「長い長いミッションの果てに」荒野の誓い sugar breadさんの映画レビュー(感想・評価)
長い長いミッションの果てに
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クリスチャン・ベール扮する主人公ブロッカー大尉と個性的な部下たちとの関係性が丁寧に描かれており、作品に深みを与えています。
ブロッカーの盟友で、積年の過酷な軍勤務がもとで鬱を病んでしまったトミー。黒人のヘンリーとは人種の違いを超え、厚い相互信頼が存在します。さらに、かつての部下で一緒にインディアンを殺しまくった死刑囚のウィルスには、ブロッカーの今の変節を「見損なった」と非難されてしまいます。
一方でシャイアン族の首長イエロー・ホークとの関係性には、少し違和感を感じてしまいました。部下や友人達を殺され、地球上誰よりも憎んでいたはずなのに、護送途中の割と早い段階で共闘してしまうところなどです。和解すること自体は本作の主題なので問題ないのですが、そうであれば、前段の憎しみの深さをもう少し描いた方が、より説得力が増したのではないでしょうか。
ニューメキシコからコロラドを経てモンタナへと連なる中西部縦断の途中で、登場人物のほとんどが、憎しみの連鎖により死んでしまいます。
現代にも通底する憎しみの連鎖。ブロッカーの長い旅路の果てに生まれた贖罪の念と相互尊重は、これからの未来にも、生かされることはないのでしょうか。
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