劇場公開日 2018年12月21日

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「ナニコレ」シュガー・ラッシュ オンライン 木神さんの映画レビュー(感想・評価)

2.0ナニコレ

2021年12月4日
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『リトルマーメイド』『美女と野獣』『アラジン』等の人気作品に登場するディズニープリンセスのフルCG化と吹替えオリジナル声優に始まり『スターウォーズ』『アイアンマン』『トイストーリー』から有名キャラ出まくり、前作から登場するゲームキャラクターも続投して少し喋り、日常で見かける大手企業ロゴの数々がオンライン世界を彩り、メタ発言一杯な笑いとスケールデッカく夢のコラボを実現したクロスオーバー映画…のはずが悲しいかなまっったく面白くない。

あまりネットスラングを使いたくないが【どうしてこうなった】---このフレーズ以外で当てはまる言葉が見当たらない位、面白くない。今回は共感して欲しいので、各所の問題を取り上げる文体で行く。一回見ただけなので間違いはご容赦。

~主役陣の扱いについて~
・主役ラルフがすさまじく損な役回りをさせられてるのも然ること、あろう事か実質的ヴィランな扱いにビックリ。そもそも本作は『シュガー・ラッシュ』の筐体が壊れ、そのパーツをネット世界で探す話だ。広大なネット世界にビビりながらもヴァネロペの為、文字通り体を張り、パーツ購入の金をかき集める。にもかかわらず彼の努力は『女性の自立』『巣立ち』という典型的ポリコレ要素の前に崩れ去り、主人公にあるまじき気色悪い行動を起こし、最終的にキモイ怪物軍団を作り出してしまう。ヴァネロペも前作ヴィランと大差ない選択ばかりなのも呆れた。『ターボする』という独自用語があるがこれは“あるゲームキャラが別作品のゲームに侵入し、世界観を損なうばかりか本来いるべきゲームにそのキャラがいなくなるので、故障とみなされた両ゲームが稼働停止した事件”を犯人の名前に因んで生まれた言葉だが…今作のヴァネロペの行動がまんまコレに該当していて『私がいなくても問題ない』『本当にやりたい事がココにある』と気にしていない発言をする訳だが、前作を知っていると『それでずっとヒドイ目にあってた当人がよりによって実行すんのかよ』でしかなく最後まで肯定できない。

~テーマと舞台とコラボと世界観について~
・忘れてはならないのが“本作はゲーム世界の話”だ。このゲーム世界の描写が好きだから見に来たのであって『女性の独立』や『巣立ち』に『ネット世界の闇』はハッキリ言って無駄要素。レビュアーの誰かが言ってたが“オンラインゲームになったシュガー・ラッシュをメイン“にネット世界で起きる問題も解決していく内容で良いのに、実際はゲーム要素皆無だ。そして元も子もないが、そもそも見せようとしている内容が多すぎて煩雑になってる。企業ロゴ見せたい!版権キャラ出したい!奥深いテーマ出したい!子育ての大変さ入れたい!と不要物が纏わりついた物語は本来あった良さを殺し切っていた。

~プリンセスについて~
・さすがというか本作一の目玉であろうプリンセスのCGデザインは物凄い。ドレス姿からラフな格好のシャツ姿まで“キュートでセクシー”な描写に妥協する気はないという強い執念を感じた。しかしプリンセス達の存在は”客寄せパンダ”の域を超えておらず、他で詰め込み過ぎた故にこれと言った活躍も後半の最後くらいで、それも脈絡なく唐突に再出現、さらに深刻だった問題に無事決着をつけた重要シーンで、ラルフを何故か姫のコスプレさせながら救出する一幕は今までの事を馬鹿にしてるようで好きになれない。意外な一面は見せても、メタ発言なんかさせないで各々カッコよく活躍させれば良かったと思う。

~最後に~
・結局ヴァネロペは新天地へと行き、ラルフは彼のゲーム世界に戻ったが、主役不在となった筐体の【シュガーラッシュ】はどうなるんだろうか。ヴァネロペは本来存在しないゲーム世界でレーサーになったが、いや普通にバグ扱いされるのでは?・・・う~んとことん【どうしてこうなった】。

木神