「永い言い訳」荒野の誓い odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
永い言い訳
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背景は侵略と抵抗と風化というアメリカ開拓史であるが、いわば人類史の縮図に過ぎず古今東西、人間の営みには血の臭いが付きまとっている。
冒頭から牧場一家の襲撃が描かれる、子供ばかりか赤ん坊まで殺される非道の描写、何の因果でこんな残虐な事件の目撃者にさせられるのか、本作を選んだ自身を悔やまずにはいられない。
クリント・イーストウッドの「アウトロー (1976)」も似たようなティストだったが本作よりは単純、目の前で家族を惨殺されれば復讐の鬼と化しても不思議はない、宿敵は北軍ゲリラの犯罪者だし銃が掟だったからまだ観ていられた。確かに復讐も戦闘も遂げてみれば訪れるのは虚無の闇、本作は先住民と侵略者の軋轢、勝者の視点、理屈で懺悔交じりに描いているが永い言い訳を聞かされているようで興醒めする。
邪鬼が人間に戻れるとしたら為すべきは償いの善行なのか、犠牲者の寛容や慈悲でもなく、ただ風化しかないのだろう。
確かに演者は熱演だし、タブー視されるテーマに挑んだことは評価を受けて当然だが生理的に合わない映画でした。
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