冒険の中で教えを諭す」。どっちも良いけど、プーの方が感動は深かった、いや感銘か。
本編の方はと言うと。ディズニー品質で緻密に造り込まれた画に目を奪われてる間に、一曲目の歌が流れだし、「そうだメリポピはミュージカルだった!」ってことを思い出します。紙芝居は、VFXを駆使した「ファンタジア音劇」だけじゃ無く。古き良き時代の「舞台ミュージカル」あり、「ストリート」あり、もう、うれしくて楽しくてたまらん!「帽子と杖」だよ、それだよ、それだよって、勝手に一人で盛り上がり。「街灯ポールダンス」に熱狂し。もう、この時点で、「あと何回見ようか?」が問題になってる俺でした。
「子供も楽しめるミュージカル」の伏線配置はあっさり、かつ、どえらく早い段階で仕込まれますが、いや、切り紙貼り紙されますが、それだけじゃ無く。最後に止めを刺すのはミュージカルのレジェンド、ディック・バン・ダイク!1925年生まれなんんだと。歌えるし、踊れるんです、これが。また、メリル・ストリープもマンマ・ミーアに続いて歌って踊ります。カッコ良いって、この役。
ラ・ラ・ランド、GSM、今年はメリポピ。年甲斐もなく言わせてもらうと、幸せです。
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(2/7追記)
メリー・ポピンズは「夢を叶えてくれる魔法使い」じゃなくって「教育係」。いや、むしろ「全てお見通し」の上で、あえて試練を与えてる。株券を魔法でゴミ箱に「片付けて」ジョージーに捨てに行かせたり、ジャックに命がけのタワー・クライミングをさせたりする。
「無くなり様のないものは、無くならない」
母親を慕う気持ち、妻への想い、子供達への愛情、長年住んだ「Old Friend」への愛着。カタチあるものは、いつか失われる(従妹のトプシーに頼まない限りは!)。カタチの無いものは、心の中にいつまでも生き続ける。
バンクス家の危機に現れた教育係は、安易な助けの代わりに試練を与え、「無くなってしまいそうになったもの」を「無くなり様の無いもの」に換え、桜吹雪の吹くロンドンの空に去って行きます。子供達の記憶に、メリー・ポピンズは「無くなり様の無いもの」として残ってくれるはず。だが。ジョージーだけは危なっかしくて不安。
「チム・チム・チェリー」のようなキラーソングがない
ディズニーが名作を54年ぶりに引っ張り出して続編を作った。これは「プーと大人になった僕」(2018)と同じ、"名作のその後シリーズ"である。テーマもストーリーも似ていて、企画はビジネス臭のする感じだが、「メリー・ポピンズ」ファンには関係ない(まんまとワナにハマる…)。
「凧をあげよう(Let's Go Fly a Kite)」で終わった前作。メリー・ポピンズが凧に乗って帰ってくる。
まだ1回しか観ていないので(何回、観る気だ?)、やすやすと結論は述べられない。しかしながら、このディズニー看板作品にほぼオリジナル曲で挑戦した、ロブ・マーシャル監督(「シカゴ」、「イントゥ・ザ・ウッズ」)の本気を感じられた。
華やかな映像の楽しさと、主演のエミリー・ブラントの存在感が強烈で、どちらかというと画に圧倒される作品だ。一方で楽曲の第一印象は薄い。
前作は、「チム・チム・チェリー(Chim Chim Cher-ee)」や「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス(Supercalifragilisticexpialidocious)」など、言葉遊び的なキラーソングがあった。それと比較しようもない。
もちろん、とても重要なバラード「幸せのありか(The Place Where Lost Things Go)」や、ダイナミックな踊りを見られる「小さな火を灯せ(Trip a Little Light Fantastic)」など、キレイな曲が並べられていて、平均レベルは高い。しかしすぐに惹きつけられる名曲がない印象だ。
むしろ、もっとオリジナルサウンドトラックを聴き込むことで、何度も楽しめるはず(と信じたい)。
ひとまずは字幕版を観たが、やはり今回は平原綾香の吹替版も観るべきだろう。「サウンド・オブ・ミュージック 製作50周年記念版」でマリア役を演じた関係で、同じジュリー・アンドリュースの演じたメリー・ポピンズ役で白羽の矢が立ったのだろう。
ちなみに、映画会社として名実ともに世界ナンバーワンとなったディズニーでありながら、90年以上の歴史を誇る米国アカデミー賞での作品賞を獲ったことがない。
今年は「ブラックパンサー」が、アメコミ初の作品賞にノミネートされている(ほか6部門)が、これはマイノリティ批判をかわす意図が感じられ、現実的に受賞は厳しいだろう。
前作「メリー・ポピンズ」(1964)は、ディズニー映画で最大の13部門のノミネートされ、5部門を受賞している。そしてジュリー・アンドリュースがディズニー・唯一の<主演女優賞>を受賞した、歴史上、特別な作品である。
「ウォルト・ディズニーの約束」(2014)では、この「メリー・ポピンズ」誕生秘話が描かれており、生前のウォルト・ディズニー自身がどんなにこの作品への思い入れが強かったかがわかる。
本作は作曲賞、歌曲賞、美術賞、衣装デザイン賞の4部門のノミネートされている。今年は素晴らしい音楽映画が多いので、美術賞か衣装デザイン賞ならば可能性があるかもしれない。
さて、吹替版は上映館が少ないが、今日はお台場まで観に行こう。
(2019/2/1/TOHOシネマズ日比谷/シネスコ/字幕:松浦美奈)
父娘でメリーファン。高校生の娘と二人で観ました
前作を幼い頃から娘に観せていて、
父娘でメリーポピンズは大好きです。
まず、前作ファンのために作られた作品と
思って間違いないのでは。
それほどに前作へのこだわりが随所に
観られます。
みおえて娘と話したら、細かな所まで
気づいてて嬉しかった!なんせ、
私は一番好きな作品が前作です。
屋根裏部屋やゴミ箱の小物、ちょっとした音楽。
そして前作と変わらず家族愛にあふれたシナリオ。
瀬戸物音楽堂で違和感ありますが、
ちゃんとメリーしてる2代目さん。
ディックはやっぱり素晴らしい。
気に入らない少々はきにならない、
好きな人が楽しめるメリーポピンズです。
風が東に変わるまで。また観たくなります。
父親として、沢山泣けてしまいました。
娘に笑われましたが、幸せな気分で
劇場をあとにしました。
大好きな作品で期待してたのでがっかり
メリーポピンズ本人のキュートな雰囲気が、全く感じられなくて、ツンツンした嫌な女って雰囲気だったし、舞台で現代のミュージカルぽく踊るシーンとかも微妙でした。。
とにかく退屈で眠かった。主役のメリーポピンズの存在感が薄すぎて、微妙でした。。
昔の作品は、ストーリーとか特になくても、とにかくメリーポピンズがかわいらしくて、子供たちもバートもお父さんも、みんなキャラが強烈で面白かったし、歌もよかった。今回は、みんな残念でした。
ですが、この作品で夢を感じれなかったのは自分が大人になってしまったからかもしれません笑。
最近、夢見てますか。
舞台は、不況下のイギリス。
家を差し押さえになった家族の元に、空からメリーポピンズがやってくる。
子供の頃に観たDisneyの印象ってこんな感じだったなと童心を思い出しながら、観た。
迷ったときには、小さな灯を探すと、大勢で歌うシーンや、みんなで協力しながら、ビッグベンの時計の針を戻すシーンなど、絶対にありえないことばかりだけど、それを魅力的にしてしまうのだから、Disneyってさすがだなと思わせられる。
ナニーというのは、日本ではあまり聞き慣れないけど、こんなナニーと子供時代を過ごせたら、最高だよね!
Nowhere to go, but up. 帰ってきたメリー・ポピンズ
「メリー・ポピンズ」大好きです。と言っても初めて観たのは去年の午前10時の映画祭で、そこでハマってblu-ray 買っちゃって、更にダンスシーンだけならYoutubeでも何度となくリピートしてるぐらい好きな作品です。で、その続編となる本作なのですが・・・うん、確かにメリー・ポピンズでした。
確かにメリー・ポピンズの続編として物凄く良くできてると思うのですが、何だろう?何処とないこの物足りなさは?
やはり音楽でしょうか?正直音楽のレベルが上がり過ぎてて、観ている時は「スゲェー!」ってなるんですが、見終わった後に記憶に残ってない、全く口ずさめないという状況で、前作の方が単純でもキャッチーだったなぁと思ってしまうんです。
ストーリーは良く言えば前作を踏襲している、悪く言えば焼き直ししてて、アイディアの玉手箱だった前作に比べ、何処かで観たことがある印象で新鮮味に欠けます。映像はメチャメチャ綺麗なのですが、そこにサプライズがないというか。メリー・ポピンズ好きなロブ・マーシャル監督が自分でもやりたかったのかな?っと感じてしまいました。
さすが、エミリー・ブラントは素晴らしかったです。歌も踊りも圧巻でした。特に陶器の中のシーンは誰もが好きなはず。顔はジュリー・アンドリュースとは全く似ていないのですが、フとした表情がメリー・ポピンズなんですよね。今回のポピンズさんはツン度が上がってるのですが、それは原作準拠のようでエミリー・ブラントが上手く自分なりのメリー・ポピンズを作り上げていました。
コリン・ファースといい、メリル・ストリープといい、楽しそうにやってるのは良い感じですよね。特にメリル・ストリープのいとこのトプシーのシーンは出演者みんなメッチャ楽しそう!そして何よりディック・ヴァン・ダイク御歳93歳!あれだけ動ける93歳って貴重ですよね。
どうしても続編なので前作と比べられる事は仕方ないかなっと思いますし、個人的にはやっぱりオリジナルの方が好きでした。何はともあれ観ている間は面白かった「リターンズ」。前作を程よく忘れてる状態の方が楽しめるのではないかと思います。
変わる事のないスーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス!
あの『メリー・ポピンズ』に続編が作られると聞いた時、耳を疑った。
『メリー・ポピンズ』? 今更? 50年も前だよ? 需要性あるの…?
そう思った人は少なくない筈。
でも、実際に見てみたら…。
とにかく、ただただ楽しい楽しい、至福のひと時。
魔法使いの乳母が帰って来た!
昨今のミュージカルは現代的なセンスを取り入れた作品が多いが、本作はそれに逆行。
悪く言えば古臭い、でも良く言えば、昔懐かしい。
ハリウッド往年のミュージカルと再会したような、この雰囲気が堪らなくいい。
そこに、オリジナルを彷彿させるシーンや展開、オマージュの数々。
バンクス家とロンドンの街並み、提督の時報大砲、凧に2ペンスの話、義足の男の話…。
マイケルと3人の子供たちの親子関係はかつてのバンクス親子そのもの。
正直自分は、『メリー・ポピンズ』のメッチャメチャ大ファンって程ではない。普通に好きって程度。
それでも、これらオマージュには素直に嬉しい。
オマージュの最たるはやはり、『メリー・ポピンズ』と言ったらの実写とアニメの融合シーン。
オリジナルもワクワク楽しい見事な名シーンだったが、今回は技術がさらに進歩。
絵の中でなく、陶器の中へという凝りよう。スリリングな列車アクションも。
そして、『メリー・ポピンズ』の一番の醍醐味とでも言うべき、劇中彩る楽曲の数々。
正直楽曲は、オリジナルの方が好き。こればっかりはしょうがない。オリジナルはいずれも名曲で、言わばパイオニア。
でも、今回の新曲だって魅力的だ。
クライマックスの超ハッピー・ナンバーもいいが、個人的には、ジャックら点灯夫たちによるナンバー。アクロバティックなダンスも含め、圧巻であった。
欲を言えば、『チム・チム・チェリー』や噛まずに言えたら凄いあのチョー長い言葉のナンバーなどオリジナル楽曲ももっと使用してくれたら…と思ったが、オリジナル楽曲には頼らず、ほとんど新曲で勝負したのは好感。だって本作は、新しい『メリー・ポピンズ』なのだから!
『シカゴ』『NINE』『イントゥ・ザ・ウッズ』などミュージカルに手腕を発揮するロブ・マーシャルは勿論、オリジナルの大ファンだとか。
やはり愛あって手掛けると、違うね。それが伝わり、見てるこちらも幸せな気分に浸れる。
明るく楽しく、ハッピーにファンタスティックに、歌とダンスに彩られ…。
とことん、ミュージカル×ファンタジー!
世界観はその後。
メリー・ポピンズと再会したマイケルとジェーンは、「歳を取らない」「変わらない」と言う。
いやいや、ジュリー・アンドリュースじゃないじゃん!…と思うなかれ!
エミリー・ブラントが違和感なくメリー・ポピンズになっている。
ハリウッドの女優たちにとってメリー・ポピンズを演じるなんて夢であり、憧れ。と同時に、ジュリー・アンドリュースとの比較は避けようがなく、恐れ多い。プレッシャーや苦労は相当なものだろう。
そんな超プレッシャー難役を見事自分のものにしたエミリー・ブラントの魅力は、それこそ魔法のようだ。
歌やダンスは『イントゥ・ザ・ウッズ』でお披露目済みで何の問題ナシ。
“ジュリー・ポピンズ”と違ってちょっとツンとした感じの“エミリー・ポピンズ”は、何だか原作者のトラヴァース夫人をも彷彿。
厳しさと優しさを併せ持ち、ただ受け継いだだけじゃなく、新たに造り上げたメリー・ポピンズ像。
『プラダを着た悪魔』の助演で注目され、その後、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』『イントゥ・ザ・ウッズ』『ボーダーライン』『ガール・オン・ザ・トレイン』『クワイエット・プレイス』と快進撃止まらぬエミリー・ブラント。
そんな彼女に、決定打的代表作誕生!
ジュリー・アンドリュースのように、メリー・ポピンズの人と長く親しまれるだろう。
オリジナルのディック・ヴァン・ダイクのポジションのリン=マニュエル・ミランダが、歌とダンスとナイスな役回りの好助演。
3人の子役たちも愛らしい。
嫌味な役所のコリン・ファースや出番はワンシーンだけだがインパクト充分のメリル・ストリープらも楽しそう。
ラストには、オリジナル好きには嬉しいサプライズであの人登場! まだまだご健在!
こうなってくると、ジュリー・アンドリュースにもゲスト出演して欲しかったの声がちらほら。
ディズニー側も出演オファーをしたが、断ったという。
今回はエミリー・ブラントの映画なので、自分が出たら邪魔になる。
大先輩の粋な気配りに拍手!
ストーリー的には予定調和のハッピーエンドで、ちと弱い。
でもしっかりと、メッセージやテーマは込められている。
大恐慌時代。人々は日々の生活に困窮。
時は瞬く間に流れ去り、子供は大人に。
不幸や問題に直面。
単なるハッピー・ファンタジーだけではなく、時代設定が昔であっても、私たちが生きる“今”とリンク。
そんな時だからこそ、今再び、メリー・ポピンズの幸せの魔法を…。
子供の頃はあんなにメリー・ポピンズの魔法を楽しんでいたマイケルだが、いつの間にか心の狭い大人になってしまっていた。かつての自分の父のように…。
オリジナルでもそうだが、メリー・ポピンズの一番の魔法は、大人に忘れ去った心を思い出させる。
また、子供たちの世話が専らの仕事だが、押し付けるのではなく、自分たちで行動させる。
家族の絆を見つめ直させる。
家族がそうなった時…
オリジナルもそうだが、ちょっと切ないが、役目は終わり。
風が変わるまで。
無くならないものは無くす事はない。
変わらないものも変わる事はない。
魔法使いの乳母が届ける奇跡と幸せ。
言わずにはいられないこの魔法の言葉と共に。
スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス!
なんだかんだいっても、ラストが切ない
評価とか理屈じゃなくて、やっぱりこういう映画って必要なんだろうなぁ。あー、良かった‼️
鑑賞後、そう思って大満足している自分がいるはずだったのですが、作品の出来の良し悪しとかの感覚よりも、正体不明の違和感が残りました。
不明ながらも思いつくところをあげると…。
❶ミュージカル映画なのに、メロディとその時のシーンが同時に思い出せるようなインパクトのある楽曲がなくて少なからず衝撃を受けた。
❷前作の兄妹との再会にこだわったためか、妹も家庭を持たない活動家(母の影響も示唆しており、そこまで前作との繋がりを強調しなくてもいいのでは?)という設定で登場させていたが、却って亡き妻の喪失感が薄れてしまったように感じた。
(亡き妻への思いを語る哀切漂うFeed the birds tuppence a bag のような曲が欲しかったです)
❸メリー・ポピンズが子どもの家庭教師であるという設定とエミリー・ブラントのエレガントさとのギャップを活かしたコミカルさやネタが少ない。
なんだかすごく駄目な映画のように書いてしまいましたが、たぶん知らず知らず前作との比較(時間とともにより良い思い出として記憶を保管しておきたくなる人間性の傾向もある)をしてしまうからです。
そうは言ってもラストにやられました。
人のために『ひとつの大きな達成』を成し遂げたエミリー・ブラントの上目遣いの横顔に滲む、決して誰にも言うことのない(言ったら完璧な魔法使いでなくなる!)切なさと寂しさが、実は、とても大きな余韻として残っています。
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