「ロング・ライダーズ」荒野の誓い 梨剥く侍さんの映画レビュー(感想・評価)
ロング・ライダーズ
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“悪い”インディアンを白人がやっつける構図の西部劇は、「ソルジャー・ブルー」「小さな巨人」などを経て、先住民の権利という概念を意識せざるを得なくなった。そもそもアメリカン・インディアンにとって白人は侵略者以外の何者でもなく、いわゆる“西部開拓史”は土地が収奪されていく歴史でしかない。
この映画もそういった意味で勧善懲悪の西部劇とはほど遠い、終始沈鬱なムードに覆われた作品だ。主人公の大尉は同僚を殺したインディアンの酋長とその家族を郷里まで送り届けるという屈折した任務を命じられる。馬で旅する長い行程の間に、同行者は一人減り二人減り…と次々と命を落としていく。改めて思うのは、この時代のアメリカは無法地帯だったということだ。途中で敵も味方も何人も人が殺されるが、法で裁かれる気配はない(最後の対決も冷静に考えると正当性を主張するのは難しそうだ)。
道中でインディアンと協調していくところは、クリント・イーストウッドの「アウトロー」にも似ている。シャイアンの酋長は、生きていたらチーフ・ダン・ジョージの役どころだったかもしれない。
クリスチャン・ベイルの髭づらはなかなか渋い。
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