「米国版のデビルマンかと思ったら、全然違った」ヴェノム 山川夏子さんの映画レビュー(感想・評価)
米国版のデビルマンかと思ったら、全然違った
米国では今年スパイダーマンの仇・ダークヒーローのベノムの映画『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』が完成したそうで、
グロいシーンがある映画が苦手な私も『ヴェノム』、そろそろ観ておかなくちゃなあ……と、昨晩Netflix(自宅で120inchプロジェクター上映)で鑑賞しました。
PG12指定(暴力シーンやグロテスクなシーンがあるため12歳以下の子供は鑑賞する際に親の許可が必要)の作品なんだそうで、見始めて10分、※※※を〇〇〇するシーンで「ギャー!」と悲鳴を上げて、目をつぶって髪の毛をグチャグチャにかきむしっていたら「お前の方が怖い」と言われました。
やっぱりしょっぱなからグロイ!
気持ち悪いかというと、ヴェノムは食人宇宙生命体で人間を宿主にして、この地球で食物(人間や生き物)を漁って生きる悪魔のようなパラサイトなエイリアンなんです。おかげで、私の髪はぐちゃぐちゃ。
正義感も意志もめっちゃ強いジャーナリスト・エディも寄生されてしまうのですが、彼は体内の侵入者と闘う強い意志をもっているので、体を乗っ取られても死なずに、理性を保てるみたいなんです。
それで、何があっても体から出ていかない「ヴェノム」という迷惑な体内同居人との奇妙なパディ関係が始まる。
本来は悪魔のようなヴェノムですが、エディが地球人と暮らすルールを徹底して教えて、たとしても守るわけないので、人間が食料だし。
体を悪者に乗っ取られて、ダークヒーローになる話。
なんだか永井豪の「デビルマン」に感じが似てます。なつかしささえ感じます。手巨大なオノになるのも、そのオノの形がデビルマンの耳を思い出させます。
マーベルがデビルマンをオマージュしたのか、永井豪先生がヴェノムをオマージュしたのか、最初はグロッキーなシーンで身の毛がよだつ感じがしていたのに、30分もすると見慣れて、ダークなヴェノムの暴れる姿に快感を感じるようになっていました。そういえばデビルマンも最初は怖くて嫌だったのに、結局毎週見てましたね。慣れって面白いですね。
この映画で驚いたのは、エイリアンを入れたカプセルを地球に持ち込み人体実験を繰り返すマッドサイエンティスト・ドレイクが『サウンドオブメタル』 リズ・アーメッド さんだったことです。
ファッションモデルのようなパーフェクトな容姿を持った天才で若き成功者で大富豪。人を人と思ってないサイコパス。
「人は見た目が九割」という本のタイトル通り、眉目秀麗なので面食いの人たちにちやほやされて、どんなに腹黒いことをしていても好感度さえ上げてれば、ちょろい!と思っているような浅いタイプ。
ああ、いやだいやだ。
私、こういうタイプの人が世界で一番嫌いです。
リズ・アーメッドさん、笑顔がさわやかで本当にかっこいいのに、やってることは最低。腹の底からムカムカしました!
悪い宇宙人に体を乗っ取られながらも、良心に基づいて体内にいる悪魔ヴェノムに話しかけ、人としての善悪を説きながら、結果、正義と悪の両面の顔を持つダークヒーローとして生きることになってしまったエディ。可哀そうな境遇なのにあきらめずに化け物に良心を説くエディにめちゃくちゃ共感してしまい、映画の最後は、エディを応援していました。