劇場公開日 2019年2月22日

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「おねしょのまこちゃん」あの日のオルガン kossykossyさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0おねしょのまこちゃん

2019年2月27日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

 53人の園児を救った物語などと謳われると、“ユダヤ人を〇〇人救った”とかいった作品と同系列に扱われそうですが、普通に生きる平凡な親と子供が戦争によって苦しんでいる姿を描いているので、物語の中に吸い込まれ、登場人物の一人になったかのように親近感が湧きました。

 疎開先の最初の問題は荒れ寺だったために掃除や修復が大変だったことや村人たちからの疎外感。実際に園児たちの疎開が始まってからは、お泊り保育がずっと続いてるために起こるオネショ問題など、諸問題がリアルに描かれてます。若き保母さんたちも手探り状態なためてんやわんやです。中でもドジな新人保育士、みっちゃん先生(大原櫻子)がオルガンを伴奏して園児たちと懐かしい童謡を歌うシーンにほのぼのさせられます。

 『二十四の瞳』に出てきそうな若いおなご先生がいっぱいいるので、村人たちは風紀についても厳しくなり、ちょっとしたことでよっちゃん先生(佐久間由衣)が東京へ帰されることになった。一個のキャラメルを半分個なんてのもほのぼの。

 しかし、ほのぼのとは言ってられないない戦争の最中。園児の父親に赤紙が来たとか、身近に戦争は迫ってきているのだ。冬が過ぎ、3月に入ると、もう東京大空襲の日が近づいてくる。主任保母の楓先生(戸田恵梨香)はその日東京に行っていたのだが、空襲の後に園児たちの家族の安否を確認して廻っていたのだ。

 勝ち気で信念を曲げない楓先生は“怒る女”などとも揶揄されていたのだが、戦禍が身近に迫った状況となってからは怒りの矛先は明らかに戦争に向けられる。その奥まで語られてはいないが、米軍や米軍による空襲、さらには本土決戦を招いた日本軍部といった直接的な対象でなはく、“戦争”そのもの、もしくは戦争を生み出した人間そのものに対する怒りだったように感じられた。廃墟となった東京、田舎にまでやってきた空襲、すべてが人間が起こしてきた過ちなのだ。

 山田洋次監督の弟子といってもいい平松恵美子監督作品。終戦から74年経っただけなのに、日本人は戦争を忘れ始めている。客観的に扱う太平洋戦争のドキュメントは数多くあるが、生き証人の存命中に次の世代へと語り継がねばならない、こうした民間人側から見た戦争話はとても参考になります。

 残された謎・・・いくつに見える?

kossy
kossyさんのコメント
2019年2月28日

Santa様
コメントありがとうございます。
戸田恵梨香の実年齢が30みたいですけど、
昔の日本だから30過ぎると行き遅れみたいに思われたかもしれませんね。
あの一瞬、「40」と言ったのかと思っちゃいました(汗)
まだTVドラマ『大恋愛』のイメージが残ってたし・・・

kossy
アマチュアさんのコメント
2019年2月28日

セリフの感じから、けっこう上なのかなあと、思ったんですけど、謎ですね笑

アマチュア