半世界のレビュー・感想・評価
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「稲垣吾郎」はいない
先行上映で観てきました。
パブリックイメージでなら、主人公・紘とその友人・瑛介は逆の配役かも。それがこの配役になったことで、それぞれの魅力が引き出されていた気がします。とくに稲垣吾郎さんは所作、姿勢までが土臭さを漂わせ、いつもの彼はそこにいません。配役した阪本監督の技だなと感じました。
地方の田舎にも、どこにでも「世界」はある。日々の些細な出来事も全部「世界」。人は皆その中で生きている。それを改めて実感させられる映画でした。
半世界
試写鑑賞。
幼馴染みの男3人。昔と今の境遇と関係性の微妙なズレが悲しみを生む。
稲垣吾郎演じる炭焼き職人の大変さ。長谷川博己の「こんなことをずっと一人でやってきたのか」という一言に、孤独と過疎化の進む寂れた地方の現実を突きつけられる。
主演の稲垣吾郎にはいい意味で裏切られた。あの都会的な伊達男のイメージは全くない。とにかく全然カッコよくない。自分勝手で子供にも疎まれているが、特に気にやむ様子もない。鈍感で不器用なオッサンを、妙に悲しみを背負わせたり同情を誘うようにドラマティックにしたりしないで、あえて淡々と演じている稲垣吾郎。だから観ていてとても腹立たしいのだ。それが後半少しだけ変わってくる。少しだけ。だから悲しい。とてもうまい。
長谷川博己は安定の演技力と身体能力でトラウマを抱える元自衛官を演じ、渋川清彦は気のいい男をまんまのキャラクターで演じる。そして、、なんといっても池脇千鶴のリアルな生活感と艶かしい可愛らしさがこの映画をはピシッと締めてくれる。
色んな想像を書き立てられるエンドロールに涙。息子役の男の子もうまい。
多くは語らず、観客に委ねるような映画だが散りばめられた色んな要素を発見できたとき、この映画のホントの深さに気付く。とてもいい映画だ。
東京国際映画祭にて試写、のちに観客賞授賞
東京国際映画祭にて試写しました。
試写したのちに、観客賞を授賞した作品になります。
阪本順治監督のオリジナル脚本作品
日常が淡々と美しく描かれています。
悪い意味ではなく、今どきの奇抜な演出はなく
素直に誰でも共感し良い作品と感じると思います。
その分、物足りなさを感じる方もいるでしょう。
すっと入ってきてちゃんと何か心に残るような構成。
世界の半分は平凡の世界、でもその世界の中では
色々な出来事があり、みんな必死に生きている。
迷いながらも、世界はどこかで繋がっていて
無情にも進み続ける。
出演演者では池脇千鶴が好演、稲垣吾郎も新境地を好演。
稲垣吾郎、長谷川博己、池脇千鶴、渋川清彦
東京国際映画祭 観客賞
登場人物それぞれの立場で考えることができる作品。阪本順治監督のオリジナル脚本。
職人の世界。田舎の生活。妻の役割。学校のいじめ。家業の継承。友人との絆。離婚。心の傷。グローバルとローカル。等々。
何度も観たくなる、秀逸な作品。
あなたが意識している世界とは
東京国際映画祭「観客書受賞作品」で鑑賞。
伝えたいテーマとストーリー自体はとても重厚で良く、かといって堅くまとめるのではなく、随所に笑えるポイントが散りばめられている演出は観やすかった。
ただ、2時間では描ききれなかったか、それぞれの感情の変化や、それらの関わり合いの描き方が足りなかった気がした。(過去にトラウマを抱える男や、親子関係など)
世界は広く、人それぞれの人生があり、自分が中心だと思っていることが、他の人にとっては意識しないことがほとんどで、でもどれが正しいというわけでもない。それぞれが精一杯生きている現実だし、その関わり合いが生きるということなのだろう。
ところで、炭づくりってやはり大変だよね。ご多聞にもれず、その世界も大量生産の効率化の波に流されてしまっているんだろうね。。
情けない男たちの物語
個人的な感想は、この映画を好きという人と嫌いという人は、極端に分かれるのでないかと思う。
この物語に出てくる男の登場人物は情けない人が多かった。
物語が始まって前半、わたしは稲垣吾郎をぶん殴りたくて仕方がなかった。家族を守らない、自分が一番、、父親なら家族のこと守って幸せにしてやれって素直に思いました。
でも、そんな稲垣吾郎にも何だかんだ葛藤があった。
人間の葛藤が広くわかる作品であった。
そして、ダメな人間でも人に必要とされ、かけがえのない仲間がいて、愛されるというのが伝わり、価値観が広がる作品であった。
稲垣吾郎の息子役と池脇千鶴、長谷川博己の存在感がとても良かった。
ただ、省いている描写だったり、登場人物の思いに共感できない場面も多く、もやもやした場面が多かった。
世代、性別によってこの映画の感想は大いに分かれるであろう。わたしはこの映画を見た人と自分の理想の世界を語りたいと感じた。
役者と監督の力量が見事に発揮されている
主役の稲垣吾郎が職人?と思っていたが、違和感も覚えず映画に集中した。友人役の渋川さん、長谷川さん、奥さん役の池脇さんも思春期の息子もそれぞれが適役だった。演じた役者の力だけでなく、監督の力量でもあるのだろう。
主役が悪いわけでは決してない、今演じられるのは稲垣吾郎しかいないだろうとは思う。それでも、脚本も設定も映像もこのままで、もし主人公を高倉健が演じたら映画は大ヒットするに違いない。そんな思いにとらわれている。
スクリーンの高倉健には生きていく切なさがあった。ゴローさんもっと泣こう。もっと怒ってよ。
日本映画にしては非常に良い構成
東京国際映画祭で鑑賞。阪本順治監督の中ではかなりの傑作。とにかく構成力と脚本の両方が噛み合った作品。かなり長谷川博己を追い込んで作ったらしく、彼のある場面でのあの表情は滅多に見れないので必見!池脇千鶴がとても良い。キネマあたりの賞をとってもおかしくない。是非公開されたら見て欲しい。今年一番の日本映画である。
映画にしかできない表現
東京国際映画祭にて。コンペディション部門選出。
主人公の年齢が39歳。年が近いと割と切実なドラマではある。
ドラマティックな物語ではないが、それぞれの登場人物が非常によく描かれている。映画だから勿論虚構ではあるのだが、「嘘がない」。解ることも解らない事もあるが、ある程度突き放して描かれた「世界」が非常にリアルな質感があった。
演者はみんな凄いとしか言えない。同級生3名をあのキャスティングにした時点で勝利だと思う。全く役に違和感がない。それ以前にこのキャストつよい...。稲垣長谷川渋川て...!そして池脇千鶴て...!最高では...。奇跡では...。(単に好みという説もあるが、いやいや)
物語自体にはあんまり驚きがないまま進むのだが、最後の展開には心底吃驚したというか、個人的には最後いきなりそこに寄せるのか!この映画で!若干恐怖かよ!と思ってしまった。39歳が特別な年齢という描き方をしながらここに持っていくのか...。
Q&Aを聞いていると凄く細かい伏線を張ってあって(言われると納得する)、こちらが受け取る以上の情報量を作り手側が込めているのが分かって興味深かった。
ネタバレになるのでこれ以上は書けませんが...。
シリアスにもならず、かといってコメディにもならず、絶妙なバランスの人の物語だったと思う。こういうのは映画じゃないとできないのではないかな。
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