「なぜか広がる絶望感」メリー・ポピンズ リターンズ KinAさんの映画レビュー(感想・評価)
なぜか広がる絶望感
直立不動姿勢でフィーーと飛ぶメリー・ポピンズの姿がとても好き。
ケープ付きのコートやフィットアンドフレアシルエットが美しい。私もお洒落して鑑賞に臨んだ。
1964年版を2日前に予習してからの鑑賞。
劇音楽を吹奏楽部で繰り返し演奏したくらいしか思い入れのない作品だけど、前作からの繋がりには心がポピンポピンとする。口を閉じなさい。
細かい描写はないけどおそらくしっかり者だった妻と母を失った家族。
マイケルの抱えるものや小さな大人然とした子供達の寂しさ、「永遠に消えたわけじゃない、今いないだけ」の言葉などに胸打たれボロボロ泣くこと数回。
いやそこでスーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス連呼しないのかよ!と思ってみたり。
ホロリと切なさも残りつつ温かく良い話なのに、鑑賞後に残ったのは大きな虚無感だった。
ラストに近付くにつれてなぜか心に広がる絶望に戸惑う。
問題解決!家族円満!ポピンズ退場!
風船プカプカ大団円で良いではないか。なんなんだこの苦しい気持ちは。
ハピネスの劇薬みたいなミュージカルパフォーマンスシーンの高いクオリティや、散りばめられた人生の小さなヒントに感心するけれど少し飽きてしまう。
歌とダンスが終わった後にわざとらしくアハハと笑い合うのがどうもキツかった。
ペンギンズめちゃ可愛いし点灯職人の息の合ったダンシングも楽しいのに。
手描きアニメーションと実写の合体もとても良かった。
ジョージの帽子と馬車の犬の帽子を交換するところが好き。
「自分たちの家を守る」という家族の目的はなんだか小さくも思えたけど、その身になってみれば死活問題である。
なんだか目的に向けての行動が的外れなのは子供ならではってことで。
弁護士を追う子供たちを見過ごすポピンズの目線が優しい。
なんだか呆気ない解決方法、「最初からポピンズ飛んでよ!」なんて思ってしまうのはヤボでしょう。
あの作戦でジャックが落ちたらどうすんのなんて言わない…。
提督の時報にまたぴったり合ったのがすごく嬉しかった。
思えばあの凧が完全に失われてしまうのを止めたのはメリー・ポピンズで、最初からこのラストが示唆されていたのかな。
前作の最後で父親が凧を直してくれていたけど、あんな大事な株券をなんてことに使ってくれてるんだと思う。
銀行にクビ切られたことへの腹いせや開き直りの表れと考えればまあ分かるけども…。
魔法に対する意識、子供たちにも敢えて魔法と言わず誤魔化す姿勢が面白かった。
兄妹は大人になってしまっているし双子はやたらしっかりしているし、自分から信じることが大事ということかな。
不思議な世界での冒険がまた子供の成長になっていそう。
好きな要素も響くものも多いのに、謎の絶望感の正体は分からず。
ポピンズとバンクス家が別れたことが寂しいわけではないと思うんだけど。
あのトリップは夢オチとも取れるし、メリー・ポピンズの存在自体あってもなくてもどっちでも良さげに描かれているようにも感じた。
いや間違いなくポピンズがいなかったら家は取られていただろうけど。
私も風船見つけてプカプカ飛びたい。現実的に人が風船で飛ぼうとしたら3600個ほど必要らしい。
ありがとうございます!
前作でバンクス父が補修に使用した紙の上にさらにジョージのお絵かき紙を重ね貼りしてるように見えてしまってました_(:3」∠)_
ジョージくん株券にお絵かきしてたんですね。
前作も今作も凧がポイントになってるところにグッときちゃいますね!
いえ、マイケルの父親が株券を凧を直すのに使ったのではないですよ!
今作の弟がゴミ箱の中に父親(マイケル)が描いた絵を見つけて、ポッケにしまっておいたのですが、夜にポピンズに「凧を直しなさい」と言われたのでそれを使って直してましたよ!